「怖い」からブログを書く
「斎藤さんは、よく毎日、ブログを書き続けられますね?」
こんな質問をされることがある。
「なんで、そんなことができるの?」
そんな、ごく軽い気持ちでの問いかけであろう。同時に、よく続くよね、どうしてそんなことするの?といった、「自分には理解できない」ことへの好奇心なのであろう。
この質問への答えは、とても明快だ。「怖いから」である。
いまでこそ、いろいろと仕事の機会は頂けているが、自分の人生の中で、こんな期間は、珍しい。特に、2008年のリーマンショックのころは、まったく仕事がなくなってしまった。
私の仕事は、事業開発や人材育成に関わる研修講師やアドバイザリーの仕事だ。つまり、お客様の稼ぎには、直接貢献はしない。だから、リーマンショックのような、お客様が日々の稼ぎがどうなるか分からない事態に陥ると、真っ先に切られる仕事である。リーマンショックは、日本全体が、「どうなるか分からない」状況に陥ってしまったわけで、まさに、まったく仕事がなくなってしまった。
これほど極端なことは、リーマン・ショックだけだったが、収入の浮き沈みは、日常のことだ。当然、サラリーマンとは違って、毎月給与が払われるわけではなく、ボーナスが増えた/減ったで、一喜一憂することもない。手当だとか、保険だとか、福利厚生も全て自腹である。仕事がなくなってしまえば、息の根が止まる。そんな、ハラハラドキドキの人生を送っている。
だからと言って、世の中の景気のことやお客様の経営状況は、自分の力でどうしようもない。自分にできることは、「世間に忘れられないための自助努力」しかない。ブログは、そのための手段だ。
もちろん、ブログ以外にも「世間に忘れられないための」手段は、いろいろと駆使している。例えば、勉強会やコミュニティ活動、飲み会への参加、書籍の執筆やメディアへの寄稿なども、それが仕事に役立つとか、お金がもらえるとかではなく、自分の世間に対する存在証明のために行っている。もちろん、それが楽しいと感じているので、面倒だと感じることはない。
存在証明の確かなカタチは仕事のご依頼を頂くことだが、そのもっとも有効な手段は、講義や講演における顧客満足度を高めることだろう。美しく整えた資料で、分かりやすく説明することは当然のことではあるが、相手の関心事、知らないことは何かを探し、それを伝えることや、相手がタブーと感じていることに、積極的に切り込むことで、驚かせることが大切だ。また、資料も、全てパワポのオリジナル・ファイルを差し上げているのだが、これは本当に喜んでもらえて、心証がいい。
まあ、そんなけなげな(笑)努力で、何とかして、忘れられないように印象づけて、また次の機会があれば、思い出してもらえるようにと心がけている。それもまた、自分が、世間に忘れられてしまうのが「怖いから」だ。
ついでに言うと、ブログを毎日書くことは、何も大変なことではない。毎朝歯を磨かなければ気持ちが悪い、出なくてもトイレに座らなければ落ち着かないのと同じである。頑張ってもいないし、努力もしていない。書かずにはいられないし、書かないことが「怖い」からだ。習慣になってしまっているのだ。だから、こうして、いまもまたブログを書いている。
たぶん、ダイエットのために毎朝走っている人と同じかも知れない。走っていないと、太ってしまうのが「怖い」と考えるのと同じだろう。
ただ、そんな習慣が身についてしまうと、それが楽しくなってくる。深層心理を突き詰めれば、「怖い」のだが、それを楽しみながらやれるようになる。だから、ネタを探したり、文言を考えたりすることが、苦にならない。むしろ、どうすれば、伝わる内容になるだろう、どんな表現にすれば、読者はどんな印象を持つだろうと、思いを巡らしながら言葉を紡ぐ。そういう工夫が、楽しい。
講義の資料をパワポで作り、それを説明するための台詞を作りブログとして投稿することも多い。これは、仕事との一石二鳥である。そうやって、楽する知恵も働く。これもまた、得した気分だ。
見方を変えれば、行動が習慣となった結果、決心が固まり、やる気スイッチが入ったわけだ。決心を固めてから行動することは、難しいが、行動が習慣になれば、決心は自ずと固まるので、私にとっては、そちらの方が、性に合っている。
さて、そんなわけで、毎朝ブログを書いているわけだが、ちょっと休憩してみようと思う。夏休みだ。刹那に言葉を絞り出すのではなく、すこしいろいろと考えたり、本を読んだり、山を歩いたりしてみよう。それもまた、ブログの肥やしなると信じている。
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