【図解】コレ1枚でわかるIoT
モノが直接インターネットにつながり、モノ同士が、あるいはモノとクラウドが、さらにはモノとヒトとがデータをやり取りするIoT(Internet of Things:モノのインターネット)が急速な広がりを見せ始めている。
2010年、インターネットにつながっていたモノは125億個あったとされているが、2015年には250億個に、そして2020年には500億個に達するであろうという予測もあり、私たちの住む現実世界は、インターネットとのつながりをますます深めようとしている。
モノは私たちの日常生活や社会活動の様々なアクティビティを、あるいはモノの周囲の環境や変化をセンサーで捉え、それをデジタル・データとしてインターネットを介して送り出してゆく。つまり、私たちの現実世界のデジタル・コピーがサイバー世界、すなわちクラウドの中に築かれつつあるのだ。インターネットにつながるモノの数が増えてゆくということは、ますます精緻な現実世界のデジタル・コピーが、出来あがることを意味している。
膨大な数のモノから送り出されるデータもまた膨大な量となる。まさに、ビッグデータが構築されつつあるわけだが、データをただ溜め込んでいてもそこから価値を生みだすことはない。そこで、この膨大なデータを使って、現実社会の出来事を分析し、その因果関係を明らかにしたり、様々なデータ上での実験(シミュレーション)を行ったりして、私たちの社会活動や生活を快適で安心なものにするための情報を生みだす必要がある。この情報を使って、自動車や航空機を動かし、交通システムを管制したり、健康のためのアドバイスを提供してくれたりといった価値が生みだされる。
「デジタルで現実世界を捉え、現実世界を最適化する仕組み」
IoTをあえて短い言葉にまとめるとすれば、このような表現になるかも知れない。ではIoTの普及によって、どのような価値が生まれるのだろうか。
モノ同士がつながり全体で協調・連携する
少し前を走っている自動車がスピードを落とせば、後方の自動車もそれにあわせてスピードを落とす。自動車と信号機がつながり、自動車の通行量にあわせて信号機の点灯を制御する。その結果、渋滞は解消され、円滑でエネルギー消費も少ないモノやヒトの輸送が実現する。
このように、モノ同士がつながることでモノがお互いに協調・連携しながら、全体最適を実現してくれる。
クラウドにつながりモノが賢くなる
電子レンジはいま話題の料理のレシピを手に入れ最適な時間や調理法を設定してくれる。冷蔵庫は少なくなった常備食材を検知して自動で発注してくれる。自動車に今日食べたい料理を話しかけるとおすすめのレストランを紹介し予約までし、渋滞のない快適なルートに沿って自動車を走らせてくれる。
ひとつひとつのモノに大きなデータや頭脳を持たせることには限界があるが、モノにつながったインターネットの先には、ほぼ無尽蔵のデータ格納場所であり膨大な処理能力を持った頭脳であるクラウドがある。モノは、このクラウドにデータを送り様々なデータ処理を行うことで、モノ単体ではなしえない強力な頭脳を持つことができる。
モノがリアルタイムでつながり"いま"の事実を伝えてくれる
航空機のジェットエンジンの稼働状況がリアルタイムに分かることで、故障や不具合を即座に把握できパイロットに適切な指示を与えることや、着陸先の空港で交換部品やエンジニアを事前に待機させておき、着陸後すぐに点検修理し次のフライトを欠航させないといった対応が可能になる。また、ジェットエンジンを製品の販売から、使用状況に応じた従量課金サービスにすることもできる。
さらに災害が起きたとき、いま自分が乗っている自動車を安全に避難させるために、その位置や動きにあわせて最適なルートに誘導してくれる。また、スマートフォンやウェアラブルを持っている人の動きをリアルタイムで捉えながら、安全な避難経路へと誘導してくれるだろう。
このようにモノがリアルタイムにつながることで、その時々の最適なモノやヒトの動きを実現したり、モノを販売からサービスへ転換したりといったビジネス・モデルの変革が可能になる。
このように見てゆくと、IoTとは現実世界とサイバー世界が一体となって、リアルタイムに改善活動繰り返しながら、現実世界の最適化を維持する仕組みと言えるだろう。
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