相手の頭が悪いわけではありません
「あいつ、頭が悪いんですよ。こっちがちゃんと話しているのに、全然分かっちゃいない。困ったものです。」
困っているのは、相手の方ではないでしょうか?伝わらないのは、相手のせいではありません。こちらの伝え方が悪いのです。
「言った」、「言わない」の議論になることがあります。「あのとき言ったよね」、「そんな話聞いちゃいないよ」。たぶんどちらも本人にとっては真実なのでしょう。
お互いが100%わかり合えることは不可能です。コミュニケーションとは、これを前提に考えなくてはなりません。そんなコミュニケーションは、「聞く」、「尋ねる」、「伝える」の3つの要素の組み合わせです。
聞く
「聞く」とは、相手の伝えようとしていることに傾注し、その言葉によって、何を伝えようとしているのか、自分にどのような行動や気持ちの変化を起こさせようとしているのか、その意図や目的を知ろうとすることです。けっして、相手の発する単語を記憶する行為ではありません。
そして、相手の意図や目的について、自分なりに解釈し、それを自分の言葉に置き換えてみることです。そして、その解釈が正しいかどうかを相手に「尋ねる」ことで、正しいのか、間違っているのか、修正すべき点はどこにあるのかを確認します。その繰り返しによって、相手の伝えようとする目的や意図に近づくことができます。
しかし、どれだけ相手の意図や目的に近づくことができても、100%ではありません。そのギャップを思い切って飛び越えなくてはなりません。それが、「共感」です。
「共感」とは、相手の「痛い」経験を自分の中に再現し、自分も「痛い」と感じることです。相手の悲しみを自分の中で再現し、涙を流すことです。「共感」とは、言葉だけでは伝わらない相手の意図や目的を想像力で乗り越える行為と言えるかもしれません。
尋ねる
「尋ねる」るとは、自分の解釈を相手に確認する行為です。つまり、自分の仮説を示し、相手の回答によって検証することです。
「きっとこういうことだろう」、「こういうことに興味があるはずだ」、「こういうことに困っているに違いない」など、自分なりの仮説を組み立て、「私はこのように考えたのですが、それで正しいのでしょうか」と尋ねることです。
「何かありませんか」、「何でもいいから教えてください」、「何か言ってください」では、尋ねたことにはなりません。これでは、相手も答えようがありません。何を知りたいのかをはっきりさせて、それについての疑問や質問をぶつければ、相手も答えることができます。
伝える
「伝える」とは、相手に情報を伝達することです。ここでいう情報とは、感情、意思、思考、知識などです。そして、このような情報を伝達することで、相手の共感を引き出し、さらには相手が行動を起こすように相手の意識を制御することまで考えなくてはなりません。
そのためには、相手の興味や趣味、関心事、立場や状況などを知り、相手が理解し、行動しやすい条件はなにか、相手にとって理解しやすい単語や表現とは何かを想像しなくてはなりません。
- シナリオを描き言葉を放つ
- その反応を受けてシナリオを修正する
- 再び言葉を放つ
そんな行為の繰り返しによって、情報を伝え、共感や行動を引き出すことが、「伝える」ことなのです。
自分の「聞く」、「尋ねる」、「伝える」の3つの行為に、相手も対応します。この相互の行為が、コミュニケーションです。お互いのやりとりの結果であり、一方の行為だけでは成り立ちません。
しかし、現実には、お互いがこのようなコミュニケーションの構造を理解し、適切に行動することなど、なかなかありません。だからこそ、私達は「聞く」、「尋ねる」、「伝える」の3つのことを意識し、相手を巻き込むことが大切なのです。
こちらの伝えたいことだけを伝え、満足をしてしまっては、それは伝わったことにはなりません。相手の共感や行動の変化を確認し、はじめて伝わったと言えるのです。
「伝えた」という自分の満足ではなく、「伝わった」という相手の真実が大切です。
コミュニケーションの本質は、ここにあります。
改めて自分を振り返れば、時に自分の言葉に酔いしれ、話したことに満足し、相手の共感や行動の変化に関心も払っていないことがよくあります。それでは伝えたことにはなりません。
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いまと未来を冷静に見つめ、SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーションにどう向きあえばいいのかを考えるきっかけになればと願っています。
内容は以下の通りです。
- デジタル・トランスフォーメーションとは何か
- デジタル・トランスフォーメーションの定義
- デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー
- SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション
- デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる人材
ITビジネスの未来は大いに開けています。ITは私たちの日常や社会活動にこれまでにも増して深く関わり、アンビエント(環境や周囲に溶け込む)になっていくでしょう。そこには新たなビジネスチャンスが待っています。しかし、そのチャンスを見つけるためには、視線を変えなければなりません。もはやこれまでのSIビジネスの視線の向こうには、新しいビジネスチャンスはないのです。
じゃあどうすれば良いのでしょうか。本書で、そのための戦略と施策を考えるきっかけを見つけていただければと願っています。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
LiBRA 5月度版リリース====================
- SI事業者/ITベンダーのための「デジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリース
- 「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツ
- その他、コンテンツを追加
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【新規掲載】SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書
- 教科書 全109ページ
- PDF版
- プレゼンテーション 全38ページ ロイヤリティフリー
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「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツを追加
メインテーマ
ITトレンドの読み解き方とクラウドの本質
ソフトウェア化するインフラと仮想化
クラウド時代のモバイルデバイスとクライアント
IoT(モノのインターネット)
AI(人工知能)
データベース
ストレージ
これからのアプリケーション開発と運用
これからのビジネス戦略【新規】
知っておきたいトレンド
ブロックチェーン
量子コンピュータ
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サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】伝統的なやり方とIoTの違い p.19
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】人間にしかできないコト・機械にもできること p.100
インフラ&プラットフォーム編
【新規】仮想化とは何か p.68
【新規】仮想化の役割 p.70
【新規】サイバー・セキュリティ対策とは何か p.125
【新規】脆弱性対策 p.127
クラウド・コンピューティング編
【新規】コンピューターの構成と種類 p.6
【新規】「クラウド・コンピューティング」という名前の由来 p.17
【新規】クラウドがもたらすビジネス価値 p.26