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マイクロソフト新社長の「愚直論」

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 ここ数年、私は「今の仕事に愚直に向き合って天命を待つ」ということを信条に仕事をしてきたが、そんな中、年始にブロガーミーティングでご一緒させていただいた辻 俊彦さんが「愚直に積め!」という本を出版した。 そして、先週、3年ほどの前に読んで非常に大きな影響を受けた「「愚直」論」という本の著者である樋口 泰行さんがマイクロソフトの社長になることが発表された。 大好きなこの二人が「愚直」という私が大好きなキーワードで表舞台に立ったわけだから、これが時代の必然なのかもしれない。

 楽に金儲けをする、上手に出世する人やビジネス本、雑誌がもてはやされてきたが、それはそれとして、愚直に仕事と向き合うことの大切さが改めて問われるエキサイティングな時代に突入したわけだ。

<マイクロソフト 樋口 新社長>

 私のように要領が悪い人間には何ともありがたい時代ではないか。しかし、よく考えると喜んでばかりはいられない。それは、マイクロソフトが、私たちの最大唯一のライバルだからである。1年ほど前にマイクロソフトに樋口さんが社長含みで入ったときも「現場の社員を大切にしない、どこかの大会社のエリートが社長になって、社内のモチベーションをさらに下げて欲しい」と願っていた。

 しかし、

恐れていたことが事実となりマイクロソフトとしては5年ぶりの日本人社長となり、「社会に貢献」「お客様第一主義」という松下からの精神そのままに「パートナー企業や顧客の声に耳をかたむけ、かつ社員も生き生きと働ける強い会社にしたい」と記者に対して語っている。

 樋口さんの経歴だけ見ると、松下電器産業、ハーバード大学でMBA取得後ボストンコンサルティング、アップルコンピューター、コンパック入社の後に日本HPの社長、ダイエー社長、マイクロソフト最高執行責任者という経歴であり、理想的なジョブホッパーとして順調にキャリアを積んできたように見える。 しかし、彼の二つの著書を読むと、様々な問題を戦略的な視点と愚直な行動で解決してきた(かならずしも解決できてはいないが)ことがわかる。

 松下電器で安全靴に防護服といいういでたちで溶接機の技術者として働いていた時代から、日本HP社長までは先ほども紹介した「「「愚直」論」で彼の経験してきたことが強烈なリアリティで疑似体験でき、ダイエー時代は「変人力」という本で伺い知る事が出来る。

<愚直論>

 日本HP時代の話は、現役時代に書いたからかHPの広報かと思われるものが多く物足らないが、それを除けば、いずれの本も一気に読め、私たちを振る立たせてくれる。また、英語で苦労しながらMBA時代の話は、これを目指す方には大いに参考になるだろう。

 いや、もしかしたら、愚直というより、あまりにも強烈な仕事への集中力と執念を見せつけられ「ここまでは出来ない」とあきらめてしまうかもしれない。 特にボストンコンサルティング時代に何日も徹夜して、椅子に座ったまま失神して救急車に運ばれた逸話などを読んでしまうと、せっかくSEからコンサルタントになる方法を読んでコンサルタントを志そうと思った方も、やめてしまうのではないかと心配だ。

 何はともあれ、ビジネス本で語られる「人生の目標」や「成功の条件」などに気を配って仕事をすることが出来ない私のようなものには、とにかく今の仕事に愚直に取り組めばいいという割り切りの中で仕事に集中できるようになるだろう。

変人力

 現在、マネジャーや経営を担っている方には、「変人力」から多くのノウハウを得ることが出来る。 ダイエー再生の現場での活動を通じて「人」「リーダーシップ」の重要性を感じさせてくれるものだが、店舗閉鎖の場面や様々な場面で出てくる経営哲学は学ぶべきものが多い。

 「変人力」を通して経営の現場の感性を磨き、辻 俊彦さんの「愚直に積め!」で整理して、PDCAなど基本を自分の物として身につけ、実際に現場で実践してみてはどうだろうか。 「変人力」と「愚直に積め!」は、経営者、マネージャーはもとより、コンサルティングの皆様にも様々なノウハウと勇気を与えてくれるだろう。

 さて、私ももう一度、初心に戻って今の仕事に愚直に取り組もう。まず、今日は、Lotus Spring Forum大阪で講師。視線はライバル企業ではなくお客様だ。お客様の価値を愚直に追い求めてみよう。

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