「働き方改革」ではなく「働くこと改革」へ・新型コロナ騒動は発想転換のいい機会となる
まもなく東日本大震災から9年目を迎えるが、そのころと似たようなことになってきたと感じている人も多いのではないか。イベントや様々な活動を自粛せよとの暗黙のプレッシャーがかかっている。
お湯を飲むのがいいとか、カレーがいいとか、根拠のないデマも拡散され、政府も、枝野幸男官房長官(当時)の「直ちに人体や健康に影響を及ぼす数値ではない」と似たような発表を繰り返すばかりで、これもまた9年前と同じような雰囲気だ。
昨日、浅草に出かけたが、参道や仲店界隈はガラガラで、いつもの賑わいを失っている。電車も混んではいないし、タクシーの運転手さんと話をしたが、お客さんは相当減っているとのことだった。
いまさらながら、サプライチェーンにおける中国の役割がとてつもなく大きなものであることを実感している。この先、リーマンショック級の不況に陥らないことを願うばかりだが、そろそろそれを覚悟して対策を講じておいた方がいいだろう。
特にSI事業者で影響を受けるのは、常駐・派遣に依存している企業だろう。リモートワークをしろと言っても、客先にいることが事業価値みたいなものだから、それでは仕事にはならない。それ以前に、不況になれば、不要不急のシステム開発は真っ先に先送りされる。そして、行き着くところ、システム投資は凍結されることになる。元請けの大手企業はともかく、下請けの中小企業からまずは仕事がなくなってゆく。これは、リーマンショックの時に多くの企業が経験したことで、もはやそんな状況を想定しておいた方がいいだろう。
確かに当時とは違って、クラウドやネットの環境も整備され、リモートワークができる環境が整っている。しかし、これまで、そういう仕組みを使ってこなかった、あるいは、技術的なことばかりではなく、制度を整備し、組織のメンタリティを育ててこなかった企業にとっては、簡単なことではない。一方で、出社不要をいち早く打ち出し、何ら影響のない企業もあるし、そもそも、はじめから出社を前提としていない企業もあり、そういう会社との格差が、これを機会に一気に広がる可能性もある。
両者の違いは、「労働力」を事業価値としているか、「知識力」あるいは「知識を活かすスキル」を事業価値としているかの違いであり、その格差が拡がることになるだろう。
この大騒ぎが収まったあと、民族大移動が始まるのではないか。会社が主語で取り組む「働き方改革」ではなく、働く人、個々人が主語となり「働くこと改革」を考えるようになるだろう。その時、自分が「労働力」の単位として扱われているのか、「知識力」の単位として扱われているのかが、問われることになる。
例えば、「稼働率」を云々する企業というのは、「労働力」を事業価値として捉えている企業の特徴だ。本来、「稼働率」とは機械設備の稼働状況を示す単位であって、それを人間に当てはめての基準だ。このような考えが前提にある以上、「単金×人数×稼働時間」が全てなので、どうすれば、このかけ算を最大化できるかを追求することになる。会社を主語に変数を変えて計算する発想だ。一方、「知識力」を求める企業は、「スキル×生産性×顧客事業の成果」であり、場所や時間はどうでもよく、言わば結果が出れば、それでいいとなる。社員ひとり一人が主語となり、お客様の価値向上と連動している。
この違いは、ひとりひとりの「セルフマネージメント力」の差も顕在化させるだろう。「任されたらそれをこなす」のか、「任されなくても自分で何をすべきかを見つけて、それを行うのか」の違いであり、民族の大移動は、後者の人たちにとってのステップアップの機会となるだろう。
今回の騒動は、産業構造を転換するいい機会となるかも知れない。それを「まずい」と感じ、その考えを否定し、あるいは見ないふりをする企業や個人がいる一方で、「よし、これを機会に自分のキャリアを見直そう」と感じ、行動に移す人たちもいるだろう。
東日本大震災をきっかけに自分のキャリアを見直した人たちがたくさんいるが、今回もそんな人たちが増えるのではないかと思うし、ぜひそうなって欲しいと思う。いや、改めて、これを機に、自分や会社を見直し、押しつけの「働き方改革」などはなく、自分自身で「働くこと改革」を進める機会としてはどうかと願わずにはいられない。
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