わずかな躊躇が圧倒的な社会的格差となってしまう時代
「パスワードレス・VPN不要・ファイヤー・ウォール不要」のセキュリティが当たり前になろうとしている。AWS OutpostsやMicrosoft Azure Stack、Google GKE On-premなどのクラウド・ネイティブなアプライアンスが登場したことで、オンプレミスとパブリック・クラウドの境界はなくなり、コンテナやマイクロサービス・アーキテクチャは必然となるだろう。今年からサービスが始まる5Gが普及すれば、「ネットにつながる」ことを前提にビジネスやサービスを考えることが、当たり前になるだろう。
システム開発についてはどうだろう。かつて社会は、モノの所有を前提に経済が回っていた。その時代の経済活動は、モノの価値を高め、モノの所有を増やし、モノを交換することで社会は回っていた。そんな「モノが主役の時代」には、「生産/工事」と言われる「QCDを守って作り納品する」という「ものづくり型/生産物としてのソフトウエア開発」、すなわち「ウォーターフォール開発」が主流だった。しかし、インターネットの普及やテクノロジーの進展により、社会が「限界費用ゼロ社会」を目指すようになり、「共有や共感」といった価値で経済が回るようになると、ビジネスは「サービスが主役の時代」となった。サービスは、できるだけ早く世の中に出し、ユーザーのフィードバックを得ながらアップデートを高速に繰り返し、変化するユーザーの志向に合わせて最適を維持し続けなければ使われなくなってしまう。「アジャイル開発」は、そんな社会の必然として、広く採用されつつある。
このような変化は、未来のことでもなければ、過去の出来事でもない。まさにいま起きている現実だ。そして、その利用シーンは、容易に想像できるというか、既に多くの実例がある。そんな「いまの現実」が、あなたには見えているだろうか。
もしそれが見えていなくても、何も悪いわけではない。そんなことを知らなくても生きてはゆける。そんな生き方も悪くはない。しかし、そんな生き方を選択したにもかかわらず、よりよい待遇を求めるのは、筋の通らない話しだ。
また、この変化のスピードがどんどんと加速していることも現実だ。ここに紹介したようなセキュリティやクラウド、開発の常識も新しい常識にどんどんと上書きされてゆくだろう。アップデートし続けなければ、時代の流れに置き去りにされる。ましてや「時間をかけて積み上げた経験値」があるという自己満足は、アップデートの足かせとなり、自分の成長や仕事の選択肢を狭めてしまう。
「いま何ができるか、何が得意かは重要だとは考えていません。必要とされるテクノロジーはどんどん変わります。だから新しいテクノロジーが登場したら直ぐに試してみる好奇心、そして、基本とか基礎とかを正しく理解していて、原理原則に立ち返って物事を考える人を採用するようにしています。」
数年前、ベトナムに行った時に、地元システム会社の採用担当者から聞いた話しだ。そういう人材は、きっといつの時代にも変化に翻弄されることなく、必要とされ続けるのだろうと気付かされた。
テクノロジーが変わることに臆するのではなく、むしろ歓喜して試してみる、やってみる人が時代を牽引してゆく。また、「新しいことが好きだから」というだけではなく、物事の本質を問い、原理原則に立ち返って新しいことを冷静に捉えることができる知識や態度がなければ、新しいことを活かすことなどできない。
テクノロジーの発展が既存の人間の仕事を奪うのは、いつの時代も同じだ。だからこそ、生き残り、成長してゆくためには、時代の変化にアンテナを張り、自分で問いを生みだし、テーマを作る力が求められる。そして、テクノロジーを駆使していち早く最適解を求め、次のテーマを生みだし、その答えを導くことで、新しいビジネスが生まれ、新しい役割や仕事が生まれる。私たちは、そうやってテクノロジーと共存し、さらに豊かで魅力的な社会を作ってゆくことができる。
時代のスピードが加速度を増すなか、わずかな躊躇が圧倒的な社会的格差となってしまう。これを「生きにくい世の中」と思考停止に陥るのか、「ワクワクする世の中」と考えどんどん前へ進むかは、人それぞれだ。ただ、ビジネスに関わり、そこでなにか事をなしたいとすれば、選択肢はひとつしかないだろう。
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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【2月度のコンテンツを更新しました】
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・DX関連のプレゼンテーションを大幅に拡充
・セキュリティと5Gについても新たなプレゼンテーションを追加
・講演資料「デジタル・トランスフォーメーションの本質とプラットフォーム戦略」を追加
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総集編
【改訂】総集編 2019年2月版・最新の資料を反映しました。
パッケージ編
講演資料「デジタル・トランスフォーメーションの本質とプラットフォーム戦略」
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ビジネス戦略編
【新規】デジタル化:デジタイゼーションとデジタライゼーション p.4
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションとCPS p.18
【新規】デジタルトランスフォーメーション 2つの解釈 p.19
【新規】DXとPurpose p.20
【新規】DXの基本構造 p.30
【新規】DX実践のステージ p.35
【新規】デジタイゼーションとデジタライゼーションとDXの関係 p.36
【新規】オープン・イノベーション事例:MONET Technologies p.52
【新規】オープン・イノベーション事例:TOYOTA WOVEN CITY p.53
【改訂】改善・最適化戦略/変革戦略とDX p.72
【新規】エコシステム(生態系)とは何か p.84
【新規】プラットフォーム・ビジネスを成功させる3つの要件 p.85
【新規】共創とプラットフォーム p.86
【新規】プラットフォームの事例:エーザイ・認知症エコシステム p.87
【新規】プラットフォームの事例:エムスリー株式会社 p.88
【新規】DXとは(まとめ)p.87
【新規】共創ビジネスの実践 p.185
【新規】内製化の事例:クレディセゾンのサービス「お月玉」 p.186
【新規】内製化の事例:株式会社フジテレビジョン p.187
【新規】共創の事例:トラスコ中山 MROストッカー p.188
【新規】「営業力」は「大好き力」 p.249
【新規】営業目標達成を支える2つの要件 p.250
【新規】「活動生活」の3部類 p.251
ITインフラとプラットフォーム編
【新規】シングル・サインオン(SSO)・システム 1/2 p.111
【新規】シングル・サインオン(SSO)・システム 2/2 p.112
【新規】Microsoftのセキュリティ・プラットフォーム p.119
【新規】移動体通信システムの歴史 p.255
【新規】5Gのビジネスの適用領域 p.256
【新規】5Gの普及段階 p.261
【新規】5GによるIT/SIビジネスへの影響 p.267
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】スマート・スピーカー p.53
【新規】新しい学習方法 p.106
クラウド・コンピューティング編
【新規】オンプレとパブリック・クラウドの関係の推移 p.106
テクノロジー・トピックス編
【新規】ニューロモーフィック・コンピュータ p.62
下記につきましては、変更はありません。
開発と運用編
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サービス&アプリケーション・基本編
ITの歴史と最新のトレンド編