テクノロジーは人間にしかできないことに人間の役割を追い込もうとしている
「マシンは答えに特化し、人間はよりよい質問を長期的に生みだすことに力を傾けるべきだ。」
"これからインターネットに起こる『不可避な12の出来事』"の中で、ケビン・ケリーが述べた言葉だ。
例えば、銀行の窓口で応対していた行員がATMに置き換わったように、駅の改札で切符を切っていた駅員がICカードのタッチに変わってしまったように、そして、近い将来、コンビニの店員がレジからいなくなるように、やり方が決まっている仕事は機械に置き換わってゆくのは歴史の必然だ。それがテクノロジーの発展によって、より複雑な業務プロセスにも適用の範囲が拡がりつつある。
また、「時間をかけて積み上げた経験値」つまり「ベテラン」の不良資産化が加速することも覚悟しておくべきだろう。ベテランのノウハウは機械が学び、代わりにやってくれるようになるだろう。
一方で、「何に答えを出すべきか」を問うことは、これからも人間の役割だ。プログラミングやテスト、運用管理などは機械に任せ、「どんなシステムを作ればビジネスの成果に貢献できるのか」、「どのようなビジネス・モデル、ビジネス・プロセスにすれば成功するのか」、「現場の要請にジャスト・イン・タイムでサービスを提供するにはどうすればいいのか」といった問いを発し続けることが人間の役割となる。
日本の労働生産性が低いことは周知のことだが、これは日本人ひとり一人の能力が低いからではないだろう。愚直に、そしてがむしゃらに働くことを求める組織が、ひとり一人の能力を引き出す事ではなく、組織の能力、すなわち能力の低い人に合わせた能力を要求するから、優秀なひとたちの能力を活かせないからだ。例えば、働く場所や時間が一律に定められていたり、年功序列という制度が残っていたりするのは、まさにその典型と言える。
かつて経済が成長していた時代であれば、それでも企業は成長したし、個人の収入も増えていった。「24時間働けますか?」という言葉になんら疑問を持つことなく、リゲイン飲んで頑張っていれば、それで良かったが、もはやそんな時代ではない。
働き方改革についても、そんな過去の成功体験から無意識のうちに一律のルールに縛ろうとする。だからなかなかうまく成果に結びつかない。そこで働く人、ひとり一人を主語に据えて、それぞれの事情や能力に応じて働き方の自由を提供することに取り組むべきだ。場所や時間の制約を受けずに働く機会を提供すれば、自分の能力にふさわしい力を発揮できるようになる。それが働き方改革の本質であるように思う。もちろん、目標管理やセルフマネジメントの能力は、これまでにも増して求められる。それができないのであれば、旧態依然とした仕組みの中で働くことを選択する自由も与えればいい。
テクノロジーは、目標管理やセルフマネジメントができる人たちにとっては、自分の能力を最大限に引き出す機会を提供する。それができる時代だという前提に立って、過去の成功体験を棚上げして、働き方改革を進めてゆくことが必要だろう。
テクノロジーの進化は、人間にしかできないことに人間の役割を追い込もうとしているのかも知れない。それに抗うことが難しい以上、人間にしかできないことの能力を高めることしか、もはや選択肢はないように思う。
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