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オンラインでの講義や講演の魅力をアップする実践ノウハウ・一番大切なことついて

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今週はウエビナーなについて、経験を踏まえたノウハウやうんちくを語ってきましたが、最後に、一番大切なことを書き留めておこうと思います。

講義や講演の本質的な価値や役割に真摯に向き合うこと

オンラインであるかどうかに関わらず、講義や講演のご依頼を頂くにあたり、まず私が伺っているのは、期待する「あるべき姿」です。「私の話を聞いて、受講者にどのような行動を起こして欲しいのか」と言い換えてもいいでしょう。

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講義や講演というのは、当然のことながら、自分たちのビジネスに役に立つものでなくてはなりません。例えば、お客様向けの講演の場合、「私の話を聞いて、これは大変だと気がつき、講演の主催者に相談が来るようにしたい」あるいは、「とにかくたくさんの人を集めて、リードを集めたい」といったことです。社内の研修であれば、「DXについて、その本質や重要性を理解させ、自分たちの事業計画に反映させたい」あるいは、「DXに取り組むに当たって、社員のITやデジタルについてのリテラシーを底上げしたい」と言ったことです。

それさえ、合意できれば、「では、こんな話をしましょう」、「ならばこんなタイトルがいいですよ」とこちらから提案させて頂くことができます。

もちろん、「自社の事業との関連もあるのでIoTAIについては、特に重点を置いて話をして欲しい」や「DXや共創ということばの意味、何をすべきかをしっかりと理解させて欲しい」といった、ご要望は、当然ながらしっかりと考慮します。ただ、次のようなご要望は、正直申し上げて、困ってしまいます。

例えば、「ITに詳しくない人が多いので、事例を増やして下さい」と言うような場合です。事例とは、言わば例え話であり、聞くひとたちの前提となる知識やコンテクストがなければ、「へ〜!凄いなぁ」とか、「なるほどとは思うけど、ウチでは無理」といった意識を持たせてしまいます。「事例なら詳しくない人にも分かりやすい」というのは、表面的なことで、そこからその事例の背後にある本質を理解することは、なかなか大変なことです。それなりの前提知識や経験がある人ならともかく「詳しくないから」事例という考え方は、「つまらない話しを回避する手段」程度でしかないわけで、効果的な使い方ではありません。

話者の話がつまらないのを事例ならばごまかせるのではないかという甘い期待であり、そういう場合は、事例をいろいろと聞かされた挙げ句、「だからなんなの?」というフラストレーションを残すことになるだけです。けっして事例がダメなわけではなく、話しを膨らませるためとか、受講者を飽きさせないためとか、話者のへたくそな話をごまかすためとか、そういう姑息な手段として事例を使うことは、むしろ講義や講演を空疎なものにしてしまいます。

ITに詳しくない人が多い」のであれば、本質やビジネス価値を分かりやすく説明することを優先すべきです。原理原則を丁寧に説明すべきです。事例はそのための添え物と位置付けて考えるべきでしょう。本質や原理原則を伝えつつ、例えばそれを実践した「事例」を話すというのであれば、大変効果的ですが、そうでなければ、話しをつまらないものにしてしまいます。

「事前に確認したいので、1週間前に資料をご提出下さい」も困ったものです。

自分では話せないから外部の講師に頼むわけであり、そもそもこちらの話しを一度も聞いたことのない人も居ます。資料というのは、それ自体が講義や講演の主役ではなく、むしろ話しが主役な訳で、それも知らないままに、何を確認するというのでしょうか。資料を見るだけなら、話す必要はないわけで、話しを聞くことが、講義や講演の最も重要な価値なのです。

確認できないことを、確認しようとしても意味がないのは明らかです。もちろん立場上、あるいは、形式上、どうしても提出して欲しいと言うのであれば、それはもちろん協力させて頂きます。ただ、講師は、直前まで、よりよいものにしたいわけで、内容が変わることはご容赦頂くなくてはなりません。しかし、なかには、「ご提出頂いた資料は変更しないでください」、「こちらの依頼したところだけ変更して下さい」といわれることもあり、そういう場合は、「スケジュールの調整がつかないので」と、丁寧にお断りすることにしています。

目次を逐一チェックされる方もいらっしゃいます。この項目は不要だとか、こういう項目を追加して欲しいとか、これは本当に困ります。あるべき姿と対象者、どこに話しの重点を置くかを合意できれば、講師の頭には、自ずと全体の物語ができあがります。その物語、あるいはコンテクストを断片的に切り出したのが目次なわけで、それが全てではありません。そんな目次をこうしろ、ああしろと言われても、どうすればいいのか、こちらが困ってしまいます。そんな場合は、ご依頼通りに目次は変えて、内容は勝手にやってしまうこともあります。

チェックされる方が、目次に書かれている言葉の意味やその背景に熟知されているのなら、それは傾聴に値するのですが、多くは、「何かひと言言わないと、こちらの威信が保てない」的な場合も多く、そういう場合は、「緊急入院することになったので講師ができなくなりました」と申し上げるようにしています。

わがままでしょうか?でも、こちらだって、期待を超える成果で、ご依頼に報いたいとおもっているのです。それができないのであれば、承ることは、ご迷惑になるだけで、そういうことも理解してもらえればと願っています。

ウエビナーの話しからはそれてしまいましたが、結局は、オンラインかどうかにかかわらず、講義や講演というのは、このような本質に向きあうことが一番大切です。機材やツールなどは、そのことに比べれば、「まともにきの使えれば十分」というレベルでしょう。

講義や講演の本質的な価値や役割に真摯に向き合うこと。これに手を抜かないことが、一番大切なのです。

【募集開始】第35期 ITソリューション塾

オンライン(ライブと録画)でもご参加いただけます。

ITソリューション塾・第35期(10月7日開講)の募集を開始しました。

新型コロナ・ウイルスは、肺に感染するよりも多くの人の意識に感染し、私たちの考え方や行動を変えつつあります。パンデミックが終息しても、元には戻ることはありません。私たちの日常は大きく変わり、働き方もビジネスも変わってしまうでしょう。これまでの正解は、これからの正解と同じではありません。ならば、事業戦略も求められるスキルも変わらざるを得えません。

本塾では、そんな「これから」のITやビジネスのトレンドを考え、分かりやすく整理してゆこうと思います。

特別講師

この塾では、知識だけではなく実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。

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  • アジャイル開発とDevOpsの実践
    • 戦略スタッフ・サービス 代表取締役 戸田孝一郎 氏
  • 日本のIT産業のマーケティングの現状と"近"未来
    • シンフォニーマーケティング 代表取締役 庭山一郎 氏
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略
    • 日本マイクロソフト CSO  河野省二

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  • 日程 初回・2020年10月7日(水)~最終回・12月16日(水)
  • 毎週18:30~20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 100名
  • 会場 オンライン(ライブと録画)および、会場(東京・市ヶ谷)
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)
    • PCやスマホからオンラインでライブ&動画にて、ご参加頂けます。
    • 資料・教材(パワーポイント)はロイヤリティフリーにて差し上げます。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【8月度のコンテンツを更新しました】
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新規プレゼンテーション・パッケージを充実させました!
・「新入社員研修のための最新ITトレンド研修」の改訂
・そのまま使えるDXに関連した事業会社向け講義パッケージを追加 
・ローコード開発についてのプレゼンテーションを充実
・ITソリューション塾・第34期のプレゼンテーションと講義動画を改訂
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新入社員研修
【改訂】新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス・8月版
講義・研修パッケージ
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとこれからのビジネス*講義時間:2時間程度
> 自動車関連製造業向けの研修パッケージ
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【改訂】総集編 2020年8月版・最新の資料を反映(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画 第34期版に差し替え
>これからのビジネス戦略
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ビジネス戦略編
【改訂】デジタルとフィジカル p.9
【改訂】イノベーションとインベンションの違い p.10
【新規】DXを支えるテクノロジー p.18
【改訂】DXはどんな世界を目指すのか p.19
【新規】「モノのサービス化」の構造 p.46
【改訂】ビジネス価値の比較
【新規】ビジネス価値のシフト p.48
【新規】自動車/移動ビジネスの3つの戦略 p.49
【新規】ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用 p.137
【新規】ナレッジワーカーの本質は創造的な仕事と主体性 p.138
【新規】コンテクスト文化から考えるリモートワーク p.139
【新規】リモートワーク成功の3要件 p.140

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【改訂】IoTの定義とビジネス p.15

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】ニューラル・ネットワークの仕組み p.68

クラウド・コンピューティング編
【改訂】クラウドに吸収されるITビジネス p.106
【新規】クラウド・ネイティブへのシフトが加速する p.107

開発と運用編
【改訂】開発の自動化とは p.94
【新規】ノー・コード/ロー・コード/プロ・コード p.95
【新規】ローコード開発ツール p.96
【新規】ローコード開発ツール p.97
【新規】ローコード開発ツールの 基本的な構造 p.98

下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 テクノロジー・トピックス編
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 サービス&アプリケーション・基本編

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