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転職力と社会的価値 1/2

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政府は高齢化と公的年金の財政悪化に対処するため、現在65歳までとなっている企業の雇用義務を70歳まで延長し、事実上の生涯雇用制度へのシフトを進めようとしています。しかし、実態は役職定年の強化、定年後に再雇用されても給料は大幅に下がり、場合によってはグループ内の派遣会社の社員となり、まったく別の会社に派遣されるという可能性も少なくありません。見かけは定年延長であっても、実質は転職と変わりのない扱いとなることも多いようです。

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また、最近「45歳以上の希望退職」の話しをよく聞くようになりました。これは45歳あたりが、年功序列型給与の恩恵を受けてきた最後の世代だからで、45歳以上の年代を減らし、年齢に関係なく能力と成果に基づく公平な給与体系という、新しい秩序へと転換を図りたいとの思惑があるからでしょう。

このような社会情勢の中で、いくつかの大手企業は、専門職を対象にした新しい人事制度を開始しています。例えば、NTTグループの場合、制度上は報酬の上限はなく、3000万円を超える可能性も十分あるとしています。ただ、いいことばかりではなく、退職金はなく企業年金の運用もできなくなること、会社と本人との間で話し合ってKPIを設定し、KPIを達成できないと、基本的には報酬が下がるなど、かなりチャレンジングな制度だそうです。

一方で、テクノロジーの進化と相まって、ライフスタイルや医療・衛生・栄養が改善し高齢化を助長しています。日本の場合、平均寿命は10年間で23歳伸びてゆくと言われており、いまの20歳代の人たちは、100年人生が当たり前になるかもしれません。

もはや、終身雇用という幻想に期待できません。100年人生は当たり前になろうとしています。そんな時代を考えれば、どこででも働ける自分になること、すなわち「社会的価値」を高めてゆくことに、真摯に向き合わなければならないでしょう。

私自身、還暦を過ぎ、この現実を身につまされる思いで向きあっています。わかりやすく言えば「恐怖」です。この「恐怖」に目をつぶっていても逃れることはできない以上、どうすれば自分の社会的価値を高められるかに向きあうしかありません。会社や組織という看板など、守ってくれるものは何もありません。自分の行動や発言が世の中に晒されるわけで、それ次第では、仕事や収入が大きく変わってしまいます。

私は、36歳の時にサラリーマンを辞めて独立しました。その時は勢いであり、まあ何とかなるだろうと気楽に考えていました。しかし、世間はそんなに甘いものではありませんでした。いろいろなことがありましたが、だからこそ覚悟ができたと思っています。本当の覚悟は、様々な経験があったからこそ築かれるものです。

転職する、あるいは独立するかどうかを考えている人がいらっしゃるかもしれません。私は、そんな想いを応援したいと思います。ただ、ひとつ考えて欲しいことは、それが自分の「社会的価値」を高めることができるかどうかです。

「社会的価値」とは、会社や地域の文脈に依存せず広く社会に求められる存在であることを意味します。そのためには、リスクを冒してでも、自らを世間に晒し、様々な人のつながりやいろいろな経験を通じて、自らの覚悟を育ててゆくことなのだろうと思っています。それは、必ずしも転職や独立をしなくてもできることです。

もちろん、そんな機会も与えられないほどにブラックな職場であるのなら、とっととそんな会社を辞めて環境を変えた方がいいでしょう。でも、もしそうでないとすれば、自分は、「社会的価値」を高めることに関心を持っているのか、そのための行動をしているのかをまずは問うべきかも知れません。

確かに環境が変われば、気分も一新して、頑張れる気になるかも知れません。しかし、それはきっかけにすぎません。成り行きでは「社会的価値」を高めることはできません。そのための行動を起こすことは、自分の意志であり、まわりが与えてくれることではありません。たとえ、環境が変わっても、また同じことを繰り返すだけになってしまいます。

まずは行動することです。「まずは覚悟を決めてから」などと行動を先送りしてはいけません。行動すれば、その結果として、覚悟は固まります。「どこででも働ける」能力とは、そんな行動習慣を持っているかどうかです。

では何をすればいいのでしょうか。いろいろと理屈を考えるのではなく、自分の感性に従って「面白そうだからやってみる」ことから始めることです。これをやれば給与が上がる、待遇が良くなるではありません。

ITに関わる仕事をしている方ならこの意味がよく分かると思いますが、いまの流行の技術なんて長続きしないのです。自分の向き不向きも、過去の限られた経験の中での勝手な思いこみです。それが正しいという保証はどこにもありません。だから面白そうなことに飛びつき、徹底していじり倒し、また新しいことが登場したら、また飛びついてみる。そういう感性が必要なのだろうと思います。

そうすれば、それにまつわる情報は集まり、人のつながりは増え、アウトプットの機会も与えられ、自分を世の中にさらけ出す機会はどんどんと増えてゆきます。自ずと、自分の向き不向きも見えてくるでしょう。結果として、自分の覚悟は固まり、社会的にも存在感を高められるようになるはずです。

そういう人材は、いまの会社も求めているし、どこでも働けますから、選択の自由は拡がります。ますます、自分の「社会的価値」を高める機会が増えてゆく、成長のサイクルに乗ることができます。

では、どうすれば、「社会的価値」を高めることができるのでしょうか。そのための3つのツールについて、明日は書いてみようと思います。

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【募集開始】次期・ITソリューション塾・第38期(106日〜)

次期・ITソリューション塾・第38期(106日 開講)の募集を始めました

ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。

また、何よりも大切だと考えているのでは、「本質」です。なぜ、このような変化が起きているのか、なぜ、このような取り組みが必要かの理由についても深く掘り下げます。それが理解できれば、実践は、自律的に進むでしょう。

  • IT企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん

そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。

特別講師の皆さん:

実務・実践のノウハウを活き活きとお伝えするために、現場の最前線で活躍する方に、講師をお願いしています。

戸田孝一郎氏/お客様のDXの実践の支援やSI事業者のDX実践のプロフェッショナルを育成する戦略スタッフサービスの代表

吉田雄哉氏/日本マイクロソフトで、お客様のDXの実践を支援するテクノロジーセンター長

河野省二氏/日本マイクロソフトで、セキュリティの次世代化をリードするCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)

最終日の特別補講の講師についても、これからのITあるいはDXの実践者に、お話し頂く予定です。

詳しくはこちらをご覧下さい

  • 日程 :初回2021106()~最終回1215() 毎週18:3020:30
  • 回数 :全10回+特別補講
  • 定員 :120
  • 会場 :オンライン(ライブと録画)
  • 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000) 全期間の参加費と資料・教材を含む

詳細なスケジュールは、こちらに掲載しております。

*追加開催決定!9月1日(火)

新入社員のための 「最新ITトレンド・1日研修」

ご要望多数により、「最新ITトレンド・1日研修」を9月1日(火)に追加開催することとなりました。
新入社員の皆さんはもとより、ITの最新トレンドやDXなどの基本的知識を整理したいとお考えの方には、お役に立つと思います。

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1万円(税込)/2021年度の新入社員と2年目の方
2万円(税込)/上記以外の方
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オンライン( zoom)にて開催します。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【8月度のコンテンツを更新しました】
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・新入社員のための最新ITトレンド1日研修・2021年版 改訂
・SI事業者のための最新のITトレンドとビジネス戦略・1日研修パッケージ 改訂
・DXに関連したチャートを充実
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研修パッケージ
・【改訂】総集編 2021年8月版
・【改訂】DX基礎編 デジタルトランスフォーメーションの本質とビジネス戦略
・【改訂】SI事業者のための最新のITトレンドとビジネス戦略 1日研修パッケージ
・【改訂】新入社員のための最新ITトレンド1日研修・2021年版・パッケージ 
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ビジネス戦略編・DX
【改訂】デジタル化とはレイヤ構造化と抽象化/デジタル化以前 p.9
【改訂】デジタル化とはレイヤ構造化と抽象化/デジタル化以降 p.10
【改訂】デジタル化とはレイヤ構造化と抽象化/社会構造の変化 p.11
【新規】レイヤ構造と抽象化とは何か p. 12
【新規】デジタル化とデジタル技術の役割p.13
【新規】DXとデジタルとアーキテクチャーの関係 p.14
【新規】DXの構造 p.109
【新規】DXのメカニズム p.110
【新規】DXの公式 p.111
【改訂】ビジネスを生みだすための着眼点 p.194
【改訂】デジタル戦略の3つの公理 p.196
【新規】課題とは何か p.197
ビジネス戦略編・その他
【新規】作らない技術を前提としたシステム p.60
【新規】ITの変化とビジネス対応 p.61
【新規】技術力の転換 p.62
【新規】求められる戦略転換p.63
【新規】SI事業者の3つの戦略オプション p.64
【改訂】コロナ禍を見据えた3つの変革施策 p.65
ITインフラとプラットフォーム編
【改訂】攻撃サービスの低価格化と攻撃機会の増加 p.100
【改訂】対症療法では問題は解決しない p.101
【新規】APT攻撃による境界型防御の限界 p.102
下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 サービス&アプリケーション・基本編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
 サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ
 クラウド・コンピューティング編
 開発と運用編
 テクノロジー・トピックス編

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