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DXは何を売ればいいのか 2/2

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前回は、DXに関わるビジネスに、「こうすればいい!」という正解はないと申し上げたが、正解がないからと言って何もできないわけではない。まずは、DXやデジタル化などという看板を外すことからはじめるべきだ。

私心なく、お客様と対話することから初めてはどうだろう。自分たちに何ができるか、つまり、自分たちのスキルや体制、扱っている商材などは、一旦神棚に預けておこう。「これを売るために」という前提を忘れることだ。

対話とは、相手への敬意と共感から始まる。これまでの彼らの歴史を否定するのではなく、その苦労に思いを馳せ、いまの状況や悩みを聞き、それに頭を垂れる。次に、自分の中に浮かんだ疑問をぶつけ、それについて、整理し、また問いかける。そして、最後に、ならばこうしてはどうか、こんな取り組みがうまくいくのではないかと、自分の正解(の仮説)を相手に投げかけ、議論を深めてゆく。もちろん、その正解は、「お客様にとっての最適解」であり、自分たちのビジネスにとっての最適解になるかどうかは、無視することだ。

「過去」に共感し、「現在」を冷静に見つめ、「未来」を提言する。それが対話だ。

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DXやデジタル化ありきではない。自分たちの商材ありきではない。業務手順や組織体制、業績評価制度や雇用制度、現行システムや自分たちへの不満や期待など、お客様の幸せのために、一緒になって、最適解を探すために対話する。DXやデジタル化、自分たちの商材は、その後の話である。

そんな対話から得られた最適解のほとんどは、案件に結びつくことはないだろう。それでも、お客様を一番に考えて向きあえば、まずは、仲間に入れてもらえる。お客様と一緒のチームになれる。たぶん、「共創」とは、そんなお客様との関係が土台になるのだと思う。

ビジョンや目的、自分たちにできることやできないこと、自分たちが知り得た知識や課題など、ありとあらゆるものをオープンに共有し、信頼関係を築き、お客様の仲間として、お客様と合意した「あるべき姿」の実現に向けて、ワン・チームで取り組むことだ。

予め用意された正解はない。だから、お客様と一緒になって、自分たちで正解を作る。

正解のない時代に、お客様が求めているのは、こういうパートナーだと思う。DXやデジタル化の看板など、どうでもいい。こういうことができる人間力こそが、最強の看板になる。

そんな人間力の本質は、誠実さだけではない。知識と見識、そして胆識が必要だ。

知識とは理解と記憶力の問題で、本を読んだり、お話を聞いたりすれば知ることのできる大脳皮質の作用によるものです。

知識は、その人の人格や体験あるいは直観を通じて見識となります。

見識は現実の複雑な事態に直面した場合、いかに判断するかという判断力の問題だと思います。

胆識は肝っ玉を伴った実践的判断力とでも言うべきものです。

困難な現実の事態にぶつかった場合、あらゆる抵抗を排除して、断乎として自分の所信を実践に移していく力が胆識ではないかと思います。

(山口勝朗著『安岡正篤に学ぶ人間学』より)

リーダーシップを発揮し、お客様の教師として、毅然と向き合える人材こそが、お客様が求めるパートナーになれる。

クラウドが当たり前の時代になり、製品やサービス、あるいは工数を売ることは、難しくなってゆく。ここで稼げるうちに、稼いでおくことは何も間違ってはいない。一方で、お客様は、正解のない時代に、正解を探している。結果として、何がビジネスになるのかは、依然、残るテーマではあるが、お客様にとってのかけがえのないパートナーになることが、これからの営業が目指すべき「あるべき姿」ではないだろうか。

最初に相談される相手

こう表現することもできるだろう。そうなれば、もはや競合は存在しない。自分たちができることとできないことを自分で仕訳すればいい。必要とあれば、お客様の取り組みを差配すればいい。

もちろん、たとえ案件にはならなくても、次の機会には、また「最初に相談される相手」になる。そんなお客様を沢山持てば、案件が、枯渇することはない。

流行言葉で自分を着飾ることはやめよう。DXなんてどうでもいい。そんなことより、プロフェッショナルとしての知識、見識、胆識を示し、「最初に相談される相手」になろう。

正解のない時代の営業は、「最初に相談される相手」になることだ。そして、お客様と一緒になって、正解を作ることに全力を尽くそう。それが、結果としてうまくいったら、「DX案件の事例」であるとか、「デジタル化の先進事例」という看板をつければいい。

正解のない空っぽの箱に、立派な看板をかかげて、「これ、ほしくありませんか?」とお客様を引っかけようというのは、姑息な手段だ。それよりも、「自分たちにも正解はないけど、一緒に正解を作りましょう!」と伝えるべきだ。そうやって、誠実にお客様に寄り添い、向きあい、空っぽの箱を自分たちで作った正解で埋め尽くそう。その実績を積み上げ、方法論にすれば、立派なコンサル商材にできる。その上で、「お客様のDXに貢献します」や「お客様のDXパートナーとして、お役に立ちます」というほうが、よほど説得力がある。

正解がなければ、正解を作るしかない。営業は、お客様の先生となり、正解を作る取り組みのリーダーにならなくちゃいけない。そんな営業が、これからは必要になるのだと思う。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【10月度のコンテンツを更新しました】
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研修パッケージ
・【改訂】総集編 2021年10月版
・【改訂】DX基礎編 デジタルトランスフォーメーションの本質とビジネス戦略
・【改訂】SI事業者のための最新のITトレンドとビジネス戦略 1日研修パッケージ
*トピックスとトレンドにつきましては、他の資料に統合するカタチで、メニューからは外しました。
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ビジネス戦略編・DX
【改訂】デジタル化とはレイヤ構造化と抽象化 p.8
【新規】アンバンドル/リバンドル/エンハンスメント p.13
【新規】アンバンドル/リバンドルとクラウド p.14
【改訂】DXとはVUCAの時代に対応するための変革 p. 19
【新規】なぜ、自律的な組織が必要か p.20
【新規】DXのメカニズム p.21
【新規】デジタル化とDXの違い p.22
【改訂】DXの公式 p.119
【新規】DX戦略の位置付け p.197
【新規】DXの戦略と戦術 p.207
サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ
【新規】脳と人工知能/AIの関係 p.16
ITインフラとプラットフォーム編
【改訂】サイバー・ハイジーン p.105
【新規】セキュリティの基本構成が変わる p.124
【改訂】5Gの社会実装に向けたロードマップ p.277
【新規】5Gの3つの特性とアプリケーション p.280
【改訂】ローカル5G(Private 5G) p.283
クラウド・コンピューティング編
【改訂】米国政府の動き p.35
開発と運用 編
【改訂】気付きからサービスに至る全体プロセス p.33
【新規】DXを実践するための環境 p34
下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 サービス&アプリケーション・基本編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
 クラウド・コンピューティング編
 テクノロジー・トピックス編
 ビジネス戦略編・その他
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