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営業のセンス

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銀行のATMが普及したことで、入出金や振込は、窓口でやることはなくなった。それに代わって、顧客との応対や確認を必要とする業務が、窓口の役割となった。

家電量販店で商品を買うのは、どれを選べばいいのかを店員に聞きたいからだ。ネットで調べても、今一つよく分からない。だから、詳しい人に話しを聞こうとなる。どれを買いたいかが分かっていれば、店員に頼らずとも、ECサイトで安い商品を探せばいい。

テクノロジーの発展は、多くの仕事を機械に置き換えてしまう。ITビジネスで言えば、クラウドはインフラやプラットフォームの調達や構築の自動機械であり、システムの機能や性能をオンラインで選び使えるようにできるECサイトである。SaaSを使えば、アプリケーションの開発は不要となり、ローコードやノーコードの開発ツールもクラウド・サービスで提供されるようになったので、プログラミングは「専門家の仕事」ではなくなろうとしている。かつて、書類を書いて捺印し、窓口で入出金していた窓口業務が、セルフサービスのATMに置き換わったように、システム開発や運用管理もセルフサービスのクラウドに置き換わろうとしている。

だからといって、人間の仕事がなくなるわけではない。丁寧な一対一の応対や専門的な知識と経験がものを言うコンサルディングやアドバイスは、機械に任せることはできない。なによりも、機械をどのように使えばいいのかは、人間に教えてもらうのが、効率がいい。

家を建てるときに建築家や工務店と相談するのだろう。建築に関わる手配や段取りを任せられるからだ。彼らは、数をこなしているので、どのようにすすめればいいのか全て心得ている。また、施主がこうしたい、ああしたいと言えば、理論や法律、経験や感性によって、それは辞めた方がいい、あるいは、もっとこうした方がいいと提言してくれる。

具合が悪くて医者に診てもらう。そして、仕事を休んで、3日間寝ていないとだめだと言われると、それに従うだろう。それは、専門家として、その医者を信頼しているからであろう。

知識と経験の積み上げは、スキルを高めてくれる。だが、スキルだけでは、機械に置き換えられるのは時間の問題だ。その先にあるセンスを磨く、つまりたくさんの知識と経験を積み重ねる過程で、感じ、気づき、普遍化された法則や原理というものが見えてくる。それがセンスなのだろう。

優れた建築家には、家の建て方や段取りの立て方などのスキルだけではなく、施主やその家族の生活を豊で快適にするためにはどういう建物がふさわしいかを描けるし、施主の幸せを願う気持ちとあるべき姿に思いを馳せる想像力がある。センスとは、そういうものだろう。優秀な医者は薬の処方や治療方法などのスキルだけではなく、患者の性格やこれまでの病歴を理解し、その人が病気にどのように向きあえばいいのかを見抜くことができる。患者の健康を願い、その予後を想像することができるからだ。センスとはそんな能力なのだろう。

私たちは、そんなセンスに信頼を寄せ、任せよう、お願いしようとなるわけだ。

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ITビジネスがテクノロジーによって、大きく変わりつつあるいま、そこに関わる営業の仕事も大きく変わる。新しいテクノロジーや商品を理解し、それを説明できるスキルも必要だが、それ以上に求められるのは、お客様のあるべき姿を想像し、提言できるセンスである。

不確実性の常態化する時代にあって、未来を見通すことは容易ではないという人も多い。確かに、表面的な変化だけを見れば、その通りだが、もっと本質的で、根本的な変化の潮流は、そのスピードを速めることはあっても、流れゆく方向は変わらない。それを捉え、その目線からお客様のあるべき姿を提言できる力が、営業に求められるセンスであろう。

カタログを暗記し、直ちにシステムの構成や金額を語れるスキル、お客様の無理難題に対応して、直ちに人や機械を手配し、要求に応えるスキル、厳しい金額交渉をタフにこなし、一定の利益を確保しつつもお客様にも納得させるスキルも必要ではあるが、それはクラウドや自動化に置き換えられることは時間の問題だ。そういう経験から、お客様の期待を先読みし、さらには時代の変化を踏まえて、あるべき姿を、教師としてお客様に教えることができる能力が、これからの営業のセンスであろう。

センスがあるかないかを見分けることは、さほど難しいことではない。

「この件は、あなたでなければ困る」

「これはあなたにお願いしたい」

「このことなら、あなたに任せておけば安心だ」

個人名、すなわちバイネームで指名されるかどうかであろう。「余人に代えがたし」と言われることが、センスがあるかどうかの判断基準である。

簡単なことではないし、誰にでもできるわけではない。だからこそ、そういう営業は評価されるし、目標として目指す甲斐がある。そんなセンスは、営業という仕事だけではなく、経営や事業開発、マーケティングにも使えるので、適用範囲が広い。スキルでは、そうはいかない。

スキルは必要だが、そこに留まっていては未来がない。センスを磨くこと、つまりたくさんの知識と経験を積み重ねる過程で、感じ、気づき、普遍化された法則や原理を作り上げること。AIには決してできない、人間だけにしかできないセンスが、益々必要とされる時代になろうとしている。営業力もまた、センスのあるなしが、成績を大きく左右する。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【10月度のコンテンツを更新しました】
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・DXについてのプレゼンテーションを大幅に充実させました!
・DXについてのコンテンツを大幅拡充
・DXを説明するためのパッケージ「DXの基礎」を新規作成 
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講義・研修パッケージ
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの基本
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【改訂】総集編 2020年10月版・最新の資料を反映(2部構成)。
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ビジネス戦略編
【改訂】デジタル化によって生みだされる2つのビジネス領域 p.4
【新規】ビジネス発展のサイクル/デジタル化領域の拡大 p.5
【新規】ビジネス発展のサイクル/体験・感性価値の提供 p.6
【新規】「平安好医生」からの学び p.8
【新規】デジタル技術を前提にした新しい保険ビジネスの登場 p.9
【新規】事例から戦略を読み解く p.10
【新規】UI/UXとは何か p.14
【新規】DXとは何か p.15
【新規】DXを実践するとは何をすることか p.16
【新規】2つのデジタル化:デジタイゼーションとデジタライゼーション p.25
【改訂】デジタル化と変革 p.26
【新規】デジタルとデジタル化とDXの関係 p.27
【新規】DXはどんな世界を目指すのか p.31
【改訂】DXを支えるテクノロジー・トライアングル p.32
【新規】DXとテクノロジー・トライアングルの関係 p.33
【新規】DXのまとめ p.43
【新規】DXの実現に立ちはだかる課題 p.62
【改訂】DXと企業文化とアーキテクチャ p.64
【改訂】ハイパーコンペティションに対処する2つのアプローチ p.74
【改訂】ハイパーコンペティションに対処する適応力 p.75
【改訂】ハイパーコンペティションに対処する革新力 p.76
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの定義 p.77
【新規】デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションの定義 p.78
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの2つの解釈 p.79
【改訂】デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションの解釈 p.81
【新規】DXの常識とDXの実現 p.82
【新規】DXと個人と組織 p.140
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【新規】「モノのサービス化」の構造 p.49
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【新規】自動車/移動ビジネスの3つの戦略 p.52
【新規】属性データと行動データ p.53
【新規】データとモノ/コト・ビジネスの関係 p.54
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【新規】モノ・コト・体験 p.56
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
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【新規】AIの役割と人間の関係 p.17
【新規】データサイエンティストの定義 p.125
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【新規】データサイエンティスト業務を整理したタスクリスト p.127
【新規】データサイエンティストの業務 p.128
クラウド・コンピューティング編
【新規】クラウド・サービスの狙い p.18
【新規】ハイブリッド・クラウドとマルチ・クラウド p.61
【新規】クラウドの3つの価値 p.89
ITインフラとプラットフォーム編
【新規】セキュリティについての考え方の変化 p.102
【新規】攻撃サービスの低価格化と攻撃機会の増加p.103
【改訂】リスク・マネージメントの考え方 p.104
【新規】サイバー・ハイジーンp.106
【新規】サイバーセキュリティ経営ガイドライン p.107
【新規】トラストとは何か p.110
【新規】共有パスワードを使った暗号化にトラストはない p.111
【新規】ゼロ トラスト ネットワークとは何か p.112
【新規】ローカルブレイクアウト - マイクロセグメンテーションの効率化 p.115
【新規】ゼロトラストとネットワーク p.116
【改訂】ユーザーに意識させない・負担をかけないセキュリティ p.119
下記につきましては、変更はありません。
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