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ビジネスとお父さん業のスキルを向上するIT活用術

私が日本IBMをやめる理由

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 3月31日付で日本IBMを退社して、日本の上場ITベンチャーであるテックファームにお世話になることになった。

 IBMで私が学んだことや、テックファームに決めた理由は別の機会に置いておくとして、日本IBMを去る理由を紹介したい。

 1990年代に、瀕死のIBMを再生させたガースナーが、幹部に対して以下のようなメールを送っている。

、、人はこうした決断を下すとき、金銭面の条件だけでは判断しないし、まして肩書きなどの些細な点では判断しない。転職を決めたり、他の就職先を選んだりするとき、最大の理由は、自分のアイディアを聞いてもらえない、動きが遅すぎる、間違った点に焦点を絞り込んでいる、官僚的で息がつまりそうだと感じたか、そうなりそうだと懸念したことである。 言い換えれば、当社の「企業文化」の問題なのだ。(ルイス・ガースナー。巨象も踊る(2002年日本経済新聞社)付録より引用)

<収入、肩書き>

 ガースナーのメールの前半に関してだが、私の場合も収入に関しては何の不満もない。日本の大手IT企業であれば、営業部長というポジションでなら現在の7割以下しかもらえないだろう。ちなみに、今回の転職で、私の年収は増えない。

 もちろん肩書きなどではない。IBM部長という肩書きは、いろいろな意味で魅力的であり、また、私のような学歴がない人間が、営業部長というポジションを得られることは、日本の大手企業では、極めて難しいだろう。IBMは極めて厳しい会社だが、学歴や性別(LGBT含む)、年齢で差別されることは一切ない。

 IBMだからこそ得られた収入と肩書きであると強く感じている。

<企業文化の問題か>

 メール引用の後半の「IBMの企業文化」に不満があって転職するのかというと、これも基本的には違う。

 非常にフラットな組織で、個人を尊重する文化がある。自分が責任を持っている分野に関するアイディア(Plan)を直接、取締役にぶつけることができ、実際、多くのアイディアを実行してきたし、動きは非常に早く、様々な事業部長やグローバルに30分のMeetingQuickにセットして、要求、調整ができた。官僚的とは正反対の企業文化といってもいいだろう。

 大企業病の兆候や大企業にありがちな問題が定期的に発生することはあるが、それを解消するための様々なアクションが取られて、自由闊達な組織文化を維持している。

 もちろん完璧な会社ではなく(そんな会社は存在しないだろう)、様々な問題、課題はあるが、どの会社も抱えるジレンマの部類であり私の転職理由となるレベルではなかった。

では、なぜIBMをやめて転職するかであるが、私の場合は以下の3点である。(もうひとつあるが、本論からそれる些細な話のため割愛)

1. 自分の経験、スキルを日本の若いIT企業の成長のために生かしたい

 ビジネスマン人生の後半は、ロータス、IBMで得た経験、スキルを日本企業のために生かして貢献したいと考えていた。しかし外資系企業のオファーばかりで、50歳を超えて諦めていた時に今回のお話をいただいた。自分のビジネスマンとしての集大成として賭けて見たいと思える会社に出会ったのが一つ目の理由だ。

2. ITサービス、商品を「自ら開発して」提供して日本企業に貢献したい

 IBMでは、ソフトウエアやSaaSの販売チームを見ていたが、最初に働いたNEC情報サービス(現、NECネクサソリューションズ)の時のように、日本のお客様のニーズに合わせてシステム構築したり、日本ならではのソフトウエアの企画、販売をしたりするような仕事に貢献して日本企業の役立ちたいという気持ちが出てきた。

3. より経営陣に近いポジションに挑戦したい

 IBMの部長は非常に多くの権限が移譲されていて、経営に必要な教育や経験の機会も多くあった。しかし外資系は本社の日本営業所の意味合いが強いので、日本企業でチャレンジしたいと考えていた。

 私の弟(シャストプランニング設立、上場の社長)のように起業の道もあったが、私は、どの分野で起業するかのアイディアと度胸を持っていなかったため断念。

 3つ書いたが、要は日本企業と日本のIT会社にビジネスマン人生後半をかけてみたくなったのだ。

 さて、本日から新しい会社での仕事のスタートだ。

 短期で爆発的に業績を伸ばせるほど甘くないことではわかっているが、長期に安定して会社の業績が伸ばせる仕組みと文化を、早期に作り上げていきたい。ビジョナリーカンパニー風に言うと「時計」を作るということだろうか。私らしく地に足のついた実効性のある戦略策定し、パワフルに実行に移すのだ。

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