ピンで稼ぐための条件・ピンになる前に考えておくこと
日本IBMをやめて23年が経つ。それからずっとピン(ひとり)で仕事をしてきたが、これも多くの人に支えられてのことだとありがたく思う。この人に会ったらいいよ、と言われればほぼ無条件に会っていた。ハズレもあるが、その人が仲立ちをしてくれたことで大きなアタリにつながることもあり、縁は異なもの味なものであるとつくづく思う。
ただ縁があっても、自分に「売りもの」がなくてはお金にならない。私は、「IBM」という看板がなくなり、スッポンポンになったことで、自分の実力のなさを思い知らされた。会社ではそれなりに成果をあげていたことが、自分の実力ではなく看板の力だったのだ。焦ったし、後悔もした。でも、もうやめてしまったのだ。なんとかするしかない。そんな追い詰められた状況で、自分の「売りもの」を考えなくてはならないのは、なかなか大変なことだった。
「体験」を「経験」に昇華させる
- 私は一部上場の企業で部長まで務めました。
- あのビッグ・プロジェクトのプロマネとして修羅場をくぐってきました。
- いま評判のあのサービスは、私が新規事業開発の責任者として取り組んだ成果です。
どれも素晴らしい「体験」であり成果でもあるが、それを「経験」に昇華させなければ、第三者に価値を伝えることはできない。「体験」とは「それをしました」という事実だ。一方、「経験」とは、その体験を通じて得られたスキルや知識である。個人的な「体験」を他人にも使えるスキルや知識として一般化しなければ、相手に価値を伝えることはできない。「体験」を伝えるだけでは、自分の苦労話や自慢話になるだけのことで、そんな話を聞いても何の足しにもならない。
「経験」を突き詰めて「教訓」とする
「経験」をさらに追求すれば「教訓」となる。「教訓」=「教え、さとす」とは、「経験」に確信と信念が加わった「成功の方程式」だ。
- こうやればうまくいきます。
- このままでいるとこんなことになってしまいます。
- これからこうなりますから、準備した方がいいですね。
こんな言葉を、自信を持って力強く相手に伝えることができれば、相手の心を動かすことができる。
「教訓」を誰もが活かせる「メソドロジー」に仕立てる
しかし、「教訓」を誰もが活かせるわけではない。それは、相手の歴史や環境が同じではないからだ。仕事の内容や組織の文化、経営者の考え方も違うだろう。そういう違いを乗り越えて、「教訓」すなわち成功の方程式を実行させ、定着させるための「メソドロジー」が次の段階となる。「メソドロジー」とは「能力を伝授するために体系づけた方法論」ということになる。
ピンで稼ぐつもりがあるのなら、せめて「教訓」を持つことだ。相手に「なるほど」と感じさせ、自分では気付かなかったことを気付かせてくれ、行動する勇気を与えてくれる。それをわかりやすく伝えるドキュメンテーションやプレゼンテーションがあれば、単発の講演や講義で稼げるようになる。
ただ、継続的に仕事にありつくためには「メソドロジー」を持つことだ。相手は成果への見通しが得られ、投資対効果が見通せる。つまり、与えてくれようとしている価値を値踏みできる。その「メソドロジー」が普遍的であり、時宜を得たものであれば、仕事のチャンスは増えるだろう。
人生100年時代を迎えようとしているいま、次のキャリアをピンで稼ごうと考えている人も多いだろう。しかし、会社の看板もなくなり、自分の実力だけで稼ぐのは容易ではない。あらためて、自分のこれまでに体験したことを経験や教訓として整理してみることだ。ピンになる前に一度考えてみるといいだろう。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
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LiBRA 10月度版リリース====================
・新たに【総集編】2018年10月版 を掲載しました。
「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略」研修に直近で使用しているプレゼンテーションをまとめたものです。アーカイブが膨大な量となり探しづらいとのご意見を頂き作成したものです。毎月最新の内容に更新します。
・アーカイブ資料につきましては、古い統計や解釈に基づく資料を削除し、減量致しました。
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ビジネス戦略編
【更新】UberとTaxi p.10
【更新】もし、変わることができなければ p.16
人材開発編
*変更はありません
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】モノのサービス化 p.34
【更新】モノのサービス化 p.37
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【更新】AIと人間の役割分担 p.12
【更新】自動化から自律化への進化 p.24
【更新】知的望遠鏡 p.25
【更新】人に寄り添うIT p.26
【更新】人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係 p.64
【更新】なぜいま人工知能なのか p.65
サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません
サービス&アプリケーション・開発と運用編
【新規】マイクロサービス ・アーキテクチャ p.62
【新規】マイクロサービス・アーキテクチャの6つのメリット p.63
【新規】マイクロサービス・アーキテクチャの3つの課題 p.64
【新規】FaaS(Function as a Service)の位置付け p.68
ITインフラとプラットフォーム編
【更新】Infrastructure as Code p.78
【新規】Infrastructure as Codeとこれまでの手順 p.79
【更新】5Gの3つの特徴 p.235
クラウド・コンピューティング編
【更新】クラウドの定義/サービス・モデル (Service Model) p.41
【更新】5つの必須の特徴 p.55
【新規】クラウドのメリットを活かせる4つのパターン p.57
テクノロジー・トピックス編
*変更はありません。
ITの歴史と最新のトレンド編
*変更ありません