12月第1週はIGFに行って来ました
IGF: Internet Governance Forum です。2006年アテネを第1回として今回は第3回、インドはハイデラバードで、12月3日(水)から6日(土)まで、開催されていました。
なぜ今?その話を、ですが、実はちょうど金曜日に出席レポートを出したところなのです。こちらからご覧になれます。
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol607.html
これもともとは、JPNIC News & Views というメールマガジンでの公開でして、メールマガジンにはどなたでも購読可能です(宣伝モード :-) )。
この出張はいろいろと味噌が付きました。まず開催地、インド・ハイデラバードですが、直前の週、11月26日に連続テロ発生。日本の企業の多くがインド渡航禁止を決めたので、日本からの出席者は半減です。
僕の場合はこれに加えて、予定していた旅程が、バンコク経由でして、バンコクは空港封鎖です。「バンコク経由でインド」という時点で、「おまえ、何しに行くんだよ?」な訳です。実際バンコクの空港封鎖は出発日まで解けなかったので、旅程変更。デリー経由にしました。
次には、なんでインド出張取りやめにしなかったのか、ですが、、まずは、「危険度は良くあるレベル2」という理由。
こういう場合客観的な情報として有益なのが、外務省海外安全ホームページです。こちらを読む限り、危険度は4つあるうちの2段階目。ちなみに4つは、「退避勧告・渡航延期勧告・渡航是非検討・注意」です。2段階目「渡航是非検討」ですが、アジア諸国にはこれが常に出ているところも珍しくないんですね。パキスタンのカラチもそういうところの一つで、2006年8月に行ったときもそうでした。
で、実際この渡航情報を読んでいても、11月26日のテロ発生を理由にして危険度を上げている要素がないんです。言うなれば、直前にテロがあった、ということは、「やる気だから直後にもやるかも」とも「やっちゃったからしばらくやれないかも」とも言えるわけですし、今回出席したような大きな会合だと、「大きいから狙われる」かもしれないし、「大きいからセキュリティが万全」かも知れないわけで。
役員をやっているAPNIC(Asia Pacific Network Information Centre)からの出席予定者は、5人いて1人もキャンセルしていないんです。これは、片方に日本からの出席者を見ていると、非常に対照的でした。
内容のほう、まずIGF自体のそもそもなんですが、
- WSIS(World Summit on the Information Society)の最初、ジュネーブフェーズで、ドメイン名,IPアドレス,DNSといったインターネットの重要資源に関する管理が米国主導になっていることに批判が相次ぐ
- WGIG(Working Group on Internet Governance)を組成して、インターネットガバナンスに関するイシューリストを作成する
- WSISの後のほう、チュニスフェーズで、イシューリストで整理された諸問題を議論するために、5年間の年限でIGFを組成
という流れでできあがってきました。
つまり、もともとインターネットガバナンスというキーワードで出てきた論争というのは、今のICANN体制への批判だったわけですが、WSISがそもそも途上国におけるデジタルディバイド解消のようなアジェンダを持っていたからか、もっとブロードにインターネットに関するガバナンスを取り扱うように軌道が設定されたのです。
IGFが非常に面白いのは、インターネットの会合という意味ではオープンでボトムアップな感じがするのですが、一方で国連が主催する国際会議でもあって、この2つの性質の、クロスオーバーというかフュージョンというか、合わせ技なところです。
5年という年限が設定されたうえでの3年目ということで、折り返し地点です。IGFの取り組みは実験的といえるほど、これまでとは全く違うアプローチをやっていて、それが難しいからか足踏みをしているようにも見えます。今になって第1回会合で書いた書き物を読み返してみても、言葉の端々に興奮がこもっているのですが、3回目ともなると、出席者も、良くも悪くも慣れてきています。これから2年間どうなっていくか、面白そうではあります。
過去のIGFに関して、僕は第2回に行けてないのですが、以下のようなリンクをご参照下さい。
IGFを振り返る(第1回アテネ) http://d.hatena.ne.jp/maem/20061112/p1
IGFを振り返って、もう一度。(第1回アテネ)http://d.hatena.ne.jp/maem/20061113/p1
JPNICメルマガ・IGFアテネ会合報告 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol408.html
JPNICメルマガ・IGFを振り返る http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol421.html
JPNICメルマガ・IGFリオデジャネイロ会合報告 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2007/vol500.html