DX人材というヤケクソ
DX人材の育成が急務だ
DX人材を増やさなくちゃいけない
DX人材を採用せよ
DX人材?って、どんな人材なのでしょうか。プログラムが書ける人材でしょうか、ネットワークの構築ができる人材でしょうか、データベースの設計ができる人材なのでしょうか?アジャイル開発やDevOpsが分かっていて、実践できる人材なのでしょうか?
技術力も大切だが、ビジネスを作れなくちゃ意味がない。デザイン思考やリーンスタートアップを理解し、それを実践で使える人材でしょうか?データサイエンスに精通し、適切なデータを集め、ビジネスに役立つ情報を見つけ出せる人材でしょうか?
経営者のイメージするDX人材
結局のところ、DX人材というのは、何ができなくちゃいけないのでしょうか?それ以前の問題として、DXって何んですか?そこに答えを出すことなく、DXが流行なので、うちもDXに取り組まなくちゃいけないから、それにはDX人材が必要だという、極めて拙速な話にはなってはいないでしょうか?
現場がイメージするDX人材
DX本部やDX推進室、DX開発室など、そんな組織が軒並み作られています。DXは、これからのビジネスの要だとばかりに、経営トップの鳴り物入りで組織は作られました。しかし、任された人たちは、「DXの実現を君たちに任せたよ」と丸投げされ、DXとは何かは曖昧なままで、そこも含めて「任せたよ」ということなのでしょうか?
DX人材も似たような話になっているような気がします。そういう人材に任せれば、何かやってくれるのではないかという漠然とした期待だけが先行しているような気がします。
「そもそも、DX人材とはどういう人材なのでしょう?」
先日、ある研修担当者から「DX人材育成研修をやりたいので相談にのって欲しい」とのご依頼をいただきましたが、冒頭でこんなご質問を頂きました。
[DXが世間で大盛り上がり]->[経営者はうちもDXだ!]
-> [DXはなんだか分からないからDX本部を立ち上げて検討させよう]
-> [DX本部の人たちはDXってなんだか分からないからDX人材を集めれば何とかなるのではないか]
-> [DX本部からの要請を受け、人事部門はDX人材を集めなくては、DX人材育成研修をやらなくては]
-> [ところでDXってなあに?DX人材とはどんな人材?]
-> ???
こんな状態になっているのではないでしょうか?
これはあきらかに経営者の問題だと思います。自分たちの目指すDXとは何か、自分たちはどうやってDXに向きあうのかは、経営者が考え、答えを持たなくてはなりません。そこを曖昧なままに、下に丸投げし、曖昧なままの丸投げの連鎖が、現場を混乱させているように思えてなりません。
DX人材にしろ、DX本部にしろ、新しい取り組みにかり出されるわけですから、優秀な人材が配置されるはずです。しかし、経営者の曖昧なままの丸投げが、そういう優秀な人材を活かせていないのではないかと思うのです。
佐々木俊尚さんが、「日本でDXが進まないのは、普通の日本人が「優秀すぎる」から?」というブログでいみじくもつぎのように指摘されています。
「いくらDX人材が増えても、雇用する側が彼らを使いこなせずDXの本質を理解できなければ、人材はただ消耗していく。いや、消耗していくだけでなく、グローバルな時代にそうした人材は海外にどんどん流出していくことになるのでしょう。」
これはもうDXに取り組まなくてはと焦るがあまり、ヤケクソで形ばかりを整えようというように見えてしまいます。
DXとか、デジタル化とか、言葉が先行するのは、いつの時代も同じで、なにもそれが悪いことだとは思いません。ガートナーのハイプサイクルのごとく「過度な期待のピーク期」を乗り越えて「幻滅期」に移行し、それを乗り越えて現実的なカタチになってゆくことは、自然の摂理だと思います。ただ、そろそろ、「過度な期待のピーク期」を乗り越えてもいい時期ではないでしょうか。
じゃあ、DXってなに?ということについては、明日にでも考えてみようかと思います。