新入社員研修で伝えていること 独学できるようになる方法
新入社員研修で伝えなくてはならないと感じていることを、いろいろと書いてきました。
そして、前回のブログでは、「独学」の大切さを書いたわけですが、では、どうすれば独学ができるようになるのでしょうか。
「時間を作る」
答えは、これに尽きるような気がします。何を学ぶにしても、時間がなければ何もできません。また、何を学ぶかは、その時々の興味や関心、必要によって変わります。
「何のために、何を学ぶか」を考えてから決心して行動を起こすのではなく、日常習慣として、「時間」を生活のリズムに組み入れておくことが、まずはやるべきことです。
習慣というのは、「朝起きたら歯を磨かなければ、気持ちが悪い」や「朝起きたら出なくてもトイレに座らなければ落ち着かない」の類です。まったく頑張ってもいないし努力もしていません。むしろそれができないことが、気持ちが悪いと感じられるようになることが、習慣です。
独学の時間は、なんと言っても早朝です。人の都合を気にすることはありませんから、自分でどのようにでもできます。アレをやっておけ、コレをお願いしますといったことで誰かに邪魔をされることはありません。
私が社会人として初めて勤めた会社は、いまでいう「ブラック企業」で、終電を過ぎるまで仕事をし、タクシーで家に帰る日常でした。
新入社員ですから、先輩や上司からは、鬼のように仕事が降ってきます。仕事が終われば、飲みに連れて行かれます。徹夜も特別なことではありませんでした。
仕事の要領が悪いのだから仕方がないし、私だけではなく、だれもがそんな働き方をしていました。当時の社会の風潮として、それが当たり前の時代でもあり、「そういうものなんだ」と思っていました。
その一方で、自分の知識の不足、常識のなさに常に危機感を持っていました。何とかして、知識を得なければ、うまく仕事ができるようにならなくてはと焦っていました。そんな状況の中、誰かに言われたわけではなく、朝の8時前には必ず出社して、自分のための時間を作るようになりました。そうでもしなければ、いつまで経っても仕事ができないままです。今風に言えば、「ヤバイ」と心底おびえていました。
なぜ早朝なのかということですが、そこしか時間がなかったわけです。しかし、やってみると、先輩もいなければ上司もいませんし、お客様から電話がかかってくることもありません。とても気楽で開放感を感じる時間でした。IT企業でしたから、その時間を使って製品やサービスのマニュアル読み、新聞を読み、1日の仕事の段取りをシミュレーションするなど、落ち着いて自分だけの時間を過ごすことができました。
40年経ったいまでも、この習慣は続いています。いまは、もう少し早起き(努力しなくても年をとればそうなりますが)になり、この時間は、2〜3時間へと伸びています。
「凄いですね」とか、「素晴らしいですね」と言われることもあるのですが、そういわれても、困ります。習慣なので、頑張ってもいないし、努力もしていません。むしろできないことが、嫌なので、気持ち悪いので、結果として、続けているわけです。
私には、「ヤバイ」感がありましたら、こういう時間を作らざるを得ませんでした。いやいやで頑張ったわけではありません。いまの自分を何とかしたかったし、このままでいることが恐怖でもありました。だから、早朝の時間は、そんな私を救ってくれる楽しい時間でもあったわけです。
いま思えば、「一生の財産」を手に入れたようなものです。私は、この時間を「朝のゴールデンタイム」と呼んでいます。そして、このような一生の財産を手に入れて欲しいと新入社員研修では伝えるようにしています。
「決心してから行動する」は、なかなかできることではありません。そもそも、決心なんて、頑張ってするものではなく、「行動し続けたら、いつのまにか決心がついていた」と言うものだと思います。まずは、考えずに「カタチから入れ!」です。
もちろん、人によっては努力が必要だと思います。しかし、それだって、3ヶ月も気合いを入れて頑張れば、習慣となり、一生の宝になります。
「朝が苦手、ダメなんです」と言う人も多いのですが、ほとんどの人は、そう勝手に思い込んでいるだけです。行動を起こせば、意外とできてしまうものです。そんな人をこれまでたくさん見てきました。まずは、この思いこみを捨てることです。
では「朝のゴールデンタイム」で何を学ぶかです。簡単です、好きなこと、やりたいことをすればいいのです。時間ができたわけですから、何かしなくちゃなりません。難しく考えなくても何かを始めてしまいます。頑張らなくても間違えなく独学の習慣が身につきます。
大切なことは、まずは「時間を作る」ことです。そこから始めてみてはどうですか。
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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
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- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
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