ICANN35シドニー:先々週のことながら
もう先々週のことながら、ICANNミーティングでシドニーに行ってきました。
オーストラリアと言えば、新型インフルエンザでちょっと前騒がれてましたので、ただでさえ手放しで行ってよいものかと思うところ、ましていわんやその前の週に風邪を引いて、いろんな意味で「ぁゃιぃ」感じ。風邪が直ったのは、先週末でした。長かった。
そういうわけで、ちょっと前のことになってしまいますが、生まれて初めて出席したICANNミーティングについて、コメントしたいと思います。
そもそもICANNとは
ICANNの通り一遍の説明は、こちらなんかご覧頂き。 インターネットプロトコルに関するあらゆる番号・名前空間は、IANA - Internet Assigned Numbers Authority というところで昔から管理されていますが、現在ではICANNの1部局となっています。
こういう言い方をすると、満遍なくいろんな番号や論理資源の管理に関してやっているというイメージに見えますが、普通の見られ方は、「ドメイン名のことを決めているところ」。IPアドレスはRIRsが主導的にいろいろと決めているし、他のプロトコルに関する採番は地味。でもドメイン名は、登録商標であり、広告ビジネスであり、という大きくお金が動く領域に直結しますから、シビアなんです。
驚きはレジストから
まず、最初参加登録を行います。例によってWebを通じてフォームを埋めていくのですが、完了したときに何か物足りない。なんだろう。。。あ、そうだ、クレジットカードの番号とか入力していない。で、同僚に尋ねてみると、なんと参加料タダなんですって。全てホストとスポンサーで面倒を見ることが出来るらしい。すごいなぁ。。。
とにかく大きい
フルスケジュールはこちら。最大で8パラまであるのですが、そもそもICANNのアクティビティは、gTLD, ccTLD,IPアドレスの3つの支持組織(Supporting Organizations)と、4つの諮問委員会(Advisory Committees)を初めとするいろいろなグループで構成され、この中で最も大きい、GNSO(Generic Names Supporting Organization: gTLDの支持組織) は、更に細かく,constituenciesと呼ばれる立場の異なる小グループに分解されていて、とにかく大きいのです。
IPアドレスの場合には、そんなに立場の違いが大きな問題になることはないので、SIGやWGのチェアと、声の大きい人を覚えていれば議論が追えたのですが、ICANNではそういうわけに行きません。この人はこういう立場だからこういうことを言うのだ、みたいなことを一通り頭の中に入れないと、議論の構図が取れないんです。日本語でも辛いでしょうが、まして理解力が大きく劣る英語ですから、自信なくなっちゃいます。
Webやリモート参加手段はやはり充実
RIRミーティングでもIGFでも、発表スライドは発表のときまでに概ね掲載されるし、Jabber Chatやビデオストリーミングなど、遠隔参加手段も充実しています。また、大きな会場では、発言内容が速記され即座に表示される realtime scribing というサービスが実施され、ノンネイティブには助かります。
ICANNミーティングでもこれが踏襲されるとともに、realtime scribingに関しては、メインの会場だけでなく、他に2,3箇所で実施していました。さすがだ。。
これらは速記録や動画まで含めて全て、ミーティングWebサイトから入手可能です。
で、議論は
今回大きな議論のテーマとしては、
・GNSOの組織改革
・TLDの登録の大幅な自由化
・↑のうち、特にIDN ccTLD
・ICANNと米国商務省との間の契約(JPA: Joint Project Agreement)更新
・新しいCEOの指名
といったところだったと思います。いろんなセッションでいろんな話をしているのですが、Public Forumと呼ばれるメインホールにおけるセッションでは、これらを含む主要テーマに30分ずつと言った形で時間が与えられ、いろんな人からの意見表明が許されました。こちらは多様な議論が整然と(時間を区切るからですが)進められて印象的でした。
会期最後は理事会。理事の面々が壇上に並んで、決議案を採択していきます。発議してセコンドされて、挙手によって賛成・反対・棄権を意思表示、次々に進み、時には議論が盛り上がるものもありました。最後の最後には、お祭りの締めとして、関係者への感謝の意を採択していくのですが、その直前にCEOの指名の採択。その後に出てきたのが、7月からのCEO Rod Beckstromです。
多分10分くらいだったでしょうか、インターネットの歴史を振り返り、先人の偉業を称え、ICANNの使命と今後のインターネットの発展を唱える、大演説でした。見ごたえありましたね。
携帯のカメラだとあんまり大きく取れませんでした。
報告会やるんです。
毎回ICANNミーティングから1ヶ月経つか経たないかの時に、IAjapanと共催でICANN報告会というイベントをやっています。JPNICのICANN会議のページから、今までに開催したICANN会議と、その報告会の資料が辿れます。ただいま日程の最終確定中です。