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「その仕事、全部やめてみよう」は何を教えてくれるのか

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HRT

この言葉をご存知だろうか。『Team GeekGoogleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』という本で紹介されている「Humility(謙虚)」、「Respect(尊敬)」、「Trust(信頼)」を示す言葉だ。

"あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるものだ"

Googleのエンジニアたちが、最高のチームをつくるために実践したことが記されている。

謙虚(Humility)

世界の中心は君ではない。君は全知全能ではないし、絶対に正しいわけでもない。常に自分を改善していこう。

尊敬(Respect)

一緒に働く人のことを心から思いやろう。相手を1人の人間として扱い、その能力や功績を高く評価しよう。

信頼(Trust)

自分以外の人は有能であり、正しいことをすると信じよう。そうすれば、仕事を任せることができる。

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『その仕事、全部やめてみよう』

私は、この本を書いた小野和俊さん(クレディセゾン・常務執行役員CTO)が、アプレッソの社長を務めていたころ、自分の本を書くための取材で伺ったときに、彼にHRTという言葉を教えてもらったことを記憶している。その後、何度かお目にかかっているし、一緒にパネルディスカッションに登壇したこともあるが、彼の話には、常にこのHRTの土台がしっかりと根を張っていた。

彼がセゾン情報システムズのCTOを務めていたとき、私は、「SIerなんてクソである」ぐらいのことを申し上げると(もちろん、そんなストレートには言わないw)、「斎藤さん、企業にはバイモーダルが必要なんです。この会社に来て、そのことが、とてもよく分かりました。」

バイモーダルとは、ガートナーが作った言葉で、「モード1:失敗が許されない領域に適した安定性重視」と「モード2:時代の変化にいち早く対応するスピード重視」が、情報システムには共に必要であり、トラディショナルなSIerだからこそ、それができるということだ。セゾン情報での実体験、たぶん銀行や製造業でデファクトとなっている圧倒的な品質を誇る転送ソフトHULFTを例えに話してくれたことを記憶している。

それぞれの違いを真摯に受けとめHRTの精神で、どうすれば異なるものを組み合わせればいいのか。それぞれがそこに存在することの必然は何かを考え、その「1%の本質」を見抜き、最高の組合せを目指そうとする。本書では、その実践を、様々な自らの体験に重ね合わせながら、語ってくれている。 特に第5章「職場は猛獣園である」を読むと、そのことがとてもよく分かる。

HRTという言葉が、何度も出てくるわけではないが、この本を貫いている大切なテーマと言えるだろう。

Practice over Theory(理論よりも実践)

この言葉も彼から教えてもらった。MITメディアラボ所長の伊藤穰一さんの言葉で、理屈や理論ではなく、実践、体験すればわかることは多い。そこで技術のエッセンスや可能性を感覚的に理解することができれば、理解は一気に深まる。

この言葉は、本書には出てこないが、この本のもうひとつのテーマかも知れない。セゾン情報システムズでの「ビットコイン」、クレディセゾンでの「お月玉」のはなしは、以前にも聞いていたが、本書でも紹介されているとおり、やってみて、初めてその意味や価値がわかり、まわりもまた、それを見て感じて動き出すことの醍醐味を語っている。

エンジニアであるなしにかかわらず、やってみなければ分からない。やってみることを通じて、気付き、学び、磨かれてゆく。特に正解の分からない新しい取り組みに於いては、なおさらのことだ。

DXだ、デジタル化だ、新規事業だといろいろと世間は賑やかだが、いろいろと調査し、企画し、議論しても何も見えてこない。とにかくやってみようが、一番の調査であり、最高の企画のネタを与えてくれて、成功のためのノウハウが磨かれる。その実践の大切さを本書の中では、幾度となく語られている。

彼は、言葉の職人だ。この本には、「うまいこと言うなぁ」がたくさん登場するし、本書に限らず、私は何度も見聞きしている(ここだけの話ではあるが、私も彼の言葉をいろいろと拝借しているが、これは小野さんには秘密にしているので、黙っていて欲しい)。

実にタイミング良く、適切な言葉を引き出し、すぽっとはまる言葉を紡ぎ出す。その語彙の豊富さと表現力は、圧倒的だ。そこから垣間見られる、彼の明晰さが、HRTの精神と結びつき、さらにはPractice over Theoryでやって見せるからこそ、人は彼に惹き付けられるのだろう。そうやって、彼の言葉は、人を巻き込んでゆく。

本書は、そんな彼の働き方、いや生き方を、彼自身の言葉で活き活きと語っている。そこについつい引き込まれ、あっという間に読み切ってしまった。そして、働くこと、生きることの楽しみ方が、いつのまにか脳みそに染み込んでいることにニヤリとする。

そんな小野さんにも、1つだけ改めて欲しいことがある。私も意外と喋りたがりだ。だから、もし次にパネルディスカッションを一緒にすることがあれば、もうすこし私に話す時間を頂けないだろうか(笑)。まあ、無理だろうなぁ。

【募集開始】第35期 ITソリューション塾

オンライン(ライブと録画)でもご参加いただけます。

ITソリューション塾・第35期(10月7日開講)の募集を開始しました。

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本塾では、そんな「これから」のITやビジネスのトレンドを考え、分かりやすく整理してゆこうと思います。

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この塾では、知識だけではなく実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。

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