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デジタルを活用して顧客を理解する

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顧客を理解する方法は、今までは日々の顧客とのコミュニケーション、自社の購買履歴(ID-POS)やアンケート、グループインタビューから分析するしかありませんでした。しかし、生活者がスマホなどICTを使いこなすようになり、IoTが現実化するにつれて、新たな顧客理解の手段が整いつつあります。

確かに顧客が貴社に期待することや望むことは、実際に対話やインタビューをしないと本質的な部分は分かりません。しかし、顧客を像として捉えることや、顧客のデモグラフィック情報や趣味属性などの特性が捉えられていれば、類似性を持った顧客をネットの世界で集めてくることはできます。また、顧客のインサイトもブログを解析して把握することも可能です。

では、具体的にバーチャルの世界で顧客を理解するためには、どうしたら良いでしょうか?顧客を理解するためには、断片的なデータに依存するのではなく、多角的なデータを使ってより客観的に顧客の行動を把握することにより、理解を深めていくことが大切です・

自社データ(1st Partyデータ)に基づく分析ばかりでは、分析の範囲が限定されてしまい店頭における分析とさして変わらない分析しかできません。例えば店頭では、お買上になった会員は過去の履歴上、何をお買い上げいただいたかはわかりますが、ご来店になっただけのお客様は、何にご興味があるのかが分からないどころか、お客様が誰なのかすら分かりません。よく店頭では、なぜ購入に至らなかったのかを明らかにすることが重要だと論議されますが、これと同様に、ECサイトでも商品を購入されたお客様は誰なのかはわかっても、訪問されてお買い上げに至らなかったお客様はどのような特徴なのかは自社が持つデータだけでは分析できません。

しかしながら、現在では3rd Partyデータが充実し、より多くの理解が得られるようになってきています。3rd Partyデータを活用することで顧客の特徴を解析することができるようになりますし、瞬時に解析してお客様にあったアプローチもできるようになります。せっかく訪問いただけた顧客ですから、正しく理解しないと、自らチャンスを逃すことになりかねません。

例を挙げてみます。

全国に店舗網を展開する小売業A社様はオムニチャネルにより顧客の利便性を提供するため、ECサイトも展開しています。店頭では幅広い顧客層に支持されていますが、ECサイトの主要顧客層は20代女性だと仰っていました。

私たちは店頭と比べて顧客層がかなり偏っているので、疑問に思いました。そこで、サイトを訪問する顧客を調べてみると、実際には中高年の男性もかなり訪問していることが分かりました。ECサイトでのお買い上げ客層が若い女性ばかりであるため、彼女たちに支持されるサイトのつくりにしており、中高年の男性層は、自分は求められていない客層だと感じ逃げていたわけです。

この事例のように、オフラインの世界では買わなかった顧客がどのような人なのかはわかりませんでしたが、オンラインの世界では、3rdパーティーデータを使うことで、訪問してくれた顧客の特性も分かります。ということは、ターゲットとなる顧客に対して、たとえその顧客のことを知らなくとも魅力的なアピールをすることができる訳です。オンラインとオフラインがつながることで、より戦略的な生活者へのアピールが大切になってきました。

生活者はオンラインとオフラインを分けては考えていない

スマートフォンの浸透とともに、Webで情報を検索したりニュースを見たりゲームをしたりという生活は当たり前になってきました。電車を待っている時間や乗っている時間は過半数の人がスマートフォンをいじっています。このように、生活者の意識の中ではWebの世界は既にリアルの世界のことの一部となっています。ですから、Webではこうで、リアルではこう、というのは売る側の理屈でしかないというのが実態ではないでしょうか。

オンラインとオフラインは、生活者の中ではコンテキストがつながっている訳ですから、生活者へのアプローチはこれらを分けて考えるのではなく、オンラインとオフラインの相互作用を考慮に入れる必要があります。

分かりやすい例でいえば、生活者が自動車のように大型で失敗したくない買い物をしようとした場合に、Webで比較サイトを検索し実勢の価格をチェックして、実際に買った人たちの意見や評価をよく読んで意思決定の参考にします。メーカーのサイトよりも口コミサイトのほうを信じる人も多いでしょう。大型商品を買うときのプロセスは、店頭で商品を見る前に、既に2~3の商品に絞られていることも多くあります。商品選定プロセスは事前にWebで絞り込みがなされるということは、絞り込まれる前に手を打たないと機会を逸してしまうことになります。

以前は企業が圧倒的に多くの情報を持ち、生活者はその情報を頼りに商品選定をしていましたが、情報の非対称性は多くの人がSMSを使うようになったことで崩れ去りました。

一方で、企業サイドも生活者の意見やインサイトを知ることができるようになりました。場合によっては購入候補者の年収やデモグラフィック情報、最近自動車の広告を見たか、検索を行ったかなどの情報を手にすることができるようになっています。これにより、特定の見込み顧客がその車にどの程度関心があるのかが分かるようになり、見ず知らずのひとであってもこころを動かせる可能性の高いアプローチができるようになってきています。

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