社会人になった君たちに伝えたいこと(1)「勉強する」ことと「学ぶ」こと
研修で質問を促しても手を挙げる人がいない。新入社員だとかベテランだとかに関係なく、いつもの光景だ。
その原因はどこにあるのだろう。それは、必ずしも受講者の側にあるとは限らない。講師もまた、自分に原因があるのではないかと考えなくてはいけない。なぜ、誰も手を挙げないのかと。講義内容が難しすぎて何を質問していいのか分からないからなのか、あるいは、「何かありませんか?」なんて、曖昧な問いかけをしているからだろうかと。
受講者にも考えて欲しいことがある。その話、矛盾しているんじゃないですか?この言葉とこの言葉はどうつながっているんだ?なぜ、そんなことが大切なんだろう?と。質問するとは、そんな内発的な衝動のはけ口であり、それは自ら意識して、努力しなければ生みだすことはできない。
講義とは一般的に退屈なものだが、それを少しでも楽しく、あるいは、自分の身体に取り込むためには、そんな主体的な講義への係わり方をしてほしい。
講義で眠くなってしまう原因の8割は講師が下手くそだからである。そういう人たちが少なからずいることは、どうしようもないし、避けることもできない。これが、世の中の現実であり、受け入れるしかない。だからこそ、自分で工夫して、努力して、自分の糧にするために主体的に関わる努力をしなければ、貴重な時間を苦痛を絶えるだけの無駄な時間にしてしまう。こういう努力や工夫が「学ぶ」ということである。
学生時代、どのような知識を得なければならないかは、教師や学校が与えてくれた。予め用意されている正解を教えてもらうことや、如何にして早くその正解にたどり着くかのノウハウを身につけることを訓練してきた。その成果は「学力テスト」や「期末試験」で評価することができた。その成績は点数という客観的な評価であり、誰にとっても公平だった。
勉強する:テーマは与えられ、答えは予め用意されている。試験の結果で客観的に評価できる。
一方、「学ぶ」とは、これとは異なっている。テーマは自分で見つけなくてはいけない。予め用意されている正解はない。正解は自分で見つけるしかないのだ。しかし、その正解は、その時々の状況や経験の如何によって違いによって変わってしまうし、自分の正解と他人の正解が違うこともある。大切なことは、なぜそれが正解なのかを、自分で説明できなくてはいけないと言うことだ。また、その成果を評価してくれる外的基準はない。では何が成果かと言えば、「学ぶ」こと自体を自分が楽しめているかどうかだ。そして、これを実践に活かし、うまく活かせるかどうかを試してみることで評価できる。
冒頭で講義の話をしたが、講師が話していることを覚えようというのは「勉強する」ことだ。質問されたら講師の用意している正解を当てて褒めてしてもらおうというのは、試験と同じで、知っているかどうかを評価してもらう行為だ。
しかし、つまらない講義をどうすれば"すこしでも"楽しくできるか、どのような質問をすれば、自分の理解が深まるのかといった方法に絶対の正解はない。自分で正解を創り出さなければならない。だから、そのための工夫や努力が「学ぶ」ということになる。
「勉強する」ことを貶めるつもりはない。勉強は「学ぶ」ことの土台である。先人たちが積み上げてくれた沢山の正解を知ればしるほど、自分の無知を知ることになる。それが、「学ぶ」ことへの意欲を高め、学びの機会を増やし、その範囲を拡げてくれる。
ただ「勉強する」ことに留まらないで欲しい。会社や社会というのは、正解のない答えを求められることが多い。学生時代であれば、与えられたテーマに従い、予め用意された正解を見つければ良かった。しかし、もうそうはいかない。だから、学び続けなければ、何かを成し遂げることは難しい。
新入社員研修の間は「勉強する」ことが求められるだろうし、仕事や社会について何も知らないわけだから、仕事の常識を知るために必死で勉強する必要がある。ただ、工夫次第で、勉強の機会を学びの機会としても活かすことができる。それが講義の内容に疑問持つことであったり、質問することであったりする。ささやかなことだが、そういう「実践」が学びの機会を広げる。
学ぶ:テーマは自分で見つけなくてはいけない。予め用意されている正解はなく自分で見つけなければならない。その成果は「学ぶ」こと自体を自分が楽しめているかどうかと、これを実践に活かし、うまく活かせるかどうかを試してみることだ。
「勉強する」ことに留まらず、「学び」の機会を増やしてゆこう。「学び」は、与えられることではなく、自分で行動を起こすしかないことも覚えておいて欲しい。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
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