顧客経験価値が需要を創造する(事例ご紹介-分析編-)
(前編からつづく)
https://blogs.itmedia.co.jp/kokyakusouzo/2020/01/post_6.html
これは事後談になりますが、当初想定したアニメが好きな中高生と野球を好きな中高生は、全く異なるという仮説は誤りだということが、データを使って検証することが出来ました。富士通総研が持つブログ解析ツールであるDo-Cubeは24万人のブロガーに趣味属性をそれぞれのブログの内容からつけています。これを活用すると2つのクラスターはかなり重なることが分かります。
こういった分析により、勘と経験から脱却し、データドリブンで顧客を理解することができます。詳細に分析すると、一般の人と対比して、野球に関心のある人は、アニメ・漫画にも関心がある比率が1.4倍程度あることが分かりました。
次にスタンプラリーを紙ベースからブロックチェーンを活用したデジタルなものにアップデートしました。スタンプラリーで回って頂く店舗に図のようなスタンディを立て、スタンディにQRコードをつけ、QRコードを読み取ることでユーザーのスマートに「俺ガイル」にでてくるキャラクターのスタンプを貰える仕組みです。スタンプがたまりコンプリートすると、キャラクターの人気を決める投票権を得ることが出来ます。
このデジタルのスタンプラリーは紙と違って、何回もコンプリートできるようにつくりました。その結果、熱狂的なファンが何回もスタンプラリーをしてくれます。新規ユーザーは日が経つにつれて徐々に減少してきますが、その分、リピーターが繰り返し再訪してくれていることが分かりました。
「俺ガイル」は千葉市街が舞台です。Twitterにあがる声にもアニメのシーンで出てきた千葉の街角を見つけた感動を発信する人や、スタンプラリーの回数を重ねる毎に新たに発見する街の雰囲気や主人公が食事をしたお店に入ってみるなど、何度でも楽しんでいる様子が伺えました。
スタンプラリーのアプリをダウンロードする際に、アンケートをしたのですが、首都圏のみならず全国から千葉を訪問しに来てくださっていました。しかも何度もリピートしておられる方も多くいます。
このモデルでは、価値を多くの事業者が共創しています。ユーザーから見えるところでは商店街のお店、モノレール事業者、プロ野球チーム、コンテンツホルダーが共創をしてくださった代表者らです。一方、ユーザーから見えないところにITベンダーや自治体、銀行の協力もありました。多くの事業者の参加により厚みが出て、何度も楽しむことができるスタンプラリーができ、結果として地域振興に貢献できるモデルになったと考えられるのではないかと思います。