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新入社員研修では「信頼」と「学びの行動習慣」の大切さを伝えよ

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新入社員研修の教材を作りながら、受講者に一番伝えなければならないことは何かを、考えていた。もう、何年もやっているのに、いまさらと思う向きもあるが、改めて、ちゃんと言葉にしてみるのも悪くない。そして、たどり着いたのか、次の2つの言葉だ。

  • 信頼を築け
  • 学びの行動習慣をつけよ

新入社員の時期あるいは入社12年で、知識やスキルを一人前に引き上げることは、並大抵のことではない。経験という時間の蓄積がなくてはできないことも多い。限られた時間内で知識を詰め込んだところで、それが定着することはなく、実践には役立つことはない。

確かに、意味も分からず、儀式としての苦痛に耐える日々を送り、忍耐力と忠誠心を身につけることはできるかも知れない。しかし、そんな前時代的な価値観を身につけさせたところで、会社の未来を託すことができる人材になるとは到底思えない。

いま私たちが直面しているコロナ・パンデミックで実感している「不確実性」は、ますます高まってゆくだろう。ビジネス環境もめまぐるしく変わる。そんな時代に必要とされる人材は、「自律」と「逸脱」の気概が求められるだろう。

誰かに頼るのではなく、自分で考え正しいことを見出し、自ら判断して行動する「自律」、既存の常識や習慣にとらわれず、新しいことにもチャレンジする「逸脱」なくして、不確実性の高まる時代を生き抜くことは、難しい。そして、そういう人材こそが、会社の未来を築く原動力になる。

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そんな人材となるためには、まわりから、彼/彼女なら「やらせてもいいのではないか」、「きっとやってくれるだろう」、「良い機会だからやらせてみよう」と信頼されることが何よりも大切だ。そうでなければ、自分を成長させる機会を得られない。成長のチャンスを自らに引き寄せるために「信頼を築け」である。

知識やスキルがないのは、誰もが分かっている。だからこそ、愚直に、そして時間を惜しまず、目の前のことに取り組むことだ。

要領良くやりたいという気持ちは大切だ。しかし、要領を手に入れる唯一の手段は、いまの自分にできる最高のクオリティを仕事に注ぎ込むことしかない。最初のうちは手間も時間もかかるが、それを繰り返してゆくうちに、効率は上がり、最初3時間かかっていた仕事がクオリティを落とすことなく、いやむしろ高めながら30分で終わるようになる。その経験の積み上げしか「要領」を手に入れる手立てはない。

信頼を築くとは、そういう愚直な姿を他人に見せることだ。要領は悪くても一生懸命であること、他人のために一生懸命であること、嘘をつかず誠実であること。おおよそ、正しいと思うことを、全て一生懸命やってみることで、信頼は築かれてゆく。

ただ、信頼とは、知識やスキルと裏腹の関係でもある。知識もスキルもない人間を信頼などできないだろう。例え、新しいことを任せたいと思っても、それに関わる知識やスキルがなければ、任せたくても任せられない。しかし、知識やスキルが、一朝一夕で身につくはずはない。だからこそ、学び続けることを、生活のリズムに組み入れることが、大切であり、それが「学びの行動習慣」だ。

例え、いまこの時に、必要な知識やスキルがなくても、学びの行動習慣がある人間であれば、任せられる。きっと彼なら、何とかしてくれる。そして、その期待に応えることができる。それを才能という。

才能とは習慣である。特別努力をしなくても、当たり前にこなせることができることが、才能であるとすれば、まさに日常の行動習慣こそが才能と言えるだろう。

テクノロジーの進化は留まることはない。社会の不確実性は高まるばかりだ。新しい情報や解釈が、毎日湧き上がってくる。だからこそ、学び続けなければ、時代に取り残される。その繰り返しの中で、流行と不易を見出すことを学びというのだろう。

しかし、学び続けることが努力することであるなら、長続きはしない。朝一番に歯を磨くように、意識や努力をしなくても、できることを習慣という。頑張らずにできるような状態になることだ。

習慣を身につけるためには、努力が必要だ。その努力の先に習慣がある。だから、「学びの行動習慣」を持つことが、大切であること、そのためにいかなる努力が必要かを伝え、そのきっかけを与えることが、新入社員研修の役割であろうと思う。

変化が激しく、不確実性が高い世の中で、100年人生を全うしなければならない彼らにとって、学びの行動習慣がどれほど大切であるかは言うまでもない。若いときに学びの行動習慣を身につけられるかどうかが、人生における社会的格差となることを、身をもって感じてきたからこそ、そのことをしっかり伝えることは、講師を引き受けるものの責務であろう。

「信頼を築け」と「学びの行動習慣をつけよ」をどのように伝えるかだ。知識として知らせることだけではなく、共感させ、行動を起こさせるきっかけをどのように与えるかだ。その試行錯誤をいまも続けている。

残念ながら、新入社員研修は、「きっかけを与える」ことしかできない。それを組織の日常として、あるいは文化として、習慣にすること、つまり組織の才能にすることは、それを引き継ぐ会社の人たちに任せるしかない。だからこそ、こうやって、言葉にして、伝えておきたいと思う。

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