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「学生気分」とは「正解が予め用意されている」という思いこみ

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「なかなか、学生気分が抜けなくて・・・」

新入社員研修の担当者から、よくこんな嘆きを聞くことがある。

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ところで、この「学生気分」とは、いったい何だろう?

いろいろとありそうだが、私が最も強く感じるのは「正解が予め用意されている」という思いこみだ。

学生にとって、授業やテストは日常だ。授業で使う教科書には、正解が書かれている。つまり、正解は、読めば分かると言うこと。また、テストは、「正解を当てにいく」行為だ。教科書に書かれた正解を覚え、設問にその答えを当てはめる。あるいは、教師が予め用意した正解を、その意味を理解しているかどうかはともかくとして、その通り当てれば、点数がもらえる。教師が、答えて欲しいこと、つまり教師の思う正解を当てれば、教師の覚えも良い。つまり、予め用意された正解に早くたどり着く能力の高さが、優秀の条件であった。

学校だけではない。親の正解、友達の正解、世の中が言っていることの正解を、言わば、その意味や役割を考えることなく、あるいは、自分事として引き受けることなく、ただ当てること、その通りに従うことが、学生時代を、あるいは子ども時代をうまく生きる処世術であった。

そんな「学生気分」が抜けない新入社員に質問をすると、それらしい答えを返してくる。そこで、どうして、そう答えたのかを問うと説明できないケースは多々ある。つまり、講師が正解と考えているであろう言葉を、自分の知っている言葉の中から選び、当てようとしただけなのだ。

社会に於いて、正解が予め用意されていないことは多い。それに対処するには、自分の思考の力と思いっきりで、答えを創り出すことが求められる。

この現実を言葉として伝えるのは容易だが、実感させ、意識と行動を変容させることは、なかなか容易なことではない。

ちなみに、実際の職場では、予め用意された正解に早くたどり着く能力が必要とされることは多い。事実、会社の仕事の8割はルーチン・ワークだ。インプットとアウトプットの間に挟まった関数は基本的に決まっているわけで、まさに仕事の関数という正解を通せば、処理できるようになる。その関数の意味など知らなくても使いこなせるようになることが、一人前の条件でもある。そう考えれば、即戦力として使える人間を育てる方法は、「学生気分」を忘れさせずに、正解の関数を覚え込ませて、それを使いこなせる人間にすることかも知れない。

しかし、その関数が使えない、あるいは、ビジネス環境が変わって、新しい関数を作らなければならなくなったとき、あるいは、例外に対処しなければならないときには、対処できなくなってしまう。そういう人材は、正解がどんどんと変わってしまう時代に対処できず、それが企業の変革の足かせとなってしまう。

残念なことだが、多くの企業が抱えている問題の根本はここにあるように思う。つまり、ルーチンワークはこなせても、常識を逸脱して新しいやり方を見つけられないと言うことだ。

まあ、新入社員の話なので、この話は別の機会とするが、いずれにしろ、現場の状況に、臨機応変に対処し、多様化する顧客のニーズに俊敏に対処する人材が、これから益々求められるだろう。

そのためには、会社や組織の正解、すなわち企業の文化や習慣といった既存の文脈とらわれないで、新しい正解を自分で創り出すことができる社会人となることが、彼らに幸せをもたらすことになるのだろう。

だからこそ、新入社員の時代に、この「学生気分」を脱する術を教え、その大切さに気付かせ、意識や行動を変えるきっかけを与えることは、とても大切なことではないかと思っている。

そのためには、講師が自ら範を示すしかない。あるいは、組織の中で、上司や先輩が、これを実践している姿を見せるしかない。いやはや、これは大変なことだ。

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