【図解】コレ1枚でわかるUIとUXの関係
前回に続き、さらに理解を深めるために、UIとUXの悪い例を見てゆくことにしましょう。
先ず、UIについてですが、例えば、「次のページ」というボタンが、左側にあれば、気持ち悪いと感じるでしょうし、迷ってしまいます。それは、「前のページ」は左、「次のページ」は右であるという常識が、私たちの頭の中にすり込まれているからです。コップに取手がついていれば、それはつかむものだと、直ぐに思い浮かびます。赤い円に右向きの三角形があれば、動画再生のボタンだと誰もが思い浮かべます。そういう気付きを説明がなくても「分かる」のが、優れたUIであると言えます。
次にUXについてですが、例えば、青いボトルに入っていたら、あなたはそれを直ちに「トマト・ケチャップ」であるとは、認識できないはずです。ラベルに書かれている「トマト・ケチャップ」と書かれた文字を読んで、気持ち悪いながらも納得することになるはずです。これは、悪いUIです。そして、このガラス・ボトルは、蓋を開けて、下向きに出さなくてはなりません。しかし、口は広くドバッと飛び出してくるかも知れません。ビンの口のまわりにケチャップがまとわりつき、蓋を閉めるときにそれを拭い取らなくてはならず、使い勝手が悪い容器です。これは、悪いUXです。
同じ形状でも赤い(トマトケチャップ色)のボトルになれば、「トマト・ケチャップ」であることは、直ぐに分かりますから、UIは改善したことになります。しかし、ボトルの形状が変わらなければ、UXは相変わらずです。それに対し、弾力のある赤いプラスチック・ボトルに大きく平らな蓋を付けて下向き置くことが「当然」と言わんばかりの製品があります。口は細く、ボトルを指で押せば、適量のケチャップを確実に取り出すことができ、口を汚さず、最後まで使い切ることができるようになったことで、UIとUXが向上しました。
ITサービスについても同様です。サービスを提供する側が、UIに意匠を凝らし、わかりやすい操作性を実現したつもりでも、それを使う利用者が、満足するとは限りません。利用者がこのサービスに期待することは何かを徹底して考え、これを満たすことで、心から良かった、役に立った、また使いたいと感じてもらえるようにしなければ、利用者は離れていってしまいます。そんな利用者の視点に立って、彼らの満足を追求するのが、UXという概念です。
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2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー