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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

ブログメディアについての雑感 プロブロガー編

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ブログを書くと儲かる!?

昨年からプロブロガーという存在をよく目にするようになりました。「プロブロガーになって在宅でブログを書くと広告収入で儲かるそうですが」と質問を受けるようになりました。私は知らなかったのですが「プロ・ブロガーは毎日記事を沢山書いていて、広告収入が凄いらしい」とニュースになったそうです。

参考:コグレマサト するぷ『必ず結果が出るブログ運営テクニック100 プロ・ブロガーが教える"俺メディア"の極意

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プロブロガーがいるのは事実ですがブログの広告収入で儲かる人は少数です。「個人がブログ記事を数書けば広告収入がたくさん入る」という発想はおすすめできないのは何故か。私見を整理することにしました。

プロ・ブロガー

コグレマサトさんの場合はブログを毎日多数(コグレさんの場合は10本とのこと)更新。「ブログの執筆メインで生活が成り立つ」とブロガー向けイベントで伺いました。講演や本の執筆もされていますが、主軸はプロ・ブロガーということなのだろうと認識しました。

参考:コグレマサト いしたにまさき 堀 正岳 できるシリーズ編集部
できるポケット+ Evernote 改訂版 (できるポケット+)

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今までウェブ上の情報は有料で発信しても購読しない人が少ないと耳にしていました。しかし堀江貴文さんの有料メルマガが成功してからは、有名人や文筆家の人が個人のメディアで情報発信→収入を得るスタイルが成り立ってきたように私見では感じています。

最も衝撃を受けたのは@ITの立ち上げをされたpublickyの新野淳一さんが書かれた「ブログでメシが食えるか? Publickeyの2012年」という実体験記事です。「ブログでメシが食えるか、Publickeyの2011年」と合わせて読むと、非常に興味深いことが書かれていました。

まずはページビュー(PV)の振り返りから。11月までの結果では、月間40万PVを何度か超えるようになり、最大では50万PVを超えるところまで来ま した。ゆっくりながらも少しずつ伸びてきている状況です。

(中略)

2012年1月から12月までの1年間のPublickeyの売り上げは、合計で835万8819円でした。内訳は、バナー広告やテキスト広告などが 473万1300円、タイアップ広告が276万4661円、グーグルのAdSenseが64万9086円、Amazonアフィリエイトが5万3772円、 記事ライセンスなどその他が16万円でした。

(中略)

ブログの売り上げが向上したのと同時に、講演やパネルディスカッションのモデレータ、原稿執筆などによるフリーランスとしての収入も昨年より向上しました (ちなみに、昨年はブログ収入よりもフリーランス収入の方が多かったのですが、今年は逆転してブログ収入の方が上回りました)。http://www.publickey1.jp/blog/12/_publickey2012.html より引用

新野さんの場合は「エンタープライズ系のIT情報、Web技術の最新動向、そしてオンラインメディアの未来について」記事を書かれています。「小さなメディアでどれだけのことができるのか」。実体験を元に個人ブログというメディアの可能性をさぐられているのが興味深いと私見では思いました。

参考:ブログでメシが食えるか? Publickeyの2012年 - Publickey

新野さんは個人メディアの可能性を探られているのに収益の面を取り上げるのは心苦しいのですが、文筆業メインで活動している人の場合は個人ブログの広告代だけでも十分な収入を得ることが可能であると知りました。

しかしアクセス数が多いと人気のブロガーさんでも、ブロガーのイベントで話を聞いた限りではブログの収益で生活できる人はごく少数のようです。

一般的にはブログ経由では収入にならないだろうから、セルフブランディングをして有名になり、本業への利益を上乗せしていく手法をプロブロガーは取っているのだろうと私は推測をしました。

アクセス数の多さと仕事の依頼は相関あるの?

「ブログを書くと儲かると聴いたので、片岡先生教えてください」と複数人に訊かれるようになりました。しかし「ブログの広告収入で仕事になるのは元から文筆業をしているか有名人くらいです。」と答えています。

「○○好きだからたくさん書いている」人の記事は書き手の気持ちが伝わってきて楽しい。書けば書くほど専門性が高まり専門家として評価されていくのではないでしょうか。

ブログのアクセス数が多いことを実績に「こうやればアクセス数が多いブログを書けます」と講演したり本を出せば利益になることもあるでしょう。とはいえ、ブログ記事のアクセス数の多さと仕事の依頼に相関があるとは限りません。

わざと記事を炎上させるように書いてアクセス数を増やす手法があるようですが、長期的に見れば信用を失いかねません。一時的にアクセス数が大きく増えるでしょうが、よほどのしたたかさがない限りは仕事の依頼が減る確率のほうが高いのではないでしょうか。

私の場合はアクセス数が少ない個人ブログを見て仕事の依頼が複数回来ました。意外にも一番アクセス数が多いオルタナティブ・ブログ経由ではほとんどありませんでした。

私が特殊な事例かもしれないのですが、「アクセス数と仕事の依頼に相関がある」と言うだけの根拠は現時点ではありません。

記事のクオリティや日頃の人柄も仕事の依頼をいただくには大事な要素ではないでしょうか。そのため「相関があるとは言い切れない」というスタンスをとっています。

プロの文筆家が個人ブログで記事を公開していけば収益が大きくなることは新野さんの記事でありえると知りました。しかし「素人が個人ブログで記事を毎日たくさん書けば儲かる」という発想はおすすめできない、と私見では思っています。

>>「ブログメディアについての雑感 コミュニティ編」に続く


追記:2013.2.13 11:28 冒頭部分から一文削除しました。冒頭部分の内容を改稿 加筆しました。2013.2.21 1:48 題名を「ブログメディアについての雑感 2013.2.13 前編」からを「ブログメディアについての雑感 プロブロガー編」に改めました。

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