オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

モノのサービス化とは何か 1/5

»

「モノのサービス化」という言葉が、広く使われるようになりました。しかし、それが、既存製品をレンタルするビジネス程度に理解されている場合も少なくありません。

このような理解が、間違っているとは言えませんが、「モノのサービス化」の本質を説明しているとは言えません。そこで、「モノのサービス化」とは何か、なぜいま注目されているのかを、5回に分けて解説しようと思います。

ビジネスは「モノが主役」から「サービスが主役」の時代へとシフトした

高度経済成長の時代には、ビジネスは「モノが主役」でした。たくさんのモノを作り、それを売りさばくことで、企業は収益を上げてきました。そんな「モノ」の価値は、そこに作り込まれた「機能」や「仕様」によって決まります。そのため、メーカーには、魅力的な「機能」や「仕様」を実現する「モノづくり」が求められ、私たちは、対価を支払って、モノを所有することで、その価値を手に入れます。

4a0d8a7dc5ea4fc47146d72f68cbec10-1024x767.jpg

そんな時代は、もはや終焉を迎え、「サービスが主役」の時代を迎えています。「サービス」の本質は、「効用や満足という価値を直接顧客に提供すること」です。「モノが主役」の時代には、モノを購入して所有することでしか、価値を手に入れることはできませんでした。しかし、「サービスが主役」の時代となり、私たちは、モノを持たなくても価値を直接手に入れられるようになったのです。私たちは、対価を支払って、サービスを使用することで、価値を手に入れることができるのです。

モノであれば、購入・所有したわけですから、気に入らないからと手放すと、購入のために支払ったコストが無駄になるだけではなく、代替するモノを購入するために新たなコストがかかりますから、なかなかできません。従って、対価を支払う前に、モノの「機能」や「仕様」を十分に吟味し、十分に納得したところで購入します。メーカーも購入してもらうために、多大なコストと時間をかけて、「機能」や「仕様」の魅力を高めることに努力します。

一方、サービスは、一旦は使って気に入らないからと、使うことを辞めたとしても、大きな負担にはなりません。もっといいサービスが登場したら、そちらに乗り換えることも容易です。サービス提供者は、そうならないよう、使い続けてもらわなくてはなりません。つまり、顧客の体験価値を常に高い状態に維持し続ける努力が必要となるのです。

体験価値とは、「心地よい・使い易い」、「もっと使いたい」、「ずっと使い続けたい」と、サービスを利用する体験を通じて、顧客に感じてもらうことです。

製品やサービスを通じて得られる体験のことをUXUser Experience)と呼びます。つまり、サービスを使い続けてもらうためには、UXを顧客にとって、魅力ある状態に維持することが必要となります。

そんなサービスの実態は、ソフトウェアですから、体験価値を維持するには、ソフトウェアを更新し続けることが必要です。「継続的な改善」、「最適を維持」、「顧客の期待を先回り」し、魅力的なUXを維持し続けることが大切です。「コトづくり」とは、このような取り組みのことを言います。

アジャイル開発やDevOpsが、注目されるのは、顧客や現場からのフィードバックをうけて、高速に改善し続けるためのノウハウが詰まった開発や運用の考え方やプラクティスの体系だからです。魅力的なUXを維持し続けるためには、大変有効と言えるでしょう。

*** 明日に続く

【募集開始】第35期 ITソリューション塾

オンライン(ライブと録画)でもご参加いただけます。

ITソリューション塾・第35期(10月7日開講)の募集を開始しました。

新型コロナ・ウイルスは、肺に感染するよりも多くの人の意識に感染し、私たちの考え方や行動を変えつつあります。パンデミックが終息しても、元には戻ることはありません。私たちの日常は大きく変わり、働き方もビジネスも変わってしまうでしょう。これまでの正解は、これからの正解と同じではありません。ならば、事業戦略も求められるスキルも変わらざるを得えません。

本塾では、そんな「これから」のITやビジネスのトレンドを考え、分かりやすく整理してゆこうと思います。

特別講師

この塾では、知識だけではなく実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。

=====

  • アジャイル開発とDevOpsの実践
    • 戦略スタッフ・サービス 代表取締役 戸田孝一郎 氏
  • 日本のIT産業のマーケティングの現状と"近"未来
    • シンフォニーマーケティング 代表取締役 庭山一郎 氏
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略
    • 日本マイクロソフト CSO  河野省二

=====

  • 日程 初回・2020年10月7日(水)~最終回・12月16日(水)
  • 毎週18:30~20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 100名
  • 会場 オンライン(ライブと録画)および、会場(東京・市ヶ谷)
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)
    • PCやスマホからオンラインでライブ&動画にて、ご参加頂けます。
    • 資料・教材(パワーポイント)はロイヤリティフリーにて差し上げます。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【8月度のコンテンツを更新しました】
======
新規プレゼンテーション・パッケージを充実させました!
・「新入社員研修のための最新ITトレンド研修」の改訂
・そのまま使えるDXに関連した事業会社向け講義パッケージを追加 
・ローコード開発についてのプレゼンテーションを充実
・ITソリューション塾・第34期のプレゼンテーションと講義動画を改訂
======
新入社員研修
【改訂】新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス・8月版
講義・研修パッケージ
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとこれからのビジネス*講義時間:2時間程度
> 自動車関連製造業向けの研修パッケージ
======
【改訂】総集編 2020年8月版・最新の資料を反映(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画 第34期版に差し替え
>これからのビジネス戦略
======
ビジネス戦略編
【改訂】デジタルとフィジカル p.9
【改訂】イノベーションとインベンションの違い p.10
【新規】DXを支えるテクノロジー p.18
【改訂】DXはどんな世界を目指すのか p.19
【新規】「モノのサービス化」の構造 p.46
【改訂】ビジネス価値の比較
【新規】ビジネス価値のシフト p.48
【新規】自動車/移動ビジネスの3つの戦略 p.49
【新規】ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用 p.137
【新規】ナレッジワーカーの本質は創造的な仕事と主体性 p.138
【新規】コンテクスト文化から考えるリモートワーク p.139
【新規】リモートワーク成功の3要件 p.140

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【改訂】IoTの定義とビジネス p.15

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】ニューラル・ネットワークの仕組み p.68

クラウド・コンピューティング編
【改訂】クラウドに吸収されるITビジネス p.106
【新規】クラウド・ネイティブへのシフトが加速する p.107

開発と運用編
【改訂】開発の自動化とは p.94
【新規】ノー・コード/ロー・コード/プロ・コード p.95
【新規】ローコード開発ツール p.96
【新規】ローコード開発ツール p.97
【新規】ローコード開発ツールの 基本的な構造 p.98

下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 テクノロジー・トピックス編
 ITインフラとプラットフォーム編
 サービス&アプリケーション・基本編

Comment(0)