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DXを実践するとは何をすることなのか

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昨日のブログで、DXに「社会現象」としての視点と「企業文化の変革」としての視点があること。そして、ビジネスに於いて注目すべきは、後者の視点であることを説明しました。

では、なぜいま「企業文化の変革」が必要かと言えば、社会の不確実性が高まり、長期計画的に事業を継続することが難しくなったからです。つまり、変化に俊敏に対応できる圧倒的なビジネス・スピードを持たなければ、事業の継続や企業の存続ができない時代になったからこそ、アナログで時間のかかるビジネス・プロセスを変革し、デジタルを駆使して高速化しなければならないのです。さらに、そのスピードに適応できる組織の運営方法や働くひとたちの行動習慣を変えなくてはなりません。それが、「企業文化や体質の変革」であり、DXが必要である所以なのです。

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具体的には、次のようなメカニズムをビジネス・プロセスに組み入れることです。

  • 業務の現場を徹底してデータで捉える。つまり現実世界のデジタル・コピーすなわちデジタル・ツインをリアルタイムに生成する。
  • 機械学習やシミュレーションを駆使して最適解を見つけ出す。
  • 最適解に基づいてビジネスを動かし再び現場にフィードバック

現実世界で試行錯誤して最適解を求めるのではなく、デジタル・ツインを使って高速に試行錯誤して最適解を求めることで、ビジネス・リスクを低減し、ビジネス・スピードを高速化しようというわけです。言葉を換えれば、デジタル、すなわちデータやアルゴリズムとフィジカル、すなわちヒトや組織が、一体となって改善活動を高速で繰り返しながら、常に最適な状態を維持し続けることで、不確実な世の中に対応していこうのがDXの実践と言えるでしょう。

不確実性が高い時代とは言え、足下を見れば工数需要は旺盛です。その理由は、堅調な国内景気であり、SAP25年問題などの外部的要因によって生みだされています。これらは既存のビジネスの延長にある「効率化」のためであり、DXが目指す「変革」ではありません。

それが証拠に、自分たちが仕掛けた新しい取り組みによってどれだけが新しい顧客が増えているのか、あるいは、売上や利益がどれだけ持ち上げられたのか、考えてみるといいでしょう。もし、既存の顧客に留まり、その中で既存の業務の延長線上でしか、売上や利益の向上を生みだしていないとすれば、まさに自らの取り組みの成果ではないのです。

また、事業会社の変革は事業部門が主管する取り組みです。そこからの直接の仕事がどれだけ収益に貢献しているでしょうか。それがほとんどなく、情報システム部門からの仕事ばかりであるとすれば、それは泡沫の夢で終わることを覚悟すべきかも知れません。オリンピック/パラリンピックが終わり、SAP需要も一巡した先に同様の需要があると考えるべきではありません。

DXへの取り組みは、既存の事業の延長線上にはありません。だからこそ、既存の事業で収益を上げられるうちに、お客様の「変革」に貢献するためにすべきことをしっかりと問い、そのための施策を積み上げておかなければなりません。

誤解なきように申し上げたいのは、既存の延長線上での仕事がなくなるといいたいのではありません。時代遅れのITにしがみつき、死に体のシステムから離れられず、稼働率は維持できても利益率を上げられない仕事ばかりになってしまうということです。

テクノロジーの進化はレガシーなシステムをどんどんと置き去りにしてゆきます。後になって、そのギャップを埋めようにも、優秀な人材はいまの仕事に未来はないと、さっさと辞めてしまっているでしょうから、ますます時代のニーズに対応できず、新しいコトもできないという悪循環に陥ってしまうということです。

ではどうすればいいのでしょうか。明日のブログでは、そんなことを整理してみようと思います。

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テクノロジー・トピックス編
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