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【図解】コレ一枚でわかるAmazonの戦略から見えてくるデジタル・トランスフォーメーションの本質

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Amazonは、企業理念として、「最高の顧客体験」を掲げている。例えば、Amazonの商品ページには「1-ClickTMで今すぐ買う」というボタン(ワンクリック・ボタン)がある。このボタンを押すと、住所やクレジットカードの入力、確認画面に移って確認ボタンを押すこともなく、即座に注文が成立する。しかもプライム会員であれば送料はかからない。この便利さに、つい余計なものまで買ってしまう人もいるはずだ。そして、この便利さ故に、同じものを買うのならAmazonを使う人も多いだろう。この仕組みはAmazonの特許であり、他の会社が同様の仕掛けを組み込むことはできない。また、そんな会員の注文履歴を機械学習で分析し、次に何を買うかを予測して、配達先のそばの倉庫に予め置いておくことで、他社にはまねできない短納期を実現している。

また、ダッシュボタンという、ネット・ショップにあるワンクリック・ボタンを物理的なボタンに置き換えたものがある。そのボタンを指で押すだけで即座に商品が注文できてしまう。例えば、カミソリの刃やマウスウォッシュ、洗剤などのドラッグストア商品、シリアルやミネラルウォーターなどの食品・飲料、ほかにも美容関連、ペット関連、ベビー関連の商品など、頻繁にリピートする商品のダッシュボタンが用意されている。それを冷蔵庫や洗濯機に貼り付けておけば、商品が少なくなったり、なくなったりしたら、その場でボタンを押すだけで、最短で当日には自宅に届く仕組みになっている。ダッシュボタンの利用者は、広告や宣伝を見ることなく、その簡単さ故にボタンを押すだけでその商品を買ってしまう。これまでのマーケティングの常識を破壊してしまうサービスと言えるだろう。

Amazon Echoと呼ばれるマイクロホン付きスピーカーがある。これに話しかけるだけで、キーボードでの入力やスマホで画面を操作しなくても音声の指示だけで様々なサービスを実行してくれる。もちろん商品の注文もできる。また、Kindleという少し大きなスマートフォン程度のデバイスを使えば、重たい紙の書籍を持ち歩かなくても、どこでも即座に読みたい本を手に入れて読むことができる。

Amazonは、ネットのサービスばかりではなく、リアルな世界にも進出をはじめた。2017年にシアトルにレジ無しのコンビニAmazon Goを開店させたのはそのひとつだ。ここでは、商品を手に取り、自分の鞄やポケットに入れて店を出れば決済は完結する。支払いのために混雑したレジに並ぶ必要はない。Amazonは2021年までに、全米で3000店舗を展開する計画を持っているようだ。

また、Amazon Fulfillmentというサービスは、何かを販売したい企業がAmazonの倉庫へ商品を送り届けておけば、その後の在庫管理、販売、決済、配送などの一切の業務を代行してくれるというものだ。商品を販売したい企業にも「最高の顧客体験」を提供することで、生産者をも顧客として取り込んでしまっている。こうやっと倉庫業や運送業などの企業に対する破壊的競争力を生みだしている。

これら以外にも「最高の顧客体験」を実現すべく、デジタル・テクノロジーを駆使して圧倒的な利便性を実現し、他社にまねのできない新しい価値基準をお客様に提供しつづけている。もはやお客様は、その利便性ゆえにAmazonの様々なサービスを使い続けてしまう。

こうして、ネットにもリアルにも顧客接点を拡げれば、それぞれの顧客についての膨大な行動データが集まってくる。これを機械学習で分析して、商品の品揃えを最適化し、適切なタイミングで買ってくれそうな商品を推奨し、注文が入れば即日配送する。こんな仕組みを支えるために、徹底して自動化された百数十ヶ所の倉庫、40機の航空機と数千台のトラックを所有している。

このようにして、Amazonは、「最高の顧客体験」を追求したサービスを拡充し、顧客接点をネットだけではなくリアルにも拡げ、多様で膨大な顧客の行動データを収集し、それを活かして「最高の顧客体験」に磨きをかけている。

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Amazonの戦略を改めて整理してみると、「最高の顧客体験」を提供することで、多くの顧客にサービスを使ってもらう、そうすれば大量の顧客の行動データが集まる。このデータを機械学習で解析し、レコメンドや品揃えなどの顧客体験を高めるための短期・戦術的な顧客関係の最適化を行い、事業施策やマーケティングなどの長期・戦略的な施策の最適化に活かしている。つまり、短期・戦術的施策と長期・戦略的施策の最適化を顧客の行動データを中核に据え、高速で回してゆくための事業基盤を構築していることが分かる。

一旦このような基盤ができあがれば、様々な事業への横展開も容易だ。例えば、銀行や保険といった金融業、運輸や倉庫など物流業などは、もはやAmazonの圧倒的な「即応力」と「破壊力」の前に、厳しい競争を強いられている。そんなAmazonの絶大な影響力を称して「Amazon効果(Amazon Effect)」という言葉も登場している。

この事例からも分かるようにデジタル・トランスフォーメーションを実現するとは、デジタルを駆使した新規事業を作ることではない。「ビジネス環境の変化に即応するために、事実であるデータに基づき、短期・戦術的施策と長期・戦略的施策の最適化を継続的に実行できる事業基盤」を実現することといえるだろう。

不確実性が益々高まっている時代に、企業が生き残るためには、ビジネス・スピードを加速して変化に即応し、ビジネスの現場に必要なサービスをジャストインタイムで提供できる能力を持たなくてはならない。デジタル・トランスフォーメーションの実現は、そのために取り組まなければならないテーマになろうとしている。

【募集中】ITソリューション塾・第30期/2019年2月開講
リアルタイム・録画によるオンライン受講も可能になりました!

次期・第30期で11年目を迎えるITソリューション塾が、2019年2月7日(木)より始まります。

リアルタイムでのオンライン受講や録画での受講も可能となります。地方からのご参加や出張先、会場に間に合わない、あるいは、どうしてもその日だけは参加できないといった方々も講義を受けて頂くことができるようになりました。

デジタル・トランスフォーメーションが叫ばれるいま、変革を進めようとするお客様は、変革への意志や問題意識はあっても、「どこに向かって変革し、どのようにイノベーションを起こせばいいのか」分かりません。そんなお客様に「課題は何ですか、何をすればいいでしょうか」と尋ねても答えようがありません。そんなお客様に私たちが果たすべき役割は、お客様の「あるべき姿」を提言し、お客様を未来に導いてゆくことです。

お客様との人間関係を作ること、手配や調達に長けていることだけでは、役割を果たせない時代になろうとしています。ITソリューション塾は、こんな時代を生き抜くために、お客様の「あるべき姿」を提言できるようになるために必要な知識とスキルを磨くプログラムです。

  • 期間:2019年2月7日(木)開講・毎週1回18:30-20:30・全11回
  • 会場:東京・市ヶ谷/オンラインでの受講(リアルタイムと録画)
  • 費用:9万円(+消費税)

詳しくは、こちらをご覧下さい。

ITソリューション塾


ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LiBRA 2019/1月度版リリース====================

  • VeriSMについてのプレゼンテーションを追加しました。
  • 「動画セミナー」に、ITソリューション塾・第29期・最終講義「これからのビジネス戦略」を追加、全11講義をご覧頂けるようにしました。
  • ITソリューション塾・講義資料を最新の第29期に置き換えました。

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動画セミナー*会員限定*
【新規】これからのビジネス戦略(これを含め全11講義を収録)

総集編
【改訂】総集編 2019年1月版・最新の資料を反映しました。

ビジネス戦略編
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの定義 p.5
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションを加速するサイクル p.8
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの実現とは p.9
【新規】VeriSMとは何か p.24
【新規】VeriSMモデル p.25
【新規】ガバナンスとサービスマネージメント原則の関係 p.26
【新規】マネージメント・メッシュとは p.27
【新規】VeriSMのサービスサイクル p.28
【新規】これからの「ITビジネス成功の方程式」 p.61
【新規】アウトサイド戦略とインサイド戦略 p.105
【新規】失敗するPoCと成功するPoCの違い p.113
【新規】PoCを成功させるための3つのこと p.114

人材開発編
【新規】進化する営業 p.42
【改訂】「求められる人材」以下の内容を一部変更し全体をリニューアルしました。 p.11〜49

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】これからのビジネスの方向 p.41

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】機械と人間の役割分担 p.20
【改訂】産業発展の歴史から見る人工知能の位置付け p.53
【新規】ミッシング・ミドル(失われた中間領域)p.103
クラウド・コンピューティング編
【新規】クラウド移行の方向p.99

サービス&アプリケーション・開発と運用編
【新規】これからの「ITビジネス成功の方程式」 p.6

ITの歴史と最新のトレンド編
【新規】トレンドの構造 p.3

以下は、変更はありません

  • サービス&アプリケーション・基本編
  • ITインフラとプラットフォーム編
  • テクノロジー・トピックス編
  • ブロックチェーン
  • 量子コンピュータ

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