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[広報]記者への情報提供も一斉同報でいいの?記者対応もマーケティングオートメーションの波が来るのか?

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先日仕事の関係で先進のマーケティングオートメーションやエンゲージメントマーケティングに触れる機会がありました。

実は10年ほど前、SFAやCRMの外資系企業で日本オフィスのマーケティング責任者をしていたので、この分野はそれなりに詳しく、またLead Generation(いかにして見込み客と接触して、実際に販売する営業担当に渡せる「見込み客」を創出するか)を長くやってきたので、かなりわかっているつもりでいました。

余談ですが、PivotalとかSiebelとかVantive、Ephipany、KANA、Onyxなどのソフトウェアが出て来た時代で、それまでERP(BOPS&Jなどと言っていた)をやっていた外資系仲間の友人達がこぞってこの分野に進出した時代でした(懐かしい)。

私は、ここ数年は広報とソーシャルメディアのほうをメインに追いかけていたため、マーケティングの先進の仕組みやツールの話を改めて聞いて非常に勉強になりました。根本的な考え方は同じなのですが、用語やツールが変わり、進化していたのです。

ネットの世界に限って言えば、

今までは、見込み客を創出するのに、性別や年齢、年収、誕生日、家族構成、勤務先等の個人情報を収集し、それに合わせてメール配信などを行ったりしてきました。でも実際には同じ属性でも、人の興味関心はそれぞれ異なっています。(一斉同報メールの限界

30代の未婚女性がいたとして、婚活に興味がある人もいれば、アロマテラピーに興味がある人もいますし、コミケに興味がある人もいれば、カフェを開いて独立することに興味がある人もいれば、海外旅行に興味がある人もいます。

また、別の手法として、一度自社サイトを訪問した人に対して、その人がその商品を買ったかどうかは考慮せずに、しつこく広告を表示して、追いかけ続ける広告も増えてきました(リマーケティングとかリターゲティングという手法)何気なく閲覧した内容がしつこく追いかけて来て気持ち悪ささえ感じます。(私の場合、すでに購入した植木鉢がずーっと表示されてしまい、肥料などの広告が出てくれればいいのにと感じた経験がありました)

それがいつの間にか、ツール類がパワーアップして、送り手にとっては、顧客を増やしやすく、受け手にとっては迷惑になりにくい方法が実現出来るようになっていたのです。双方の良好な関係が築きやすくなっていたのです。

例に挙げられていたのがAmazonのようなやり方です。興味ある内容(過去に買ったものと似ている、検索した事がある)の情報がメールで来たり、サイトに表示されたりするので、見てもらえる可能性も高まりますし、案内をもらった側も、不快に感じにくくなります(届いた内容が「ゴミ」ではなく「情報」の可能性が高まる)

更に言えば、これらの手法は、広報の領域にも近いうちに入ってくるのではないかと思いました。

■記者とプレスリリース

現在の広報担当によるメディアリレーションは、One to OneとEmail blast(メールの一斉同報配信)の両極端の行為を行うケースが多いように思います。(アウトバウンドではなくインバウンドの話です。念のため。)

One to Oneは大変な手間がかかります。媒体の特性を調査する事はもちろん、記者が過去に書いた記事を調べ、記者と対話し、興味関心に合わせた内容を届けるのは至難の業です。同じ媒体でもA記者とB記者ではスキルも、興味関心も異なっています。対応出来る数には限界があります。狭い人たちと深くつき合う形になります。

そこで使われる手法がEmail Blastです。記者を属性情報毎に分けて、そこに同じ文面のプレスリリースを流す手法です。低価格で利用出来て人気のニュースワイヤーサービスも、そのままリリースがサイト上に公開されることに加え、記者にメールを届けるという副次的な側面があります。人的リソースが限られる企業や、予算の限られる企業は「おお、3万円で記者にプレスリリースが送れるのか!これはいい!」と飛びつくケースが見られます。(配信サービスに関しては以前こちらに書きましたのでご興味がありましたらご覧下さい→「PR会社とプレスリリース配信代行サービスの選定はどうする?」 )

低価格で送れる便利なサービスが普及した事、また「プレスリリース」という言葉が一人歩きした事で、その弊害として「自分に関係ないプレスリリース」「大事な事が書かれていない、決まり事を無視したプレスリリース」を受信する記者が増えてしまったのも事実です。記者にとっては、プレスリリースがスパム化してしまったのです。(ダメなプレスリリースに関しては、「「記者を強烈に萎えさせるダメリリースの破壊力」という、ある編集長のエントリが人気の件」をお読み下さい)

それが何を招くかというと「プレスリリースが記事になりにくい」という現象を招くのです。(既に知名度のある会社のプレスリリースはタイトルでわかって読まれることもありますが、まだ知名度が無い上に、メールのタイトルがわかりづらいと開かれる可能性が格段に下がってしまいます)

「ニュースワイヤーサービスからのリリースは関係ないものばかりなので読まないで、サイトに行って自分の興味あるキーワードで検索する」

「実際に面識のある担当者から来たプレスリリースしか見ない」

「ネットで話題になっているものを拾い上げる」

「ニュースが無い時にだけ、自動的に特定のフォルダに入るようにしているプレスリリースのタイトルをざっと見る」

「自分で調べて探したネタか、個別に持って来てもらった面白そうなネタしか扱わない」

などという声が聞かれました。

もちろん

「とりあえず関係ありそうなものには全部目を通す」

という記者もいましたが、少数派でした。なんでも最近は日に1000通のメールを受け取る記者もいるとか。ここからタイトルだけをみて関係ありそうなものを抜き出すだけでも一苦労ですし、ましてや全部読んでいては仕事が回らなくなってしまいます。そして、電子メール自体が記者とのコミュニケーション手段として危ういものになってしまいつつあります。

そんな時代だからこそ、別の方法(facebookのメッセンジャー、LINE、Skypeなど)でコンタクトするケースも増えているようです。

かなり前の話ですが、あるマーケティングの専門家が「自分のメルマガに除草剤を撒くな」ということを書かれていました。そこでのお話は、受け手に興味関心の無いもの(広告等)を入れて送るメルマガは読まれず、タネ(見込み客)が育たない。実がならない(顧客にならない)。自分で見込み客を根絶やしにするものを送るな、という話だったのですが、見込み客を記者に、実を記事に変えれば、メディアリレーションの話にも通じるかも知れません。

こういった状態から抜け出すには「相手が必要とする情報を送る」ということが求められます。でもそれが実際にはなかなか難しいという話になり、最終的には一斉同報に戻ってしまっているように思います。

マーケティングの世界では、コンテンツマーケティングという言葉が話題を集め、より一層相手の望むコンテンツを提供する風潮が高まってきました(コンテンツを代行する会社も登場しました)。また、良質のコンテンツを適切なタイミングで適切な人に届ける仕組みを自動化するマーケティングオートメーションも大変に話題になっています。ツールの力を借りて、人力でやっていたことをツールに肩代わりしてもらうわけです。

将来的には、記者それぞれの興味関心に合わせたプレスリリースが、自動的に送られる時代が来るのでしょうか。そんなことを考えさせられた次第です。

誤解されるといけないのですが、私自身はニュースワイヤーサービス推奨派で、プレスリリース推奨派です。ただ、出せば良いものではなく、やり方や頻度、配信内容には工夫が必要だと思っている次第です。(プレスリリースに関しては、超小さいベンチャーの広報を自力でやる。プレスリリース3つのポイントとは?をご覧下さい)

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