神社の杜の仕事場 8KUMO のMVP
神社の杜の仕事場 8KUMOのMVP(Minimum Viable Product/顧客価値があり、利益を生み出せる最小限のもの)をどうするかについて、悩みに悩んだ。そして、次のようなMVPとすることとした。
「キャンプを楽しみながらリモート・ワークをしたい、ITプロフェッショナルのための施設」
この設定に基づいて、次のようなエレベーターピッチを書いてみた。
- キャンプを楽しみながらリモートワークをしたい、
- アウトドアが大好きなITプロフェッショナル向けの、
- 神社の杜の仕事場 「8KUMO」は、
- IT環境とリモートワークに必要な設備の充実したキャンプ・グラウンドである。
- ここは、森全体が仕事場となるように、森のどこからでもWiFiが利用でき、キャンプ・サイトやグランピング・テント、森の中に点在するデスクからは、電源も使えるようになっている。
- 他にも沢山あるキャンプ場と違って、
- リモートワークを前提に、充実したIT環境や設備が備わっているところは他にはない。
最終的な8KUMOの全体像は、六角堂や四角堂などの壁一面のホワイトボードや大型ディスプレイ、ペアプロのためのワーキンデスクなどが備わったプロジェクト・ルームや、人材育成やチームビルディングのためのプログラムの提供などを想定しているが、これらをはじめるには、資金的にもノウハウ的にも一度にはじめられない。そこで、思い切ってこのようなMVPに絞り込んで、まずは走り出すことにした。
この考えに至ったのは、先日30名ほどの人たちがオンラインで集まってくれた「第158回白熱塾:森林(もり)で集うビジネス企画のブレスト」での議論が、大いに参考になっている。「白熱塾」とは、デンソーの成迫剛志さんが、個人的に主催するオープンな勉強会である。彼にこの話をしたら、即座に「面白そうだから、白熱塾で議論してみよう」というノリで開催が決まった。
私はこれまで新規事業に欠かせない差別化、自分にしかできないこと、圧倒的な優位性といった、要件を盛り込もうと、いろいろと考えていた。そうしているうちに、どんどんと内容が膨らみ、ああでもない、こうでもないと、てんこ盛りの絵ができあがり、事業の体裁が描かれていった。しかし、その結果として、このプロジェクトを思いついたときの発想の原点や、私が求めている基本的な価値は何かと言うことが、どこかに棚上げされてしまっていたようだ。
「もっとシンプルに考えてはどうなんだろう」
「森の中でキャンプができて、WiFiがあれば、私ならそれで行きますよ」
そんな意見も飛び出して、ハッとした。そうだよなぁ、もっと簡単に考えればいいのではないか。全体構想は、描くにしても、MVPを思いっきり絞り込まなくちゃ、何も始まらない。
この考えの最大の課題は、「手段の目的化」が、成功するかと言うことだ。
モダンIT人材の育成 & モダンIT人材の活躍の場を提供
私が、この場を使ってやってみたいことだ。つまり目的である。しかし、8KUMOはそのための手段に過ぎない。あえてここでやる必要もないし、オンラインでも十分ではないか。8KUMOという手段を使うことの明確な必然性が見いだせない。
ならば、8KUMOという手段を極め、その価値で事業を成立させ、その土台の上に、「目的の達成」という次の段階を考えるというのが、現実解であるように見えてきた。そして、そのことこそが、このプロジェクトを立ち上げようとした原点でもある。
そんな想いとともに、キャンプ場をいろいろと調べ、実際に行ってもみた。いろいろな人たちと話してもみた。その結果、「キャンプを楽しみながら、リモート・ワークをしたい、ITプロフェッショナルのための施設」という需要は、ありそうだと見えてきた。
名著「失敗の本質」に次のような記述がある。
『日本軍の戦闘上の巧緻さは、それを徹底することによって、それ自体戦略的な強みに転化することがあった。いわゆるオペレーション(戦術・戦法)の戦略化である。』
まさにこれだなぁといった感じだ。ただ、続く次の文章も忘れてはいけない。
『しかし、近代戦においては、つねに通用するわけではなかった。一定の枠組みの中で、敵の行動が可視的に捉えられ、自軍の行動に高度の統合性を要求されないような場合においてのみ有効であった。』
世の中の動きを常に捉え、プロジェクト全体の「戦略的合理性」を見据えながら、まずは「オペレーションの戦略化」で、橋頭堡を築く。日本軍の失敗の本質は、「オペレーションの戦略化」にのみ頼ってしまった、あるいは、これで最後までいけると思い込んでしまったことにある。その轍は踏まないようにしなくてはならない。
いずれにしても、走り出さなければ、何も感じられないし、いつまで経っても妄想の域を出ない。だから、このMVPで、動き出し、感じながら考えてみようと思う。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第38期(10月6日〜)
次期・ITソリューション塾・第38期(10月6日 開講)の募集を始めました。
ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。
また、何よりも大切だと考えているのでは、「本質」です。なぜ、このような変化が起きているのか、なぜ、このような取り組みが必要かの理由についても深く掘り下げます。それが理解できれば、実践は、自律的に進むでしょう。
- IT企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。
特別講師の皆さん:
実務・実践のノウハウを活き活きとお伝えするために、現場の最前線で活躍する方に、講師をお願いしています。
戸田孝一郎氏/お客様のDXの実践の支援やSI事業者のDX実践のプロフェッショナルを育成する戦略スタッフサービスの代表
吉田雄哉氏/日本マイクロソフトで、お客様のDXの実践を支援するテクノロジーセンター長
河野省二氏/日本マイクロソフトで、セキュリティの次世代化をリードするCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)
最終日の特別補講の講師についても、これからのITあるいはDXの実践者に、お話し頂く予定です。
- 日程 :初回2021年10月6日(水)~最終回12月15日(水) 毎週18:30~20:30
- 回数 :全10回+特別補講
- 定員 :120名
- 会場 :オンライン(ライブと録画)
- 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000) 全期間の参加費と資料・教材を含む
詳細なスケジュールは、こちらに掲載しております。