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講演資料へのご指摘ですが、こうしてもらえませんか?

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「この表現、このように直してもらえますか?」

「この辺りのことは、もう分かっているので省いて下さい。」

「このような言葉はあまり使わないので、他の表現にしてください。」

講義や講演の資料を事前に欲しいと言う人から、時にしてこのような依頼を頂くことがある。正直、うんざりだ。

誤字や脱字、講演の目的に反する指摘であれば、それはありがたいことだが、自分たちの価値基準や自分の知識の範囲、あるいは自分の勝手な解釈で訂正を求めるのは、講演者への敬意を欠くことだと気付いて欲しい。

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お金をいだき講演をさせて頂く以上は、「結果にコミット」である。つまり、この講演のゴール、つまりあるべき姿は何か。話しを聞かれた方にどのような意識の変化を与えるのか、どのような行動のきっかけを与えるのかを主催者と合意し、それを達成することが講師の責任だ。それができないようでは講師失格である。だから、この点については、しっかりと話し合う必要がある。

「IoTの話をして欲しい。」

こんなご依頼を頂くことがあるが、それは何のためなのか。単に知識を整理したいのなら、そういう展開を考える。そうではなく、IoTビジネスに取り組むことのきっかけを与えたいのなら、IoTの解説だけをしても意味がない。新規事業に取り組むことの課題や事業化の方法論、デザイン思考やリーンスタートアップ、アジャイル開発やDevOps、クラウドなどにも言及して、IoTビジネスに取り組む筋道や体制まで言及する必要があるだろう。また、受講者が事業部門の人たちであれば、パートナー選びの方法や取り組み方についても伝える必要がある。

「結果にコミット」するためには、このようなことまで考えなくてはいけない。そのために物語を描き資料の構成を考えるのが講師の仕事である。

また、講演とは、話者のスピーチがメインであり、プレゼンテーション資料は、話しを展開あるいは転換するきっかけに過ぎない。また、講演は会場との対話だ。会場の反応を見ながら内容や展開、表現を変えるのは当然のことだ。ところが、資料そのものがメインであり、話者のこのような行為に関心が及ばないことが、冒頭のような指摘をしてしまう背景にあるのだろう。あるいは、他人の作った資料の棒読みやハズキルーペがないと読めないくらいに文字が敷き詰められている資料をその通り説明する講演しか知らないからかもしれない。

講演の目的や内容の展開について、ご意見やご指摘を頂くことを「うんざりだ」と申し上げているのではない。むしろそれについては、お互いが納得、合意できるまで議論すべきだと思っている。

資料のドラフトを見て、目的あるいはあるべき姿との齟齬を感じるのであれば、それは明確にご指摘頂くとありがたい。その上で、次のようなご意見を頂けるのであれば、さらに助けになる。

  • うちの社員はこういうことが理解できていないかもしれない。
  • うちではこんな取り組みをしているので、そのこととの関係も話して欲しい。
  • こんなメッセージはうちの社員に響くと思います。

結果をいいものにしたいのなら、結果についての明確なイメージを共有する努力をすることだ。そのために必要な情報提供や指摘は大いに助けになる。しかし、表現の一言一句や自分たちの知っていることだけで評価し、訂正を求めるのはやめた方がいい。それは講師の言葉ではなく、講師の描いた物語の展開とは違ってしまうからだ。講師は混乱し当惑する、そしてモチベーションも下げてしまい、迫力も持ち味をなくさせてしまう。

主催者としては心配でたまらないのだろうが、ならばまずは任せられる講師を選ぶことだ。そして、あるべき姿を共有したら、任せてみるのがいいだろう。きっと、「結果にコミット」してくれる。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LiBRA 10月度版リリース====================
・新たに【総集編】2018年10月版 を掲載しました。
「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略」研修に直近で使用しているプレゼンテーションをまとめたものです。アーカイブが膨大な量となり探しづらいとのご意見を頂き作成したものです。毎月最新の内容に更新します。
・アーカイブ資料につきましては、古い統計や解釈に基づく資料を削除し、減量致しました。
==========================================..
ビジネス戦略編
【更新】UberとTaxi p.10
【更新】もし、変わることができなければ p.16

人材開発編
*変更はありません

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】モノのサービス化 p.34
【更新】モノのサービス化 p.37

サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【更新】AIと人間の役割分担 p.12
【更新】自動化から自律化への進化 p.24
【更新】知的望遠鏡 p.25
【更新】人に寄り添うIT p.26
【更新】人工知能・機械学習・ディープラーニングの関係 p.64
【更新】なぜいま人工知能なのか p.65

サービス&アプリケーション・基本編
*変更はありません

サービス&アプリケーション・開発と運用編
【新規】マイクロサービス ・アーキテクチャ p.62
【新規】マイクロサービス・アーキテクチャの6つのメリット p.63
【新規】マイクロサービス・アーキテクチャの3つの課題 p.64
【新規】FaaS(Function as a Service)の位置付け p.68

ITインフラとプラットフォーム編
【更新】Infrastructure as Code p.78
【新規】Infrastructure as Codeとこれまでの手順 p.79
【更新】5Gの3つの特徴 p.235

クラウド・コンピューティング編
【更新】クラウドの定義/サービス・モデル (Service Model) p.41
【更新】5つの必須の特徴 p.55
【新規】クラウドのメリットを活かせる4つのパターン p.57

テクノロジー・トピックス編
*変更はありません。

ITの歴史と最新のトレンド編
*変更ありません

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