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インターネットとそのガバナンスについてつらつらと

WIDE合宿潜入(?)レポート

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WIDEプロジェクトと言えば、日本のインターネットを引っ張る研究者コンソーシアムで、代表は村井純さん。仕事上お付き合いのある方も多くWIDEプロジェクトに名前を連ねている。僕自身はネットワーク技術をやっているころから研究者ではなく設計運用技術者なので、WIDEにいたことはない。

そのWIDEが年に2度合宿をやっているというのは知られている。多忙を極める方々、典型的には村井さんも、他の並み居る仕事よりも合宿を優先すると言う。2009年春の合宿は、3/10--3/14に開催された。今回は、技術研究者集団としてはちょっと違った毛色ながら、インターネットガバナンスをテーマにするセッションが開催された。Cisco SystemsでInternet Protocol Journal の編集をやっている Ole Jacobsen が参加するから、サポートのために参加してくれないかという要請が入り、WIDE合宿に初めて参加することになった。話の発端は、昨年11月に開催したInternet Weekのセッション「インターネットインフラのガバナンス総覧」にOleを呼んで話してもらったときに、この内容でWIDE合宿に持ち込んだらどうだ、とOleがいい始めたのがきっかけだった。

そういうわけで、僕にとって生まれて初めて、一般的にも稀な形でWIDE合宿にゲスト参加することとなった。以下雑感をいくつか。

まず電子証明書。
僕自身はWIDEメンバーではないのだが、合宿の手続きや、各種情報の閲覧にはコンフィデンシャルなページを覗く必要がある。このアクセスには電子証明書が必要で、WIDEメンバの皆さんはWIDE認証局から発行されたものを既に持っていて、WIDEにおける各種手続きを行っている模様。そういうわけで、ゲスト参加者は、テンポラリ証明書を発行してもらうことから全てが始まる。幸い、証明書発行担当者が同じ社団の同僚であるため、割とスムーズに進んだ。

証明書をもらったら、合宿Webページにもアクセスが出来るようになり、やっと細かいところが分かるようになった。

ちなみに、合宿会場Wifiでは、認証なし・非推奨の電波と、802.1x/WPA2の電波が掴めて、WPA2のほうでは、この証明書を使ってアソシエーションを行う。ちょっと面倒くさいが、そのやり方も非推奨電波でググると程なくtipsがでてきて、MSのサイトにあるちょっとしたパッチを当てる、というコツがあることが分かる。

プレナリ会場+NOC
一番大きい会場は、前半分がプレナリ会場、後ろの奥1/3がNOCスペース、あとの後ろ2/3が円卓という面白い構成
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なんでも、NOCやっててセッション聴けないのは本末転倒だ、配慮があるようだ。
とりあえず、朝から夜まで中心となるのはこの部屋となる。

ストイックなスケジュール
実にストイックなスケジュールが組まれていた。こんな感じ。

 朝9時開始、夜10時に一旦終了
 昼食,夕食の時間はそれぞれ1時間。それ以外はなんかしらプログラムがある
 80分セッションの間の休みは10分。
 夜10時になって、それからの3時間が「ワインタイム」とされ、ワイン飲みながら話す。

これを中2日は朝から晩まで、初日最終日は半分ずつやるのだが、つまりはホテルに缶詰となる。

ファミリーも収容しつつ、、
WIDEメンバの中には女性もおり、母親もいる。人生には長い子育てフェーズの期間だってある。
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そういうわけで、そのジュニアが合宿に来ている、ということもある。今回は3人さん見えた。
日中の主要な時間はベビーシッターに預けているようだが、合宿と言うくらいで、24時間ベビーシッターと言うわけにはもちろん行かない。夕食の後のセッションには結構ご一緒することに。

ママさん研究者は、こういう寛容さがあったとしても大変。ただし、タダでは済まさない。なんと言ってもインターネットがあれば何でもできるわけですから、PDAや携帯,Webカムなどを組み合わせて、部屋で寝ている子供の様子を遠くから確認したり、泣いたらアラートを飛ばしたり、あるいは逆にセッションWebカム画像をPDAで見るようなシステムを構築したりして、ちゃんと研究ネタにしている。さすが。

リサーチディレクション
自分が呼ばれているセッション以外に、特に興味があったのが、WIDEの今後のリサーチディレクションを考えるというセッションであった。

ここでは会場に来ていたほとんど全ての人にマイクが回り、今後やって生きたい研究の方向性について意見を述べることになっていた。
これを事細かに明かしてしまうのはルール違反だと思うのでやらないが、大御所の皆さんはさすがに、社会的役割の認識だったり、分散計算機環境のアーキテクチャに関する慧眼だったり、大人でありながら時にヤンチャっぷりだったりと、いろいろ素晴らしいが、若い皆さんも鋭いところを突いているものがたくさんあって、勉強になった。

WIDEはプロジェクトの形となったのが1988年で、だいたい20年。最初の10年は世の中の要請に応えることが重要で、それだけで一杯一杯。10年くらいしてようやくそれを脱却して、それぞれの研究者がやりたいと思うテーマを扱うことができるようになって行った。20周年に当たって、自分たちのやりたいことと、社会の要請をすり合わせる作業が必要ではないか、という問題意識をお持ちらしく、このようなセッションを持つに至った模様。物思うのは、自分たちだけでなくてWIDEもそうだったのか、と感じ入った次第。

英語
Bill Manningなんていう大御所も米国西海岸から駆けつけているし、ゲストもいるし、日本語が母国語でない研究者も稀にいる。というわけで、合宿全体、英語対応を積極的にしている感じがあった。プレナリなどはほとんどのスライドが英語で、村井さんも江崎さんも英語で喋っていた。その後のセッションで僕は喋ったんだけど、そのときはスライドを全部英語にして、日本語で喋った。英語でがんばることはできただろうけど、やっぱり複雑な表現ができないし。皆さんを見ていると、日本語オンリーでやる方もいるし、いろんなミックスの方がいた。しかし、これくらい「英語なんか普通だと思ってやれ」という環境は、重要なのではないかと思った。

暮らし方
WIDEの大御所の皆さんは有名人なので、面識がなくとも存じ上げる方々ばかり。そういう方々にご挨拶をしたいという気持ちもそこそこあったが、どなたかと話しているところに割って入って名刺を差し出す、というのもそういう文化ではなさそうだし、とか考えていたら結局あまりそういうご挨拶はしなかった。ワインタイムではそれでも、知っている方々とお話をし、ワイングラスを傾けて楽しかった。

書いてみたけど
合宿から帰ってきたときには、こういうのをここに書くのはきっと面白いだろうと思っていたんだけど、日にちが経ってしまったからか、なんかそういう確信は薄れてしまった。どんなもんでしょうね?何かの参考になっていれば幸いですが。

Comment(2)

コメント

前村さん、こんにちは。

WIDE合宿は、まあ、かなり変わった世界ですよね。初参加メンバーは初日の晩飯で、英語で自己紹介をしなければならないとか、やってませんでしたか?
私はこのところ忙しくて今年度は一度も自分では参加できませんでした。。
合宿の他に研究会もやってます。こちらは東京近辺でやるので、比較的参加しやすいですね。夜も普通に終わりますし。

外部から見ると、WIDEに参加するにはどうすればいいのか、というあたりからアピール不足だと思うのですよねぇ。やっていることはなかなかマニアックで面白いのですが、慶応・東大・奈良先端・北陸先端あたりの大学院系列以外からだと参加者もあまり多くなく、閉鎖的な感じですよね。まあ、いまどきの技術者はネットで連携しているので何とか人づてで上手くいっているのかも知れませんが。。

小俣さん、ありがとうございます。WIDEメンバーでいらっしゃったんですね。

自己紹介はほぼ英語でしたね。その通りでした。

確かに、今の活動を引っ張っている方々の大学、というのが多い感じではあります。

閉鎖的に見える、というのは、そうなのかもしれないと思いますが、これはむしろ世の常と言うか、盛り上がっているところは閉鎖的に見えると言うか、引っ張っている人たちの強い連携なしには、盛り上がらない、という仕組みだと思いますね。僕は2007年までJANOGをやっていて、MLとミーティングだけのオープンなコミュニティだと思っていましたが、それでもなんだか閉鎖的だと言われることがありましたし。

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