オンラインでの講義や講演の魅力をアップする実践ノウハウ・オンラインサービスについて
コンテンツ、演出に続き、今日は、オンライン講演に欠かせないサービスについて、考えて見ます。
何でもいいが、やっぱりzoomかな
ここでは、少人数での会議ツールとしてではなく、あくまで大人数を対象にした講義や講演のためのサービスとして、私なりの感想を紹介します。仕様や機能の比較は、既に多くの方が、紹介をされているので、ここではそのことには深入りしないでおきます。
まず、最初に申し上げておきたいことは、この連載で既に紹介させて頂いたコンテンツと演出ができていれば、ツールは、その次かなぁと思います。
どんなに優れたツールを使っても、結局のところ、中身であるコンテンツが魅力的でなければ意味がありません。演出はそれをうまく伝えるための役割を果たすわけですが、見方を変えれば、それは受講者に対する思い遣りというか、愛情の表現であると言うことです。
伝えたという自分の満足ではなく、伝わったという相手の満足を大切に考えるなら、魅力的なコンテンツとともに、伝わる演出に心血を注ぐことが、講演者の矜持というものです。
とはいうものの、その想いをうまく送り出すことができなくては、意味がありません。それが、各種サービスと言うことになります。
どのような点が重要かを、優先順位を付けてみました。
- 音声が途切れない
- 画像が途切れない
- インタラクティブなコミュニケーションができる
- 受講者の顔が見える
- バーチャル背景が使える
演出のところでも書きましたが、講義や講演にとって一番ストレスを感じるのが、音声が途切れることです。これは、必ずしもサービスの問題だけではありませんが、ネットワークが貧弱でも安定した品質を維持できることが大切になります。その点で優れているのは、zoomではないかと思います。
画像も同様ですが、大変安定しています。Zoomは、「ビデオファースト」という思想を掲げ、音声はもちろん、映像の品質もこだわっているようです。特に、コーデック処理は独自の仕様に基づいており、標準的に採用されているH.264 SVCなどをベースに拡張を加え、サーバ側に負荷がかからないよう、デバイス側で最適な品質の映像を選択できるようにしています。例えば、1つの画面で同時に49人の映像を映し出しても、まったく問題がないほどです。Teamsも悪くはありませんが、やはりzoomには劣りますね。
対極にあるのが、Skypeでしょうか。少人数の打ち合わせでは、さほど気になりませんが、大人数を相手にする場合は、ほぼ確実に音声は途切れ画像がカクカクになります。まあ、あまり使うこともありませんので、何とかなっています。ただ、一部の企業では、オンプレのSkypeしか使えないので、これでやって欲しいと依頼されることがあります。流石に、そのような企業は、少なくはなりましたが、講義や講演の品質が確保できないと言う理由で、原則お断りしています。まあ、本音を言えば、「オンプレのSkypeしか使えない」という企業に、DXだとかITの最新トレンドの話をさせて頂いても、如何なものかという、想いもあることは事実です。
画像については、受講者にとっては当然のことなのですが、話者にとっても、相手の表情を知るために大切です。講演というのは、話者が一方的に話しをすればいいと思われがちですが、私の場合、相手の反応やメモを取っているかどうか、退屈な顔をしていないかなど、かなり神経質に見ながら、それに合わせて話し方や話題、演出を変えています。受講者を飽きさせないためには、是非とも必要な対応です。ですから、原則、画像をオンにしてご参加頂くようにお願いしています。
「冗談を言って、滑っているのに勝手にニヤニヤしているのって、気持ち悪くありませんか?もうしわけありませんが、皆さんの精神衛生上の観点から顔を出して参加し手下さい。」
そんなお願いをしているのですが、まあ、なかなか顔を出しては頂けません。
ぜひ、理解して頂きたいのは、話者がよりよい講義を行うためには、受講者のささやかな思い遣りも必要であると言うことです。
コミュニケーションについては、ひとひとで言えば質疑応答です。これは、オフラインでも同じですが、講演をさせて頂いても質問はほとんどありません。私が受講者の場合は、何としてでも質問をしてやるぞと言う覚悟で一番前に座るようにしていますがw、まあこれはかなり特殊なケースでしょう。
オンラインであれば、まわりのことを気にしなくていいので質問しやすいのではと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、やはり何も変わりません。そこで、チャット機能でこれを代替しようというわけです。
ただ、zoomのチャット機能は、シンプルでいいのですが、ただシリアルにメッセージをやり取りするだけなので、この質問に返信することができません。また、オンラインにして以降のチャットしか見えず、それ以前は見ることができません。その点、Teamsは、質問のスレッドを立てることもできますし、いいね!も押せますので、かなり便利です。
400名を相手にzoomで講義を行い、質疑応答はTeamsを使うという組合せでやったことがありますが、これはなかなか使い勝手が良かったですね。これ、かなりおすすめです。
最近使っているのが、Slidoです。これは、匿名でも質問でき、質問への「いいね!」の数で表示の順番が変わり、かなり重宝しています。
コミュニケーションについて言えば、簡単にグループディスカッション(ブレイクアウトセッション)ができるのは、zoomのいいところです。
バーチャル背景は、場合によっては必要ですね。部屋が散らかっているようなときは、大変ありがたい機能ですw。この機能で言えば、Teamsがいままで使った中では、一番良いですね。背景と人物の間に不自然な隙間がほとんど空きません。zoomも頑張っていますが、Teamsの方が、現時点では優れています。ただ、zoomは最近の機能で、パワポの画面を背景にできるようになりました。これは、なかなか便利です。
ちなみに最近は、mmhmmをバーチャルカメラで使っています。バーチャルカメラとは、実際のカメラの選択と同じように、カメラの1つと選択肢に表示されるものです。
mmhmmは、バーチャルな背景にパワポのプレゼンテーションやWeb画面などを、人物に重ねて表示することができるもので、受講者たちを驚かせるのに効果的です。ただ、バーチャル背景と人物の隙間がかなり広く動きにも直ぐに追従してくれないという課題もあります。まだ、ベータ版なので、今後改善されることを期待しています。
Webexについては、あまり使いませんが、使った感想を申し上げれば、「古くさい」といったところでしょうか。UIも昔ながらのWindows的であり、直感的な操作ができず、最初は少々苦労しました。さほど使っていませんし、Webexのウエビナー機能は使ったことがないので、十分な評価はできませんので、その点はご了承ください。
まあ、なんやかんや書きましたが、zoomが使い馴れていることもあって、「やっぱりzoomかな」といった感じです。
zoomについては、セキュリティの懸念が広く報道されましたので、それを理由に、利用を制限している企業も未だ少なくないようです。しかし、短期間のうちに一気に改善され、ぜい弱性は少なくなりました。まあ、ぜい弱性のないサービスなどはなく、それを承知の上で使うしかありません。zoomもその意味では、もはや世間並みと考えてもいいように思います。
ただ、zoomのユーザーは、他サービスと比べて相当に多く、さらにユーザーを増やしているようです。その理由は、「ビデオファースト」という思想を掲げ品質の向上に余念がないことが、最大の理由でしょう。そして、セキュリティにしても、機能にしても、ものすごいスピードで改善を繰り返していることも、ユーザーを増やしている背景にあると思います。
どこかの国のクラウドサービス事業者は、このような点を是非見習ってほしいものです。
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