なぜ森に仕事場を作るのか
「古民家を改装し、リゾートワークの場を提供しよう。」
八ヶ岳南麓に居を構え、何年か過ごすうちに、この土地の心地よさが、特別なものだとうことが実感できるようになった。そして、冒頭のような思いが、日に日に強くなっていった。
この心地よさの理由を要素分解して、論理的に説明することは難しい。それでも、説明が必要であるとすれば、3つの理由が思いつく。
最初のひとつは空気であろう。森の木々が発散する香気であり、木々が自分たちを病気や傷から守るための成分とも言われるフィトンチッドが当たりを満たし、母親の胎内と同じくらいの気圧だと言われる標高1000mの大気圧、八ヶ岳南麓特有の晴天率と日照時間、乾燥した気候と圧倒的な空の青さ、それらが全て合わさって、この土地の空気を作っている。
もうひとつは、色のグラデーションだ。東日本大震災のボランティアで、毎週のように三陸地方を回っていたころ、海岸線が、なぜ、こんなにも美しいのかと、考えたことがある。そして、自分なりに気がついたのは、海の青に入り組む黒い岩肌の海岸線、その上を被う緑の森、さらに、その上に広がる空の青と雲の白、それらが複雑に織りなすグラデーションであることに気がついた。日本有数の景勝地と呼ばれるのは、そんな色彩だったのだ。
八ヶ岳南麓には海はなく海岸線の岩肌もない。しかし、どっしりとした山脈の岩肌や海に代わる淡い緑の田んぼ、そこに重なる森の緑、空の青と雲の白は、とてもよく似た色の取り合わせかも知れない。人が心地よいと感じる色のグラデーションが、ここにも揃っているのだろう。
そして、森が気付かせてくれる人間の本性だ。小さな子どもたちが、我が家に遊びに来ることがある。そんな子どもたちが真っ先におねだりするのは「森の冒険」だ。森に入って、歩き回る、それだけのことだ。
子どもたちは、遊びの天才だ。木の枝を拾い、松ぼっくりを集め、鹿の糞を見つけて大騒ぎする。小川に手を入れ、気がつけばジャブジャブと水に入ってびしょびしょになっている。森は、子どもたちに、使い切れないほどの遊具を与えてくれる。そんな子どもたちを見ていると、人間は自然の一部なのだと疑うことなく思えてくる。子どもの人間としての本性は、まだまだ世間の垢に汚れていない。だからこんなにも直ぐに自然に溶け込んでしまうのだろう。子どもたちは森が楽しいという。もっと遊んでいたいという。そろそろ帰ろうと、子どもたちを納得させるのは、容易なことではない。
冒頭の話しに戻るが、そんなわけで、この地に古民家を借りて、改装して、リゾートワークの施設を作れば、楽しいだろうと思いついた。聞けば、この地域の集落の6割が、空き家だというのだ。ならば、直ぐにでも良い場所が見つかり、貸してもらえるのではないかと思っていた。
親しくしている地元の不動産屋の方に、そんな話を伝えたところ、「それはなかなか難しいかも知れませんよ」という、思わぬ返事が返ってきた。
「確かに、いまは都会に出てここには住んでいないのですが、仏壇もあり昔からの家財道具も置いてあります。盆暮れには墓参りに戻り、やがてはこちらに戻って終の棲家にしようというひとも少なくはありません。」
そんなわけで、他人に貸したくはないらしい。
それでもと、一縷の望みを掛けて探してはみたが、良い場所が見つからなかった。また、古民家というのは、老朽化していて、それをオフィスとして使うとなると、相当に手直しが必要であり、お金もかかることが分かってきた。
「確かに見た目の雰囲気は悪くはないが、それは最初だけ。レストランや喫茶店など、一時を過ごす場所ならばともかく、長時間滞在し、仕事をするとなると、古民家であるかどうかはどうでも良く、快適な仕事ができる環境こそが大切になる。暑さや寒さへの備え、ネットワークやデスク/チェアの機能性など、古民家でそれを満たすのは、なかなか難しい。」
そんなことが、分かってきた。
でも、冒頭の想いは捨てがたい。ではとうするかを考えた。そして、この構想につながっていった。
【続く】
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