お客様の業務に精通しているだけでは優秀な営業にはなれない理由
「お客様の業務なら、十分に知っているつもりです。」
あるSI事業者のベテラン営業さんが、自信ありげに話されていました。
「お客様の業務を知らなきゃ、これからはやっていけない。製品や技術のことばかりでなく、もっと上流の業務について分かっていなきゃ、これからの営業は務まらない。」
そんな言葉を耳にしますが、本当にそうなのでしょうか。この営業さんも、同じお客様を長年担当され、確かにお客様の業務をよくご存知のようです。しかし、営業として成果を上げているかと言えば、「ほどほど」のようでした。
「業務を知っている=優秀な営業」という等式は、必ずしも成り立ちません。
営業にとつて、「お客様の業務を知っている」とは、「お客様の"未来の" 業務を知っている」ことでなくてはなりません。
例え"いま" の業務を知っていたとしても、そこからどのような提案ができるのでしょうか。
お客様の業務にはどのような問題があり、どのように改善すればいいのでしょうか。お客様の業界のこと、競合のこと、お客様の経営戦略のことを知らずして、お客様の「あるべき姿」を描くことはできません。そこに至る道筋を示すことができなければ、魅力ある提案などできるはずはありません。
お客様の未来の「あるべき姿」といまの「現実」とのギャップが課題です。このギャップを埋める、すなわち課題が解決できる提案をお客様は求めています。だから、"いま"を知っているだけでは不十分なのです。
テクノロジーの未来についても、知っておかなければなりません。私たちは、お客様の未来の業務を実現するために、ITはどのような貢献ができるのでしょうか。それは、いま広く使われているテクノロジーや製品だけで、答えを出すことはできません。来たるべき未来を見据えたITの活用を提案ができてこそ、お客様の"未来の"業務を支えられるのです。
営業は、お客様の"未来"に責任を持つ仕事です。
お客様の業務の未来とテクノロジーの未来を知り、3年後、5年後にこうあるべき、と伝えることが、営業の仕事です。
お客様の良き相談相手になるには、そんな「営業の仕事」ができなくてはなりません。自分たちのこれからを相談できる存在になれば、自ずと仕事を任せていだけるようになります。性能や機能、価格や納期だけでは、差別化が難しい時代にあって、競争優位を築く重要な要件です。
お客様のいま(as is)を知ることは、未来(to be)を知るための土台です。しかし、どうすれば、もっと良くなるかを、お客様の業務や経営にまで拡げ、どうすればいいかを考え、調べ、仮説を立て、お客様にぶつけて確認する、そういう心構えと行動の繰り返しが、未来を知る最良の筋道です。
「お客様の業務なら、十分に知っているつもりです。」
だからなんだというのですか。お客様をもっと良くするためにはどうすればいいのか。そんなお客様への愛情がなければ、お客様の"未来の"業務を知ることはできず、良き相談相手として、受け入れていだくことはできません。
「そう言われても、簡単なことではありませんよ。」
その通り、簡単ではないからこそ、差別化でき、競争優位を築くことができるのです。
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