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「ペルソナ」から始めた新入社員研修のコンテンツ

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ある大手SI事業者の営業職の新入社員研修の構成と内容を作るにあたり、受講生の「ペルソナ」を作ることからはじめてみた。

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愛知県岡崎市出身:内山一雄(22歳)男性

  • 大手自動車部品メーカーにエンジニアとして勤める父親と専業主婦の母親、2歳年下で大学生の妹がひとりいる。
  • 地元の高校でサッカー部に所属、全国大会を目指すが、2年生の時、県予選で敗退したことをきっかけにクラブ活動を引退。私立の有名大学を目指して、受験勉強に専念する。
  • ・・・

といった、生い立ちから始まり、講義が行われる7月時点での彼の心境についても、次のように綴った。

  • 新型コロナの影響で、入社早々出社できず、これで大丈夫だろうかという不安はあったが、仕方ないことでもあり、こういうときだからこそ、正しいことをしなくてはとの思いから、自宅での自粛も意識して心がけていた。
  • オンラインでの講義や課題をこなすのにそれなりに忙しかったし、いままでとは違う頭を使っていることもあり、かなり疲れた。これから必要となる知識だとの認識もあり、やり甲斐を感じていた。
  • 6月になり、出社できるようになり、同期とも会えてうれしかった。ただ、まだまだ、自粛モードが続いていることもあり、会社と社宅との往復を続けなくてはならず、つまらないとも思っていた。しかし、仕方のないことだし、XX社の社員であるという意識もあり、行動には注意しなければと言う自覚は持っている。
  • Javaやシステム構築の研修は楽しかった。自分は、こういうことには向いているのかも知れないと感じた。ただ、技術を極めるというのはどうかと思っている。子どもの頃から、人と会って話すことはきらいではなく、やはり営業だと感じている。
  • ヒマなときに、ネットでITや仕事に関係のありそうな情報を収集するが、いまひとつつよく理解できない。いろいろと研修でITのことは学んではきたが、本当に大丈夫なのかと不安に思っている。
  • 今月には配属が決まるが、どこになるのかドキドキしている。早くお客様のところへ行きたい。ただ、本当にこれで大丈夫だろうかという不安も募る。
  • 営業のこと、ITのことをもっと知っておかなければまずいのではないかと焦りを感じている。少しでもこの不安を払拭して、はやく営業の現場に出たい。

自己流であり、定石をおさえた書き方になっているのかは、自信は無い。ただ、こうやって受講者のリアルなイメージを描きながらの研修作りが、たいへん有効であることを、実感することができた。

具体的には、自分にできること、やりたいことなど、自分の知識や能力の範囲、あるいは自分の思いこみなどの自己中心的な視点を排除し、受講者が必要としていることは何かと真剣に向きあうことができたことだ。その裏返しでもあるが、自分の視点の狭さや知識の不足、あるいは考察の浅さに気付かされたことも大きかった。

そうやって、作った2日間の研修プログラムの達成目標と実施指針は、以下の通り。

【達成目標】

  • 覚悟:配属前の不安を解消し、現場に出ることの覚悟を持てるようになること。
    • 自分たちが関わるビジネスの環境や課題を冷静に理解する。
    • 仕事へのやり甲斐と厳しさを知る。
    • 仕事に必要な知識やスキルを身につけるためには、今後何をすべきかを理解し、意欲を高める。

【実施指針】

  • 講義を自分事として、前向きに捉えられるよう、事前課題や講義前のワークショップによって、自発的な疑問や質問を引き出し、研修における自分の事前目標を明確に意識させる。
  • 自社を含むIT業界やビジネス環境の現状と今後の展望について、客観的に分かりやすく整理し、可能性とやり甲斐のある仕事であることを理解させる。
  • 自社が将来に向けて、取り組んでいる姿を示し、自社への誇りと自分が頑張らなければとの気持ちを持たせる。

そして、達成目標と実施指針のもと、次のような研修内容にした。

  • 1日目:「ITITビジネス」をテーマに、IT業界の分析とテクノロジーのトレンド、デジタル・ビジネス・トランスフォーメーション、それを支える最新のテクノロジー、社会やビジネスの変化といった内容となった。また、同社のテクノロジー部門の経営幹部を招き、この会社がテクノロジーのトレンドにどのように向きあおうとしているのかを対話を通じて引き出し、講義の内容と自分が働く会社とのつながりを実感してもらう内容とした。
  • 2日目:「営業の仕事」をテーマに、営業活動プロセスとお客様との関係、求められる能力やスキル、それを実行する。積み上げ磨いてゆくための行動習慣と言った内容だ。前日同様、同社の営業部門の経営幹部を招き、自社の営業の課題や戦略、新人営業への期待などを対話から引き出し、自分が直接関わるこれからの仕事を感じてもらう内容とした。

講義に先立ち、事前課題も用意した。これはかなり難しいしい。絶対の正解はないので、自分で答えを創るしかない。そして、同時に、これから自分かが関わろうとしている仕事について、気付きを与え、深く考えてもらう内容だ。

事前課題に取り組むことで、自分の無知と不足を感じ、講義への前のめりな気持ちを引き出そうという作戦である。こちらについては、改めて明日、全文を掲載する。

ITソリューション塾・第34期(5月15日開講)の募集を開始

第34期の概要

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を軸に、その本質と実践、これを支えるテクノロジーを分かりやすく、体系的に整理します。また、共創や新規事業開発、事業転換など、いま向きあうべき「これからのビジネス戦略」についても、解説させて頂きます。詳細なスケジュールは、下記よりダウンロード頂けます。

もはやセキャリティにファイヤー・ウォールもVPNもパスワードも不要な時代になりました。まもなく登場する5Gにより、ネットワーク構築に関わる物理的な作業は不要となります。クラウドがシステム構築の物理的な作業を置き換え、アプリケーションの開発は、サーバーレスが普及するでしょう。人手に頼っていた多くの仕事はAIに代替され、ITと人間の役割、ビジネスのあり方が大きく変わろうとしています。

こんな時代を背景に「デジタル・トランスフォーメーション」の潮流が押し寄せています。

本塾では、そんな「いま」と「これから」をわかりやすく解説し、この変化にどう向きあうかについて、共に考えてゆこうと思います

特別講師

この塾では、実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。

  • アジャイル開発とDevOpsの実践
    • 戸田孝一郎 氏/戦略スタッフ・サービス 代表取締役
  • ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略
    • 河野省二  氏/日本マイクロソフト CSO
  • 日本のIT産業のマーケティングの現状と"近"未来
    • 庭山一郎 氏/シンフォニーマーケティング 代表取締役

お願い

参加のご意向がありましたらまずはメールでお知らせください参加者の確定や手続きに時間はかかるが、参加したいという場合は、ご意向だけでもまずはメールにてお知らせください。
直ぐに定員を超えると思われますので、その場合に備えて参加枠を確保させて頂きます。その際は、予定の参加人数も合わせてお知らせください。

実施要領

  • 日程 初回2020年5月13日(水)~最終回7月22日(水)
  • 毎週 18:30~20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 100名
  • 会場  東京・市ヶ谷、およびオンライン(ライブと録画)
  • 料金 90,000- (税込み 99,000)

「コレ1枚」シリーズの最新版 第2版から全面改訂

新しく、分かりやすく、かっこよく作り直しました

デジタル・トランスフォーメーション、ディープラーニング、モノのサービス化、MaaS、ブロックチェーン、量子コンピュータ、サーバーレス/FaaS、アジャイル開発とDevOps、マイクロサービス、コンテナなどなど 最新のキーワードをコレ1枚で解説

144ページのパワーポイントをロイヤリティフリーで差し上げます

デジタルってなぁに、何が変わるの、どうすればいいの?そんな問いにも簡潔な説明でお答えしています。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【5月度のコンテンツを更新しました】
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・以下のプレゼンテーション・パッケージを改訂致しました。
> 2020年度・新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス
>デジタル・トランスフォーメーション 基本の「き」
・ITソリューション塾・第33期(現在開催中)のプレゼンテーションと講義動画を改訂
>これからの開発と運用
・総集編を2部構成にして、そのまま講義/講演用のパッケージとして使えるように編集し直しました。
プレゼンテーション・パッケージ ======
【改訂】デジタル・トランスフォーメーション 基本の「き」
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【改訂】総集編 2020年5月版・最新の資料を反映しました(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画
>これからのビジネス戦略
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ビジネス戦略編
【新規】デジタル化によって生みだされる2つのビジネス領域 p.10
【新規】ビジネス発展のサイクル p.11
【改訂】デジタル・トランスフォーメーション 2つの解釈 p.19
【新規】デジタル・ビジネス・トランスフォーメーションp.20
【新規】ビジネスに大きな影響を与える3つの要因と対処方法 p.21
【改訂】DXを支えるテクノロジー・トライアングル p.41
【新規】自動車ビジネスの直面する課題 p.44
【新規】ビジネス価値の比較 p.45
【新規】コロナ・ショックで「デジタル・シフト」が加速 p.49
【新規】WithコロナのSI戦略 p.50
【新規】ITに関わる価値の重心がシフトする p.83

ITインフラとプラットフォーム編
【新規】ソフトウエア化されたインフラ p.63
【改訂】5Gの3つの特徴 p.263
【新規】5Gへのネットワークの集約 p.271

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【改訂】学習と推論の役割分担 p.84
【新規】デバイス側のAIチップ(エッジAIチップ)の必要性 p.85

サービス&アプリケーション・基本編
【新規】DXとERP p.9

開発と運用編
【新規】アジャイル・DevOps・クラウドは常識の大転換 p.9
【改訂】VeriSM p.17

下記につきましては、変更はありません。
 ITの歴史と最新のトレンド編
 テクノロジー・トピックス編
 クラウド・コンピューティング編
 サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

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