「デジタルを使って」から「デジタルを前提に」という切り替えがDXの一丁目1番地
「DXは企業文化の変革である」
そんな言葉を聞かれた方も少なくないはずです。しかし、何を持って企業文化の変革なのでしょうか。これを理解するには、「デジタルを前提に〜をする」という考え方を理解する必要があります。それには、「デジタルを使って〜をする」とは、異なる考え方を持たなくてはなりません。
デジタル技術の進展により、社会が変化するスピードは増し、業界の垣根を越えて思わぬ競合が現れることや、社会の価値観やニーズが突然変わってしまうことは、もはや避けることができません。
企業は、この変化に対処しなくては、事業を継続することも生き残ることもできません。だからといって、新しいデジタル技術を使えば、全てが解決できるわけでもありません。デジタル技術がもたらす新しい常識を前提に、ビジネス・モデルやビジネス・プロセス、組織のあり方や意志決定のやり方、社員の働き方や役割を、大きく変えなくてはなりません。
デジタル技術がもたらす新しい常識とは、時間感覚が劇的に変化することです。これまでのように時間をかけて市場を見極め、完全な計画を立ててPDCAを確実にまわすといった時間感覚では、市場の変化に追従することも、先取りすることもできません。
情報の伝達やコミュニケーションは一瞬に行われ、顧客の期待やニーズはめまぐるしく変わります。これを直ちに理解し、現場が即応できることや、市場の変化に合わせて戦略をダイナミックに変え続けなければ、事業を継続することが難しい時代になったのです。
そんな新しい時間感覚という常識を当然のことと受け止め、変化に俊敏に対応できる企業へと変革することが、いま企業には求められています。
もう、おわかりだと思いますが、DXとは、クラウド・サービスを駆使してリモートワークを実現することや、AIやIoTを使って新規事業を立ち上げることと同じではありません。「デジタルを使って〜をする」ことではないのです。デジタル技術がもたらす新しい常識、すなわち、人の価値観や行動様式、競争優位の根源や競争の原理が、デジタルによって変わってしまうことに、企業が適応することです。そのためには、既存の破壊、変革、創造を伴うことを覚悟しなくてはなりません。
「DXは企業文化の変革」であるとは、「デジタルを前提に企業の文化を変革する」ことなのです。
私が大いに危惧するのは、DXに取り組むとする企業の中には、「デジタルを使って〜をする」という考え方から抜け出せないでいることです。それは、「風邪をひいて咳が出て苦しいから咳止めの薬を飲む」とおなじであり、根本的な解決にはなりません。だからと言って、風邪の根本原因を除去するということでもありません。風邪をひかない身体を作るということです。つまり、風邪の原因となるウイルスに打ち勝つ体力や免疫力を付けることなのです。
そんな体力や免疫力が、企業文化です。デジタル技術がもたらす新しい常識に適応することなのです。
もちろん、デジタルは、そのための有効な手段になるわけですが、それを使うことが目的ではありません。目的は、変化に俊敏に対応できる企業文化へと変革することなのです。そのための手段として、デジタルを駆使することは当然ですが、そこで働く人たちの考え方や組織振る舞い、雇用制度なども変えていかなければなりません。
「デジタルを使って〜をする」から「デジタルを前提に〜をする」という考え方へと切り替えることが、DXに取り組む一丁目1番地ではないでしょうか。
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2月から始まる第36期では、DXの実践にフォーカスし、さらに内容をブラッシュアップします。実践の当事者たちを講師に招き、そのノウハウを教えて頂こうと思います。
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- 回数 :全10回+特別補講
- 定員 :120名
- 会場 :オンライン(ライブと録画)
- 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000)
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