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5Gは3Gが4Gに変わったのとは訳が違う この変化を侮るべきではない

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昨夜、5Gでビジネスはどう変わるのか」というイベントに参加しました。同名の書籍を書かれた著者であるクロサカタツヤ氏から、「本では書けなかったが本当に伝えたかったこと」を聞き、なるほどと思わずにはいられませんでした。また、「ソフトウェア・ファースト」の著者である及川卓也氏との対談では、「テクノロジーではなく経営や組織について改めて問い直すべきだ」との話があり、5Gのもたらすインパクトの大きさに気付かされました。

<参考>及川卓也氏・著書「ソフトウエア・ファースト」が気付かせてくれること

詳細は、まもなくメディアで採り上げられると思いますので、ここでは差し控えさせていただきますが、私が関心を持つシステムインテグレーションやITビジネスという視点で見れば、「破壊的」という言葉が最もふさわしいのではないかと、改めて思いしらされました。

高速×低遅延×大容量の5Gが普及すれば、ネットワーク構築に関わる物理的な作業は不要となります。加えて、クラウドがシステム構築の物理的な作業を置き換え、アプリケーションの開発は、サーバーレスが前提となるでしょう。その時、物販や工数で収益を上げていた企業はどうやって糊口をしのげばいいのでしょうか。

スマホが当たり前の時代でも、ガラケーを使っている人たちはいます。それと同じように、いまのビジネスも完全にはなくなることはないでしょう。しかし、それは極めて限定的なビジネスになってしまいます。

では、5Gやクラウドについて学び、スキルを身につければ、いいのでしょうか。残念ながら、そうはなりません。

5Gやクラウドがもたらす変化は、システムの構築や運用などのテクニカルな変化にとどまりません。なぜならビジネスのあり方、働き方、組織のあり方を大きく変えてしまうからです。つまり、これまでの収益源が変わるという単純な話しではなく、顧客が求める価値や従業員が働くことに求める価値が大きく変わってしまうということであり、そこまで踏み込んで、ビジネスのあり方を見直さなければならないということです。

「人間を前提に構築されてきたビジネスを、デジタルを前提に構築されるビジネスへ転換する」

デジタル・トランスフォーメーションの本質は、ここにあると思っています。これは単に、ビジネス・プロセスをデジタル化すればいいということではなく、組織のあり方や働き方、収益のあげ方も変えてしまいます。

例えば、「写真」について考えてみてください。

スクリーンショット 2019-12-24 9.17.21.png

従来のプロセスをデジタル化し高速化しても産み出す価値は大きく変わりません。自動化やRPAといった類はこの範疇です。しかし、スマホやソーシャル・メディア、あるいはクラウドといったデジタルによってビジネス・プロセスが変わるだけでなく、ビジネス・モデルも大きく変わってしまいます。物販はサブスクリプションに、所有はシェアに、囲い込みによる競争優位の確保はオープン・イノベーションに変わり、これまでとは違う新たな価値が創出されます。この本質的な変化こそが、「トランスフォーメーション/変革」なのです。

前者はデジタイセーション、後者はデジタライゼーションと呼ばれで、デジタル・トランスフォーメーションは後者の先にあります。

スクリーンショット 2019-12-24 9.17.01.png

5Gやクラウドのスキルを高めても、それをデジタイゼーションに留めていては、「写真」がそうであったように絶滅危惧種のビジネスに陥ることは避けられません。

以前、以下のブログでも紹介したようなことが、いまだ当たり前の企業に、5Gやクラウドを活かせる力量はなく、デジタル・トランスフォーメーションの大看板を掲げることは、無理だと思います。

テクノロジーの進化を表面的なところだけではなく、もっと本質的なところ、つまり、顧客が求める価値、従業員の価値、収益モデル、組織のあり方、業績評価基準などのビジネスの根幹と結びつけて考えなくては、もはや生き残ることは難しいと言うことなのです。

昨日のイベントは、そんな現実を改めて考える機会となりました。

【募集開始】第33期 ITソリューション塾

遠隔地からもオンラインでご参加いただけます。

ITソリューション塾・第33期(2月4日開講)の募集を開始しました。
既に多くの方からお申し込みをいただいております。

次の特別講師にもご登壇頂きます。
・デジタル・トランスフォーメーションと次世代ERP・SAP Japan 社長 福田譲 氏
・ゼロトラスト・ネットワーク・セキュリティとビジネス戦略・日本マイクロソフト CSO  河野省二 氏
・アジャイル開発とDevOpsの実践・戦略スタッフ・サービス・代表取締役 戸田孝一郎 氏

デジタル・トランスフォーメーションを軸に、AIやIoT、クラウドやインフラ、これからのビジネス戦略について、体系的かつ網羅的に整理してゆきます。

特にDXについては、事業戦略や実践と絡めながら丁寧に話をして行こうと考えています。

ぜひ、ご参加下さい。

  • 日程 初回2020年2月4日(火)〜最終回4月18日(水)
  • 毎週18:30〜20:30
  • 回数 全10回+特別補講
  • 定員 80名
  • 会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥99,000)全期間の参加費と資料・教材を含む参加登録された方はオンラインでも受講頂けます。出張中、あるいは打ち合わせが長引いて間に合わないなどの場合でも大丈夫。PCやスマホからライブ動画でご参加頂けます。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

【12月度のコンテンツを更新しました】
・総集編の構成を1日研修教材としてそのまま使えるように再構成しました。
・最新・ITソリューション塾・第32期の講義資料と講義の動画(共に一部)を公開しました。

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総集編
【改訂】総集編 2019年12月版・最新の資料を反映しました。
*1日研修で使える程度に、内容を絞り込みました。
パッケージ編
ITソリューション塾(第32期)
【改訂】ビジネス・スピードを加速する開発と運用
動画セミナー・ITソリューション塾(第32期)
【改訂】ビジネス・スピードを加速する開発と運用
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ビジネス戦略編
【新規】変革とは何をすることか p.4
【新規】イノベーションとインベンションの違い p.8
【改訂】デジタル化:デジタイゼーションとデジタライゼーション p.37
【新規】経済政策不確実性指数(EPU)p.38
【新規】デジタル・ディスラプターの創出する新しい価値 p.41
【新規】ハイパーコンペティションに対処する適応力 p.42
【新規】価値の重心がシフトする情報システム p.54
【新規】複雑性を排除してイノベーションを加速する p.55

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】IoT実践の3つの課題 p.74

ITインフラとプラットフォーム編
【新規】ゼロ・トラスト・ネットワーク 境界型セキュリティの限界 p.110
【新規】ゼロ・トラスト・ネットワーク セキュリティと生産性の両立 p.111

開発と運用編
【改訂】改善の4原則:ECRS p.5
【新規】ITの役割の歴史的変遷 p.8
【新規】アジャイル開発:システム構築からサービスの提供(体制変化) p.11
【新規】仮想マシンとコンテナの稼働率 1/2 p.60
【新規】仮想マシンとコンテナの稼働率 2/2 p.61
【改訂】DevOpsとコンテナ管理ソフトウエア p.63
【新規】モビリティの高いコンテナ p.65
【新規】モノリシックとマイクロ・サービス p.71

テクノロジー・トピックス編
【新規】急増するAI専用プロセッサ p.62

下記につきましては、変更はありません。
・クラウド・コンピューティング編
・サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
・サービス&アプリケーション・基本編
・ITの歴史と最新のトレンド編

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