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なぜ森に仕事場を作るのか 続

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電車の本数を減らす

こんな馬鹿げたやり方で、リモートワークを増やし通勤者を減らせることなどできるはずのないことは、分かっていたことだ。

コロナ禍の第一波に際して、リモートワークが強く求められて多くの企業がそれに踏み切ったわけだが、この際、企業の行動は、3つのタイプに分かれたように思う。

ひとつ目は、既にリモートワークを当たり前に実施していた企業。何の問題もなく、スムーズに対応できただけではなく、これを機に出社比率をさらに下げて、リモートを定常とし、出社は最低限に絞るという対策を行った企業も多い。多くの外資系企業やベンチャー企業は、このタイプだ。

ふたつ目は、コロナ禍を機にリモートワークのためのシステム環境の整備やルール作りに着手した企業。最初は、大慌てでうまくいかないところもおおかったが、これを機にネットワークやシステムに関わる環境の整備、業務手順の変更を実施した。中には、雇用制度を見直し、さらにはリモートを定常にして、オフィス面積を大幅に減らし他企業もある。富士通や日立などの大手IT企業などが、このタイプだ。

三つ目は、とにかく我慢した企業。リモートワークができない、あるいは、やりたくない企業である。政府や都の方針であり、やっては見たものの、やはり我慢ができず、慣れもあってか、元に戻ってしまった企業である。

いま通勤者を生みだしているのは、そういう企業であり、そもそも、できない、やる意志が無いわけだから、通勤者が減るわけがない。このような状況であるにもかかわらず、電車の本数を減らせば、混雑率が高まるのは当然の成り行きだ。混雑率、あるいは密をへらしたければ、列車の本数を増発すべきだろう。

さて、できるのにやる気がない企業は一定数あるとしても、それ以外にもできない、やらない企業があることを考慮しておく必要があるだろう。ひとつは、メンタル・ヘルスの問題だ。

地方から都会に出てきて、一人暮らしの若者は多い。そんな彼らが、狭い部屋でリモートワークを求められ、リアルに誰にも会わず、発散する機会もなく、鬱(うつ)になるケースもあると聞く。キャリアを積んだ人たちの中にも、同様の問題を抱えている人たちはいるだろう。先日は、鍼灸師と話をしていたら、どうもリモートワークで「パニック症候群」を発症し、治療することが増えているという話しを聞いた。

人と人が直接会うことで、精神が健全に保たれること、あるいは、身近に接しているからこそ、分かる変化へのまわりの気遣いが、メンタル・ヘルスを維持している面もある。そんな精神の健康を考えれば、一定の出勤は、必要であろう。

また、日本の住宅事情もリモートワークを難しくしている。家に仕事ができる場所がないのだ。その証拠に、日本の場合、リモートワークをしている人たちの多くが、バーチャル背景を使っていたり、ビデオをオフにしたりしている人が多いのは、この現実を如実に物語っている。海外に住む人たちは、多くの場合、仕事部屋やプライベートルームを持っている場合が多い。日本でも、オフィスから参加する人たちは、生活臭がない。両者共に隠す理由がないから、バーチャル背景を使う必要もなければ、ビデオをオフにする必要もないので、そのままビデオをオンで普通に参加してくれる。このような住宅事情を考えれば、通勤せざるをえないのも当然のことだろう。

働くことは、会社の業績を上げることだけではない。会社の業績を上げるために、人と関わり、自分の社会的存在を確認し、成長する機会を得るという側面がある。リモートでも、これができるという人たちはいるが、それは、リモート以前に、そういう人間関係、つまりチームビルディングや人のつながり、すなわちネットワーキングが、リアルな世界でできていたからできるのであって、それが未熟な若者や、あるいは、チームビルディングやネットワーキングを重視してこなかった企業あるいは個人には、難しいのではないかと思う。

これからの働き方は、ハイブリッドであり、自由度を高めてゆかなければならないだろうと思う。コロナ禍が収まっても、そんな新しい働き方が定着してゆくだろうし、そういうことができる企業へと人材も動いてゆくことになるだろう。

ハイブリッドとは、アナログとデジタルである。アナログとは、人がリアルに対面し、ふれあい、議論し合う場であって、お互いに心を解放し、多様な価値観やロールモデルの人たちとネットワークを拡げるための働き方だ。デジタルとは、オンライン、あるいはデジタル・ワークプレイスで、日常の仕事を進める働き方だ。

この両者を、個々人の事情で自由に組み合わせることができる働き方が、コロナ禍の後のスタイルとして定着してゆくと考えている。チームビルディング、アイデアの創発、メンタルな面での健全性を保つための機会、人材育成のために、アナログを特に積極的に組み入れる必要がある。そして、そういう土台を作った上で、日常デジタルでこなすのが、いいのではないかと思っている。

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私が作ろうとしている森の仕事場は、まさにそのための機会を提供するためのものだ。森の自然を「場」すなわちリゾートワークの場所として提供するのではなく、それを利用した「機会」として、提供しようという考えだ。

森がもたらす自然の「癒やし」と「活力」は、間違いなく最高の「場」を提供してくれる。森の中のファイヤーサークルで焚き火を囲み、語り合うのも良いだろう。一緒にBBQを楽しむのも人と人が心を解き放つ最高の機会であり、違う会社の人たちが集えば、ネットワークも広がってゆく。

そういう「場」を使って、一流の実践者たちを講師に招き「機会」を提供する。そんな、パッケージ化されたプログラムを提供することで、世の中の「働く」を変えていくことに貢献したいと思っている。

森は、仕事場としては、1つの理想であろう。しかし、日常を森に置き換えることは、なかなかできることではない。だからこそ、プログラムとして、「機会」を提供し、日常の土台を作ることに貢献していきたい。

そんな取り組みをこれから始めようと思っている。

【募集開始】第37期 ITソリューション塾 5月19日・開講

5月から始まる第37期では、DXの実践にフォーカスし、さらに内容をブラッシュアップします。実践の当事者たちを講師に招き、そのノウハウを教えて頂こうと思います。

スクリーンショット 2021-04-23 8.14.36.png

そんな特別講師は、次の皆さんです。
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戸田孝一郎氏/お客様のDXの実践の支援やSI事業者のDX実践のプロフェッショナルを育成する戦略スタッフサービスの代表
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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

4月度のコンテンツを更新しました】

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・「AIとロボット」を「AIとデータ」に変更し、データについてのプレゼンテーションを充実させました。

・戦略編をDXとそれ以外の内容に分割しました。

・開発と運用に、新しいコンテンツを追加しました

・テクノロジー・トピックスのRPA/ローコード開発、量子コンピュータ、ブロックチェーンを刷新しました。

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研修パッケージ

・総集編 20214月版・最新の資料を反映

DX基礎編 改訂

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ビジネス戦略編・DX

  • 【新規】データとUXとサービス p.17
  • 【新規】デジタル×データ×AI が支える存続と成長のプロセス p.68
  • 【新規】DXとは圧倒的なスピードを手に入れること p.72
  • 【新規】IT企業とデジタル企業 p.155

サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ

  • 【新規】データの価値 p.129
  • 【新規】情報とビジネスインテリジェンス・プロセス p.130
  • 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
  • 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
  • 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
  • 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
  • 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
  • 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
  • 【新規】ETL p.140
  • 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
  • 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142

*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。

開発と運用編

  • 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
  • 【新規】開発と運用 現状 p.26
  • 【新規】開発と運用 これから p.27
  • 【新規】DevOpsの全体像 p.28
  • 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
  • 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
  • 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39

*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。

テクノロジー・トピックス編

  • 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
  • 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。

下記につきましては、変更はありません。

  • ITインフラとプラットフォーム編
  • クラウド・コンピューティング編
  • ITの歴史と最新のトレンド編
  • サービス&アプリケーション・基本編
  • サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

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