営業力を育てる3つの条件
「他のビジネスにいた営業を、システムを売れる営業に育てたいのですが、協力してもらえないでしょうか。」
こんなご相談を頂いた。私は、つぎのような質問をした。
「営業だけで、システムが売れるわけではありません。技術者もそろえなければならないでしょう。それに、新規に事業を立ち上げるようなものですから、顧客をどうするか、競争優位をどう描くか、それをどうやって売るかなど、事業そのものの設計がなければ、営業も売れませんよね。そのあたりは、どうおかんがえですか。」
「それなら、大丈夫です。いろいろと検討も進めていますから。それよりも、問題は、営業です。営業をクビにすることもできませんからねぇ。かれらをなんとか再教育しなきゃいけない。せめて、システムを売る営業として、売り方の手順を教えたいのです。」
「それを活かして、すぐにシステムが売れるようになるとは思っていませんよ。売れないヤツは売れない、ダメなヤツは結局ダメなんです。才能というか適性というか、教育してもダメなヤツはダメなんです。ただ、システム営業として社内で言葉が通じるようにしたいだけなんですよ。」
少々、重たい気持ちになった。
- 事業戦略と人材の育成が切り離されていること。
- 営業力をヒトの能力としか捉えていないこと。
- 営業の才能は生まれ持ったものであり、教育によって変えられないと考えていること。
残念ながら、私の信条とは対極にあった。
勝つためのシナリオなき新規事業戦略は、現場を疲弊させる。勝つための望みがあれば、ヒトは頑張ろうという意欲を持つ。そして、そこに適切な教育が施されれば、自発的に学ぼうという気持ちが生まれ、知識を吸収する。そして、戦略が適切であれば、成果も上がり、ますます意欲を高めてゆく。
事業戦略とは勝つための好循環を創り出す物語でなくてはならない。そこが切り離されていては、成功のシナリオを描くことは難しい。
営業力は、確かに個人の能力に依存する。しかし、その個人の潜在力を最大限に引き出するためには、自分のやっていることについて意義を感じさせ、自発的に取り組もうという意欲を持たせることだ。
成功のシナリオを示し、目的を示し、手順を示し、それらに納得させ、「これならうまくいけそうだ、よぉーし、やってやろうじゃないか」という意気込みを引きだすことが前提だ。そこには、ビジネスとしての戦略的合理性であり、トップやリーダーの強い意志を示すことが必要だろう。 そのような想いを引き出しつつ、適切な知識を与えることができれば、個人としても、組織としても、営業力を高めることができる。
地獄の特訓のように研修を通じて、一時的に気持ちを鼓舞することはできる。しかし、そのことが業績の向上や新規事業の成功に結びつくかどうかは、成功のシナリオのひとつのプロセスとして組み込まれているかどうかにかかっている。
業績の低迷や新規事業の不振を、営業の不出来であると断罪する経営者や管理者を時々見掛ける。しかし、裏を返せば、それは自分自身の無策の結果だと言う自覚がない。いうなれば、自分の責任を部下に押しつけているようなものだ。
生まれながらの才能や適性を否定はしないが、それだけに期待して、ビジネスは成り立たない。むしろ、様々な才能や適性を束ねて、最大限の能力を引き出すことにこそ、営業力強化の本質がある。
それを束ねる力は、次の3つだ。
- 正しい目的とやることの意義
- 戦略的合理性と成功のシナリオ
- リーダーの成功への確信と強い意志
それを現場に定着させるためには次の考え方が必要だ。
- 事業戦略と人材の育成は一体と考えること
- 営業力を組織の能力と捉えること
- 営業の才能は意欲を引き出し、潜在能力引き出すことで、大きく伸ばすことができること
人それぞれの才能や適性などの個性を受け入れ、可能性を信じ、自発的な行動を促す。この前提前提が築けない研修に成果など期待することは難しい。
【募集開始】新入社員ための最新ITトレンド研修
IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。デジタル・トランスフォーメーションの到来は、これからのITビジネスの未来を大きく変えてしまうでしょう。
しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることはありません。
そんな彼らに「ITトレンドの最新の常識」と「ITビジネスに関わることの意義や楽しさ」についてわかりやすく伝え、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと「新入社員ための最新ITトレンド研修」を昨年よりスタートさせました。今年も7月17日(火)と8月20日(月)に開催することにしました。
参加費も1日研修で1万円に設定しました。この金額ならば、会社が費用を出してくれなくても、志さえあれば自腹で支払えるだろうと考えたからです。
社会人として、あるいはIT業界人として、厳しいことや頑張らなくちゃいけないことも伝えなくてはなりません。でも「ITは楽しい」と思えてこそ、困難を乗り越える力が生まれてくるのではないでしょうか。
- ITって凄い
- ITの仕事はこんなにも可能性があるんだ
- この業界に入って本当に良かった
この研修を終えて、受講者にそう思ってもらえることが目標です。
よろしければ、御社の新入社員にもご参加いただければと願っております。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書
デジタル・トランスフォーメーションとは何か、SI事業者やITベンダーはこの変化にどう向きあえばいいのかを1冊の書籍にまとめました。これが「SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書」です。PDF/A4版・109ページのデジタル出版です。紙の書籍にすると200ページくらいのボリュームにはなると思います。もちろん、前著同様に掲載したチャートは全てロイヤリティ・フリーでダウンロードできるようにしています。
いまと未来を冷静に見つめ、SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーションにどう向きあえばいいのかを考えるきっかけになればと願っています。
内容は以下の通りです。
- デジタル・トランスフォーメーションとは何か
- デジタル・トランスフォーメーションの定義
- デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー
- SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション
- デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる人材
ITビジネスの未来は大いに開けています。ITは私たちの日常や社会活動にこれまでにも増して深く関わり、アンビエント(環境や周囲に溶け込む)になっていくでしょう。そこには新たなビジネスチャンスが待っています。しかし、そのチャンスを見つけるためには、視線を変えなければなりません。もはやこれまでのSIビジネスの視線の向こうには、新しいビジネスチャンスはないのです。
じゃあどうすれば良いのでしょうか。本書で、そのための戦略と施策を考えるきっかけを見つけていただければと願っています。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
LiBRA 5月度版リリース====================
- SI事業者/ITベンダーのための「デジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリース
- 「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツ
- その他、コンテンツを追加
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【新規掲載】SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書
- 教科書 全109ページ
- PDF版
- プレゼンテーション 全38ページ ロイヤリティフリー
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「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツを追加
メインテーマ
ITトレンドの読み解き方とクラウドの本質
ソフトウェア化するインフラと仮想化
クラウド時代のモバイルデバイスとクライアント
IoT(モノのインターネット)
AI(人工知能)
データベース
ストレージ
これからのアプリケーション開発と運用
これからのビジネス戦略【新規】
知っておきたいトレンド
ブロックチェーン
量子コンピュータ
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サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】伝統的なやり方とIoTの違い p.19
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】人間にしかできないコト・機械にもできること p.100
インフラ&プラットフォーム編
【新規】仮想化とは何か p.68
【新規】仮想化の役割 p.70
【新規】サイバー・セキュリティ対策とは何か p.125
【新規】脆弱性対策 p.127
クラウド・コンピューティング編
【新規】コンピューターの構成と種類 p.6
【新規】「クラウド・コンピューティング」という名前の由来 p.17
【新規】クラウドがもたらすビジネス価値 p.26