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自分の存在意義は利益を超えられるか

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purpose beyond profit (企業の存在意義は利益を超える)

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IIRCInternational Integrated Reporting Council/国際統合報告評議会)の2018年の報告書のタイトルです。IIRCは、企業などの価値を長期的に高め、持続的投資を可能にする新たな会計(情報開示)基準の確立に取り組む非営利国際団体で、業績などの財務情報だけでなく、社会貢献や環境対策などの非財務情報をも一つにまとめた統合報告(integrated reporting)という情報開示のルールづくりやその普及に取り組んでいます。

コロナ・パンデミックで私たちが直面しているやっかいな事態は、「不確実性」です。そのことで、企業は利益を追求するだけでは生き残れないことに、改めて気付かされています。ピーター・ドラッカーが語ったように「社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たす」ことで、自らの存在意義を追求し続けなければ、事業の継続や企業の存続が難しくなったのです。だからこそ、経営者はpurpose beyond profitを改めて問わなければならない状況に置かれています。

経営者ばかりではなく、私たちひとり一人にとっても、同じ問いかけが必要なのかも知れません。今週のブログで何度か取り上げた「本質」という言葉ですが、これを別の言葉に置き換えるなら、まさにpurpose、すなわち自分の存在意義です。これまで私たちが、何ら疑うことも意識することもなかった仕事や生活のカタチが、ただの思いこみであったことを、いまさらながら思い知らされています。つまり、私たちの存在意義はカタチを維持することであったと言うことです。言葉を換えれば、私たちは異常事態に直面し、形式が剥ぎ取られ本質がむき出しにされる状態におかれているということです。

例えば、都心の立派なオフィスや人と人が顔を合わせて行う会議、書類にハンコをつくことが仕事であり、それを承認するために書類にハンコを突くことが仕事である人もいます。それが、タダの形式であって、そんなものなんかなくても仕事ができるし、そんなものをなくしてしまえという雰囲気が世間に拡がりつつあるわけです。

ならば、会社に於いて、あるいは社会にあって、自分の存在意義はなんでしょうか。自分からカタチを取り払った後に、残る何かが自分の本質であり、存在意義です。それをはっきりと自覚でき、人に伝えられる言葉として、実在化させることができるでしょうか。

私は、1995年にサラリーマンを辞めて、今年で25年が経ちました。その間、問い続けているのが、自分の存在意義です。それが、人に分かるように示せなければ、仕事にはなりません。つまり、生きていけないと言うことです。

サラリーマンを辞めた当初、私は大きな勘違いをしていました。それは、会社の看板と自分の実力を同一視していたことです。何十億円もの大きな仕事をこなし、営業としての成績も人並み以上でした。それが自分の実力だと思い込んでいたわけです。会社を辞めても、この実力さえあれば、何とか食べていけるだろうと信じて疑いませんでした。

しかし、会社の看板がなくなり、自分で自分の看板を作り、背負わなくてはならなくなった瞬間から、自分の実力やプライドが、会社という看板の後ろ盾によって、支えられていたことを思い知らされました。

まず直面したのが、住宅ローンです。この会社の社員だからお金を貸しましたが、辞めるなら全額返して下さいと言われました。クレジットカードももはや使えないと言われました。売り込みのためのアポイントメントをとろうとしても、どこの馬の骨か分からない存在に、誰も会おうとはしてくれません。

自分の存在意義は会社の看板に支えられていたわけです。その会社の社員だからお金は貸してもらえたし、人は会ってくれたわけで、そのことに気付かなかった自分の間抜けさに呆れてしまいました。そのことに気付いて、どうしたかについては、また別の機会に譲りたいと思います。

コロナ・パンデミックが収束した後の世界は、かつてない不景気に直面することになるかも知れません。投資は絞られ、厳選されてゆくでしょう。当然、その判断にあたっては、まねのできないコストパフォーマンスであったり、圧倒的な技術力であったり、あり得ないスピードなど、他者とは違う差別化、つまり自分たちの魅力的な存在意義が、問われることになります。

また、企業は、自分たちの存在意義を高めるために、従業員の入れ替えを進めようとするでしょう。いまの会社に留まるにしても、他の会社に移るにしても、自分の存在意義をしっかりと主張できるかどうかが、人生を大きく左右することになります。

企業は、あるいは私たちは、生きてゆかなければなりませんから、「profit=利益」は不可欠です。しかし、その利益を手に入れるためには、その前提となる「本質」あるいは「purpose=存在意義」が、必要なのです。

purpose beyond profit

いまいちど、私たちは、この言葉を自分事として捉え、考えてみるべきかも知れません。

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