テクノロジーはスキルの不良資産化を加速し、人生の「旬」の期間を短縮させてしまった
「働き方改革」は待ったなしの状況にある。旧態依然としたやり方を変えられない、あるいは変えたくない企業にとっては致命的な結果を招くことになるだろう。
これは、単純に「時短=>稼働時間の減少」といった労働環境の問題に留まらない。そこに働く人たちの人生や生き方の問題でもある。「自分の成長や人生を全うするためには、この会社では働けない」といった事態になれば、変革を進めようにもその担い手はいなくなってしまう。
「働き方改革」はテクノロジーの進化と不可分だ。テクノロジーの進化により、AIや自動化は既存スキルの不良資産化を加速し、人生の「旬」の期間を短縮させてしまった。合わせて、ライフスタイルや医療・衛生・栄養の改善が高齢化を助長し、100年人生は特別なことではなくなろうとしている。例えば我が国では10年で2〜3歳のペースで平均寿命が延びてゆくという。このペースで行けば、20歳以下の人たちは、100歳まで生き続けることになるだろう。
この自分の長い人生の期間を「社会に必要とされる存在」であり続けるだめには、単一スキル/単一キャリアでは難しい。必然、マルチスキル/パラレルキャリアへの転換を模索せざるを得ない。
行き着くところは、「クロスオーバー人材」だ。それは、異なる分野の物事を組み合わせて新しい物事を作り出せる人材ということになる。心ある人たち、特に優秀な人材は、そんな自分になるための「環境」を与えてくれる企業へと移動してゆくだろう。
ここでいう「環境」とは、労働時間のことだけではない。兼業や副業、在宅勤務やリモート勤務といった「多様な働きかたの許容」に加え、業績評価や人事制度、そして何よりも事業目標や経営理念そのものの転換をも迫られることになる。
できる人材は「環境」が与えられれば成果をあげる。その成果とは、会社への貢献であるとともに、社会への貢献であり、それを自らの成長の糧として、さらに成長し、いい仕事をしてくれるようになるだろう。そういう価値観を受け入れることが「環境」を与えることになる。
「改革を進めようと思ったら、担い手がいなかった」
そんなことにならないうちに対策を進めなくてはならない。
いま、SI企業はある現実に直面している。それは、稼働率は上がっているが、利益率は上がらないという現実だ。これは、自分たちの提供するサービスに差別化できる付加価値がないことを意味している。かつてはこのやり方で売上も利益も確保できていたとしても、もしこのような現実に直面しているとすれば、それは企業価値の「旬」が過ぎてしまったと考えるべきだ。
この現実を棚上げし続ける限り、利益を度外視してでも稼働率を上げ続け、キャッシュフローを維持するしかない。つまり、自転車操業を続けなければ経営が維持できない。しかし、この状況がそう長続きしないことは、想像に難くない。だからビジネス構造の転換が求められているわけだ。しかし、改革の担い手がいなければ、それもすすめられない。
会社を成長させるために社員を選ぶ企業から、社員が成長できる環境を提供し、社員に選ばれる企業へと転換し、社員とともに成長する企業を目指さなくてはならない。
ビジネス構造の転換と働き方改革は一体の取り組みと捉えるべきだろう。そして新たな視点で、自社の取り組みを考えてみてはどうだろう。ただ、その対策のための時間は、それほど残されていないことも、覚悟しておいた方がいい。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
LiBRA 10月度版リリース====================
・新たに【総集編】2018年10月版 を掲載しました。
「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略」研修に直近で使用しているプレゼンテーションをまとめたものです。アーカイブが膨大な量となり探しづらいとのご意見を頂き作成したものです。毎月最新の内容に更新します。
・アーカイブ資料につきましては、古い統計や解釈に基づく資料を削除し、減量致しました。
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ビジネス戦略編
【更新】UberとTaxi p.10
【更新】もし、変わることができなければ p.16
人材開発編
*変更はありません
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】モノのサービス化 p.34
【更新】モノのサービス化 p.37
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【更新】AIと人間の役割分担 p.12
【更新】自動化から自律化への進化 p.24
【更新】知的望遠鏡 p.25
【更新】人に寄り添うIT p.26
【更新】人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係 p.64
【更新】なぜいま人工知能なのか p.65
サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません
サービス&アプリケーション・開発と運用編
【新規】マイクロサービス ・アーキテクチャ p.62
【新規】マイクロサービス・アーキテクチャの6つのメリット p.63
【新規】マイクロサービス・アーキテクチャの3つの課題 p.64
【新規】FaaS(Function as a Service)の位置付け p.68
ITインフラとプラットフォーム編
【更新】Infrastructure as Code p.78
【新規】Infrastructure as Codeとこれまでの手順 p.79
【更新】5Gの3つの特徴 p.235
クラウド・コンピューティング編
【更新】クラウドの定義/サービス・モデル (Service Model) p.41
【更新】5つの必須の特徴 p.55
【新規】クラウドのメリットを活かせる4つのパターン p.57
テクノロジー・トピックス編
*変更はありません。
ITの歴史と最新のトレンド編
*変更ありません