オンラインでのスピーチ・わかりやすくするための5つのTips
「分かりやすいお話でした。」
このようなご感想を頂けるのは、とても嬉しく講師冥利に尽きます。こんなご評価を頂けるようにと、内容や話し方を工夫し、磨いていているのですから、このように感じて頂けるとすれば、大成功です。
では、どうすれば、分かりやすいスピーチになるのでしょうか。コロナ禍にあって、講演や講義が100%オンラインになる中、私なりに工夫していることを、紹介させて頂きます。
「受講者の属性×テーマ」に即して身近な事例やたとえ話を挟む
これは、オンラインに限ったことではありませんが、受講者の属性に合わせたたとえ話を用意することです。例えば、ビジネスのデジタル化についての話をするとき、受講者が保険会社の方たちならば、中国の平安保険の事例を説明します。自動車関連の方たちならば、MaaSやMBD(Model Based Design)の話題や自動運転やテスラの話しなどの事例を話します。新入社員や若手を対象にするときは、スマホやゲーム、恋バナや新人時代の苦労話などを使います。
それぞれが、身近に感じる話題を伝えたいメッセージに絡めながら、話をすると、グッと興味を持って聞き耳を立ててくれます。
もちろん、歓心を買うためだけの事例やたとえ話だけを話しても意味がありません。自分が伝えたいメッセージとそれらをどのように関連付けるかを予め緻密に設計しておくことが大切です。例えば、PPAP(Zip圧縮+暗号化+パスワードを別送)を未だ使っている企業の方たちならば、それがいかにセキュリティ・リスクを高めるかを話します。その理由や影響についても話し、「このようなことに関心を持つことなく、思考停止に陥炒り、無自覚に使ってはいませんか。そんな皆さんが、お客様のデジタル化やDXの実現に貢献するなんて、無理な話ですよ!」と申し上げれば、これは受講者にとってはかなり堪えますし、印象に残ります。そして、そんな話をした後で、「デジタル化とは」といった話をすれば、前のめりに話しを聞いてくれるようになります。
「受講者の属性×テーマ」で最適なたとえ話や事例を挟み、それを伝えたいメッセージに関連付けるのは、極めて効果的です。
オーバーアクションを意識して話をする
オンラインでは、画面も小さく音量も自動で調整され、ピークカットもはされてしまいますから、なかなか全身を使った動きによる表現、つまりは、ノンバーバル・コミュニケーションは有効に機能しません。リアルな会場では、受講者を惹き付けるには、それなりに役に立つのですが、オンラインでは、それができません。
だから、声の抑揚や強弱を意識して、オーバーアクション気味に話をすることで、ノンバーバル・コミュニケーションができない部分を補うようにしています。最近では、それが板についてきて、きがつけば、マイクに向かって怒鳴りつけるくらいに大声を張り上げてしまうこともあります(笑)。
そこまでやっても、オンラインで聞いている人たちには、相当に減衰されていますから、まあ、それくらいが丁度いいのかも知れません。
スピーチでのノンバーバル・コミュニケーションは、相手を惹き付ける上で、相当の役割を果たしていますが、それを補うには、意識してオーバーアクションを心がけるといいでしょう。
安い機材を使わない・機材に手抜きをしない
マイクやカメラに手を抜いてはいけません。ノートPCに付属のものをそのまま使うというのは、もってのほかです。もちろん、打合せ程度であれば、なにもそこまで気を使う必要はありませんが、講義や講演は、それ自身が商品ですから、当然、その品質に万全を期すべきは当然のことです。
照明についても、室内の照明や自然光にだけ頼るのは、賢明とは言えません。顔が暗くならず表情が相手にはっきりと分かる程度に照明を増やし、位置を工夫すべきであることは言うまでもありません。
最近は、カメラ目線にも気を使っています。プレゼンテーションを見ながら話す場合は、それが映し出されている画面と顔の間にアームスタンドを使って、顔に近づけてカメラを配置します。プレゼンテーションの一部が隠れてはしまいますが、読めないわけではありません。そうやっと目線とカメラのレンズを一直線に並べることで、受講者の目を見て(?)語りかけることができます。
シンプルで分かりやすいチャートを心がける
バーバールにしてもノンバーバルにしても制約が多いわけですから、相手にメッセージを確実に伝えるには、プレゼンテーション資料への配慮も大切です。ノートパソコンの画面やブラウザーを介して見ることもあるはずです。そんな小さな画面に、文字のビッシリ詰まったプレゼンテーションや配色が汚い、あるいはレイアウトへの配慮のないプレゼンテーションは、不快感を与えるばかりか、そちらに気を取られて話しが耳に入らなくなります。
話す内容とプレゼンテーションを一致させ、話しの内容を補完して理解を助けることができる、シンプルなチャートを意識して用意することが必要です。
語りかける
これはオンラインならではテクニックかも知れませんが、画面上に受講者の名前が表示されます。それを見て、「吉田さん、いま話させて頂いたことって、御社でも似たようなことはありませんか?」とか、「山田さん、どうです?少し難しかったですか?」などと語りかけると、「これはちゃんと聞いておかないと」と、緊張感が保つことができます。
また、名前を見ながら、「伊藤さん、いまお話ししたようなこと、できていますか?」などと聞いてみることもあります。別にそれに答えて頂く必要はありませんので、「すいません、お名前をつかっちゃって^^ お答え頂く必要はありませんが、是非考えてみてください。」などと申し上げることもあります。
まあ、人によっては嫌がらせみたいなところもありますが、こっちも仕事ですから、どうすれば、緊張感を維持しながら聞いてもらえるかに、配慮するのは当然のことです。
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どうでしょうか、参考になりましたか?まあ、何はともあれ、大切なことは場数を踏むことです。そして、その都度、自分のスピーチをふりかえりながら、どうすれば、もっとうまくできるだろうかを考え、改善を積み重ねてゆくことが大切であることは言うまでもありません。