コロナ禍で変わる営業力の本質
「営業力強化のために研修をお願いしたい」。このようなご相談を頂くと、必ず次のような質問をさせていだく。「営業力を強化したいのですか、それとも業績を伸ばしたいのですか?」と。するとほとんどの方は、「もちろん、業績を伸ばすことです」との答えが返ってくる。
「営業力を強化したい」と「業績を伸ばしたい」は、似て非なるものだ。前者には、「営業力=営業スキル」すなわち、「提案書作成やプレゼンの能力、あるいは、交渉術など」との考えが前提にあり、営業個々人の営業スキルを向上させれば業績はついてくるという思い込みがある。
営業が、営業スキルを磨いたからといって、それだけで業績は伸びるだろうか。営業プロセスを学び、知識を増やすだけで、業績は延びるだろうか。「営業力(=営業スキル)を強化すれば業績が伸びる」という思い込みは、業績を営業個々人の能力に頼ろうとする発想であり、彼等の自助努力に頼る精神論に過ぎない。一方で、経営者や管理者は、自らの責任を放棄する都合の良い思考停止のキーワードとなる。
業績を伸ばしたいのであれば、「売れる商材」、「売れる売り方」、「営業の意欲を高める施策」が不可欠だ。
- 「売れる商材」とは、お客様が魅力を感じ、是非とも手に入れたいと思わせるサービスや製品を用意すること。
- 「売れる売り方」とは、広告や宣伝、展示会やイベント、ソーシャル・メディアを活用したファン作り、魅力を感じさせるデモや確実に受注させるための営業活動の手順を整備すること。
- 「営業の意欲を高める施策」とは、評価制度や営業支援体制の整備すること。
一般に営業の業績は売上と利益で評価される。しかし、クラウドを活用したサービス・ビジネスでは、短期的には売上も利益も上がらない。これを一致させる評価制度がなくてはクラウド・ビジネスは伸ばせないだろう。もし、売りたい商材と評価の基準が不一致であれば、現場の士気は高まらない。また、常に営業活動の状況を関係者が共有でき、何かあったら相談できる環境を整えておくことも大切だろう。みんな同じ方向に向かっているという意識を共有できることこそ、モチベーションを高める原動力だ。
営業スキルの強化に意味がないと申し上げるつもりは毛頭ないが、3つの取り組みを蔑ろにし、営業を叱咤激励しても業績にはつながらない。3つの取り組みを行い、売れる環境を整えてこそ、営業スキルの必要性を現場は実感し、それを磨くことへの意欲が引き出される。その意欲があってこそ、営業スキルは、実践能力としてカラダに染み込んでゆく。
コロナ禍により、お客様への訪問機会がなくなってしまったが、これからもこの傾向が、完全に元に戻ることはないだろう。そうなると、「言葉巧みに顧客を巻き込みその気にさせる営業」は力は効力を失う。そうなると「売れる商材」、つまり商品の開発力や調達力、「売れる売り方」、つまりマーケティング力が、業績を伸ばす圧倒的な力を持つことになるだろう。売り込まずして、お客様に認知させ、何としてでも手に入れたいと思わせる力だ。
営業の役割は、二極にシフトする。ひとつは、不確実性を高める世の中にあって、「何とかしなければならないが、何をすればいいのか分からない」お客様のあるべき姿を示す、教師であり、伝道師としての役割だ。もうひとつは、「ほんとうにこれでいいのかの決断ができずにいる」お客様の背中を一押しする役割だろう。それができるためには、信頼と安心を与えられる高い人格が求められる。
営業力は、営業スキルと同義ではない。「売れる商材」、「売れる売り方」、「営業の意欲を高める施策」の総合力であり、それができて、業績に貢献する。それこそが、いまの時代に必要とされている営業力の本質であろう。
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いまのITの常識を整理して、わかりやすく解説し、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと企画しました。お客様の話していることが分かる、社内の議論についてゆける、仕事が楽しくなる。そんな自信を手にして下さい。
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【第1回】2020年8月3日(月)
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デジタルってなぁに、何が変わるの、どうすればいいの?そんな問いにも簡潔な説明でお答えしています。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【6月度のコンテンツを更新しました】
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- 以下のプレゼンテーション・パッケージを改訂致しました。
・2020年度・新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス
- ITソリューション塾・第34期(現在開催中)のプレゼンテーションと講義動画を改訂
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【改訂】総集編 2020年6月版・最新の資料を反映しました(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画
- デジタル・トランスフォーメーションと「共創」戦略
- ソフトウェア化するインフラストラクチャー
- ビジネスの新しい基盤となるIoT
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ビジネス戦略編
- 【改訂】ビジネス発展のサイクル p.9
- 【新規】DXはどんな世界を目指すのか p.17
- 【新規】DXの実現を支える3つの取り組み p.50
- 【改訂】MONET Technologies p.65
クラウド・コンピューティング編
- 【新規】XaaSについて p.47
- 【新規】シームレスなマルチ・クラウド環境を構築するAnthos p.110
- 【新規】クラウド各社のOpenShiftマネージドサービス p.111
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
- 【新規】IoTの定義 p.15
- 【新規】サプライチェーンとデマンドチェーン p.44-45
- 【新規】MaaSエコシステムのフレームワーク p.61
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
- 【改訂】人工知能の2つの方向性 p.12
- 【新規】AIとAGI p.13
- 【新規】ルールベースと機械学習の違い p.66
下記につきましては、変更はありません。
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- テクノロジー・トピックス編
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