DXとデジタル化の違いを、あなたは説明できるだろうか?
デジタル・トランスフォーメーション(DX)、デジタル・ビジネス、デジタル技術の戦略的活用など、「デジタル」を目にしない日はない。そして、誰もがこの言葉を当たり前に使っている。
しかし、そもそも「デジタル」とは何かを分かって、このような言葉を使っているのだろうか。例えば、次のような質問に、あなたは答えられるだろうか。
- デジタルとITの違い
- デジタルとアナログの違い
- デジタル化とデジタイゼーションとデジタライゼーションの違い
- デジタル・ツインとIoTの関係
- デジタルを使うこととデジタルを前提にすることの違い
全てではないけれども、この辺りについて、以下のブログに整理しているので、よろしければ、ご参考に。
【参考】デジタルとは何か 〜 DXを語る前に先ずは「デジタル」の意味を知っておこう
いままさに新入社員研修の忙しい時期だが、私は「最新ITトレンド」の講義の冒頭で次のような質問をする。
「クラウドを知っている人は、手を挙げてください。」
いまは全てがzoomなので、手を挙げると言っても、「反応ボタン」を押してもらうわけだが、ほぼ全員が、手を挙げる。そこで、手を挙げた人をひとり名指しして、つぎのような質問をしてみる。
「それでは、クラウドとは何かを説明してください。」
実に嫌みな講師である。にやけた顔で、「手を挙げたのだから、説明できるよね」なんて言うわけだから、心証は一気に悪くなるだろう。それでもあえて話をさせてみる。
敵も然る者で、ニヤニヤしながら、分かった風の説明をするのだが、まったくトンチンカンな答えである。
「言葉を知っていることと、説明できることの間には、大きなギャップがあります。また、それをどのように使えばいいのかとなると、相手のことや業務についての理解も必要でしょうし、詳しい仕組みについての理解も欠かせません。」
「ビジネスの現場で、"知っている"という言葉を使う以上、社会的な責任を伴うことを自覚して下さい。」
講義の冒頭で、このような話をして、受講者の背筋を伸ばさせるのも、なかなか楽しいものだ(笑)。
では、このブログをご覧の方に、次の質問を差し上げよう。
「DXを知っている人は、手を挙げてください。」
たぶん、ほぼ全員が、手を挙げるだろう。では、次の質問に答えて欲しい。
「それでは、DXとは何かを説明してください。」
さて、どれだけの人が説明できるだろうか。さらに次の質問をしよう。
- DXとデジタル化の違いを説明して下さい。
- DXの目的を説明して下さい。
- DXは企業の文化や風土を変えることだと言いますが、具体的に何を変えるのでしょうか、それは何のためでしょうか。
こんなことを申し上げると、何と高飛車なヤツだと思われるかも知れないなぁ。まあ、それも仕事のうちだと心得ている。そして、こんな質問が返ってくるだろう。
「じゃあ、あんたは説明できるの?」
はい、もちろん説明できます。説明用のチャートだって、100枚以上は用意しています。どんな質問にも答える準備できています。もちろん、その説明にみなさんが、納得してくれるかどうかは分かりませんが、ロジックは自分なりに、矛盾がないように組み立てています。
何もそれを自慢したいわけではないし、それは仕事なのだから、当然のことだ。誰もが同じであれば、私の仕事がなくなるので、それは勘弁して欲しい。ご参考までに、こんな文章を生意気にも書いているので、よろしければご覧頂きたい。
ただ、このような質問に、100枚のチャートはいらないにしても、自分なりの答えを持たないままに、「DXがぁ〜」とか「DXわぁ〜」とか、語るのは、恥ずかしいという自覚を持つべきだろう。「絶対の正解」はないかも知れないが、「自分の正解」を持ち、それをアップデートしつつ成熟させてゆく心がけを持たずに、ただ言葉を知っているだけで、DXを熱く語るのは、なんとも軽薄な感じがしてならない。
昨今、DXという言葉が巷にあふれている。ITに限らず、あらゆるメディアが、あるいは、あらゆる業種業態で、この言葉が語られている。しかし、全てではないにしても、「DX」を「デジタル化」に置き換えても、あるいは、「クラウドサービス」に置き換えても、違和感なく通じる話が、なんと多いことか。
「我が社もこれからはDXを推進しなければならない!」
そんな社長の言葉を聞いて、よし、頑張ろうと大きく頷いても、「ところで、何をすればいいの?」と言う人たちが、大半だとすれば、社長の言葉もむなしく響くだけだ。
誤解をしないで頂きたい。DXやデジタル化に意味がないとか、価値がないとか馬鹿にしているわけではない。もっと、言葉を深く掘ろうよと言う話しだ。
ビジネスの第一線にいる人たちは、当然のことながら、情報の感度は高い。だから、DXをはじめとして、多くの言葉をたくさんインプットしているだろうし、そういう言葉のインデックスを沢山揃えているに違いない。ただ、それを仕事として取り組む以上、インデックスのまま、つまり浅い考察のまま、メモとして脳みそに書き込んでおくだけでは使えないと言うことだ。仕事として、向きあう以上、その言葉を深く考察しなければ、使いものにならない。
私は、いまのDXの大騒ぎを、とても胡散臭いと感じている。それは、DXに中身がないからではなく、DXを語る人が言葉だけで大騒ぎをしているからだ。そろそろ、そんな現実に向きあわなければ、DXはただのデラックスな大騒ぎで終わってしまうのではないか。
今年は、例年開催していました「最新ITトレンド・1日研修」に加え、「ソリューション営業の基本と実践・1日研修」を追加しました。
また、新入社員以外の方についても、参加費用を大幅に引き下げ(41,800円->20,000円・共に税込み)、参加しやすくしました。
どうぞ、ご検討ください。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【4月度のコンテンツを更新しました】
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・「AIとロボット」を「AIとデータ」に変更し、データについてのプレゼンテーションを充実させました。
・戦略編をDXとそれ以外の内容に分割しました。
・開発と運用に、新しいコンテンツを追加しました
・テクノロジー・トピックスのRPA/ローコード開発、量子コンピュータ、ブロックチェーンを刷新しました。
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研修パッケージ
・総集編 2021年4月版・最新の資料を反映
・DX基礎編 改訂
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ビジネス戦略編・DX
- 【新規】データとUXとサービス p.17
- 【新規】デジタル×データ×AI が支える存続と成長のプロセス p.68
- 【新規】DXとは圧倒的なスピードを手に入れること p.72
- 【新規】IT企業とデジタル企業 p.155
サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ
- 【新規】データの価値 p.129
- 【新規】情報とビジネスインテリジェンス・プロセス p.130
- 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
- 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
- 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
- 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
- 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
- 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
- 【新規】ETL p.140
- 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
- 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142
*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。
開発と運用編
- 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
- 【新規】開発と運用 現状 p.26
- 【新規】開発と運用 これから p.27
- 【新規】DevOpsの全体像 p.28
- 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
- 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
- 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39
*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。
テクノロジー・トピックス編
- 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
- 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。
下記につきましては、変更はありません。
- ITインフラとプラットフォーム編
- クラウド・コンピューティング編
- ITの歴史と最新のトレンド編
- サービス&アプリケーション・基本編
- サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT