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我が家に「自動運転」がやってきた!

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週末を八ヶ岳の山麓で過ごす機会が増え、そんな生活に見合った車に乗り換えることにした。

これまではツードア・クーペ、エンジンは直列6気筒3000ccのツインターボ、トルクは40.8kgmで306ps、低重心で路面を感じながら気持ちよく加速感を楽しめる車だった。しかし、大きな荷物が積めないことや年に1〜2回しかない大雪の時だけなのだが、家の手前の斜度15%の道路がスタッドレスでも登れない残念を何度か味わい、四輪駆動のSUVタイプへの乗り換えを決断し、先日それが納車された。

車重は1.8トン(前車は1.6トン)の車なので排気量2000ccではパワー不足ではないかと心配していたが、まったくの杞憂だった。確かに排気量は小さいがツインターボでトルクも32.7kgmで252psある。ターボラグを感じることは全くない。前の車と比べると0km/hからアクセルを踏み込んだときのガッツンとした加速感こそ味わえなくなったが、その後の加速感や切れの良さ、剛性感に何も不満はなく、SUVながらも味付けはスポーツ車の仕上がりになっている。さらにスイッチでスポーツモードという設定に切り替えられるのだが、これに切り替えた瞬間から、まるで違う車に乗っているように足回りが固くなり、もうこれは完全にスポーツカーといった感じとなり、いやはやたいしたものだと大いに満足している。

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さて、本題であるが、「自動運転」と言ってもレベル4の「高度自動運転」やレベル5の「完全自動運転」ではない。システムがドライビング環境を観測しながら、加速・操舵・制動のうち同時に複数の操作をシステムが行う「部分自動運転」だ。具体的に言うと、速度の上限を設定しておけば、前車両の位置を感知し安全な車間距離を維持しながら加減速や停止と走行を自動でおこなってくれるアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車線を認識しはみ出さないように自動でステアリングを切ってくれるステアリング&レーン・コントロール・アシスト(SLC)だ。この両方をオンにしておくと、高速道路の単一車線であれば、ほぼ勝手に運転してくれる。ただし、ステアリング・ホイール(ハンドル)を握っていないとこの機能は使えない。

さて、使ってみての感想だが、ACCは極めて楽ちんで、考えようによってはつまらない。自分が運転しているという楽しみがまるでない。それだけ仕事をちゃんとこなしているという印象だ。

SLCについては、ある意味よく考えられた機能だと言える。どういうことかというと、自分の感覚より少し遅れ気味に機能する。おいおい、そんなに車線ギリギリに寄っていいのかと最初はヒヤッとしたが、ご安心くださいと、ギリギリのところでちゃんどステアリングをきってくれるのだ。これはつまり、ステアリングは自分の責任で操作して下さいね、でもいざというときは私(自動車)が対応しますのでご安心を、という設定になっているのではないかと思う。つまり、人間が運転することを前提に、あくまでそれをアシストするということを、説明書で伝えるのではなく操作感覚として伝えているのだろう。

これは、なるほどと思う。自動化やAIが進化しても、お互いの役割や責任の範囲を直感で分からせてくれるUXのお手本の1つになるように思った。この考え方は自動車だけではなく、いろいろと応用ができるだろう。

正直なところ、自動車に運転を任せることは邪道であり、楽しくないじゃないかと思っていた。しかし、毎週のように長距離を移動し、これからは歳と共に体力も衰えてくることを考えると、これはありがたいと感じられるようになってきた。最初こそ、本当にちゃんと機能してくれるかどうかと、ずっとドキドキで、緊張に手のひらが汗ばんでしまった。いつもより消耗感ハンパなかったが、いまでは任せてもいいところと限界、そしてクセが分かってきたので、これはもう手放せない楽ちんさとなった。

他にバックで並列/縦列駐車するときに、その最適経路を計算してステアリングやアクセル、ブレーキに介入してアシストしてくれる機能、人や車が死角にあるとそれを教えてくれる機能、狭い道路での車とのすれ違いや障害物を回避するときに自動でアラウンド・ビューモニター(複数カメラからの画像を合成し車を真上から見下ろしたような3D表示をしてくれる機能)やバンパー周辺のフロント部分の映像を表示してくれる機能など、安全に関わる機能も満載で、運転者を堕落させるのではないかと思うほどだ。それでいて、いろいろと設定を変えれば、走行シーンに応じた設定に変えることができる。

先日は、標高2127mの麦草峠までのメルヘン街道という、かなりのワインディング・ロードをマニュアルモードのコラムシフト、スポーツ・プラスという走行モードで走ってみたが、かっちりとした足回りに俊敏なエンジンのレスポンス、路面のリアルな感触などを楽しむことができ、この爽快感はなかなかのものだった。

自動車は安全確実に移動を提供する手段であることはいうまでもない。これを突き詰めて行けば、MaaS(Mobility as a Service)となり、ここには大きな可能性が広がっている。一方で、私のように「駆け抜ける喜び」も満足させたいと感じている人はいるだろう。その両者をテクノロジーによって両立させようという取り組みは、大いに歓迎したいと思うし、そのひとつの答えがここにあるように感じた。これでまた、しばらくは車を楽しめそうだ。

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