エンタープライズ2.0とWeb2.0
エンタープライズ2.0の定義については、昨年、多くの論議が行われ一段落していると思うが、最近、急速に実現フェーズに入っているようで、説明の機会が増えてきた。 ここであらためて、IBMがUSで発信している情報を中心にIS部長向けに極力わかりやすく解説していきたい。
エンタープライズ2.0を単純に定義すると「Web2.0+SOA」となる。
ここでいうWeb2.0は「現在のWebブラウザとインターネット環境だから提供できる新しい発想のビジネスモデル、サービス、ビジネス、技術、利用方法」の総称である。
SOAは業務、プロセス、人、情報を結びつけ様々な変化に対して柔軟に迅速に対応できるITを構築する考え方であり、 特に業務プロセスにフォーカスしている。
<Web2.0とは>
あらためて説明するまでもないが、 Web2.0の特長としては、ティム・オライリーが示した「Web2.0の7つの特徴」や「ウェブ進化論 」 で知ることが出来るが、まずは、このITメディア オルタナティブブログの小川さんが書いた「Web2.0に関する考察ノート」(2005年11月)がわかりやすいだろう。
IBMでは以下の3つの視点で整理している。 以下はIBMが発表している定義ではないが、
<コミュニティ> コミュニティはブログ、SNSなどのコミュニケーションと、Wiki、CGM、アフリエイトなどによる集合知の活用。 そして、これらを利用したロングテールの情報活用である。 また、SNSやWikiは決して新しいものではないが、フィード、トラックバック、タギング&フォークソノミー、ホリゾンタル検索エンジンなどにより、ロングテールの情報活用を推進し、人と人が知識を結びつけ合う新しいナレッジマネジメントを形成し始めている。
<シンプルなユーザーインターフェースからの情報アクセス> 利用者に視点を移すとシンプルなユーザーインターフェースによる操作環境の変化がある。 Webベースだがクライアントソフトがあるかのような豊富な機能と軽快な操作性、そして、情報への容易なアクセスが出来るようになった。
技術的には、AjaxベースでWebサービスAPIを利用して容易にマッシュアップ(Webの機能同士をフィルムでも重なるかのように組み合わせること)することが可能となった。 このような利用環境と新しいビジネスモデル、コミュニティによって得られる新しい世界を「リッチなユーザー・エクスペリエンス」と呼んでいる。
<ソフトウエアをサービスとして活用(提供)> 利用者はWebサービスを利用して容易にマッシュアップすることが可能になったが、このサービスを提供するのがSaaSである。
以前は、ソフトウエアの提供はDVDやダウンロードサイトから入手してインストールすることが一般的であったが、ソフトウエアベンダーが高速なネットワークと認証基盤を利用して、利用者や企業に対して直接、ネットワークサービスとして提供するようになった。
Sales Force.comやGoogleの機能サービスが有名であるが、これらは企業や利用者が自社に合わせてカスタマイズしたり、マッシュアップして他のSaaSと組み合わせ利用することができる。 ソフトウエアベンダーを業種、業務アプリケーションまで広げて考えれば、講義にはASPもSaaSと言えるがSaaSといえるASPは、まだ、日本では少ない。
このSaaSを企業内で適用する、つまり、社内の既存システムをサービス化して、コンポジットアプリケーションとして利用したり、マッシュアップを実現するためにも重要なのがSOAである。
今からWeb2.0を理解するためには、定義よりも体験することだろう。
次回、時間をとって、上記のそれぞれのわかりにくい用語とWeb2.0を体験できるサービスを紹介したい。