オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

「仕事ができる」とはどういうことか?そしてその先に必要とされること

»

「あの人は、仕事ができる」

世の中にはそう思える人がいる。営業であっても、エンジニアであっても、コンビニや牛丼屋の店員でも、工場でラインに立つ人でも、畑や田んぼで農作業をする人でも、そんな人がいる。

reji_cashier_supermarket.png

そういう人に共通するのは、「手際の良さ」だ。ものごとを流れるように、確実にこなし、その姿は美しくてほれぼれとする。

彼らは、自分の仕事の段取りを心得ている。つまり、何をしなければならないのかをその都度考えるのではなく、次の手順を常に先読みしながら、意識せずに、つなぎ目無しに流れるように仕事をこなしてゆく。そつなく無駄がない。

状況の変化にも臨機応変に対応できる。様々な状況についての対処方法についてのパターンを持っているから迷うことがない。場数を踏んでいるからこそなせることだ。

彼らはそれをどうやって身につけたのだろうか。たぶんその根本にあるのは「未熟感」つまり、「まだまだだ。もっとうまくこなすためにはどうすればいいのだろう。」を自らに問い続けたからだろう。うまくできても、もっとうまくできるのではないかとその都度自問自答する。そんな態度が「手際の良さ」を身につけさせる原動力となる。

「できるようになった」というゴールは何処にあるのだろう。きっと彼らにそのような意識はない。気がつけば意識などせずとも仕事がこなせるようになっている。ゴールを目指したわけではなく、結果としてゴールに達しているだけで、たぶん達成感もなければ、自分の能力への奢りもない。ただ、次々に新しい「未熟感」が生まれ、仕事の幅を拡げ「手際の良さ」を極めてゆくのだろう。だから、「仕事ができる人」は謙虚であり、ひたむきなのだ。それがまた美しい。

ただ、そういう人にも一線を越えなければならない時が来る。それは、その美しさを人に伝えるときだ。自分の経験や体験を、その経験や体験のない人に分かりやすく伝えなくてはならないときだ。

「背中を見て覚えろ」や「盗め」などという言葉を聞くと、かっこいいのだが、それは伝えられないことへのいいわけでしかない。一線を越えるとは、そんな立場に置かれたときに、あらためて「未熟感」を感じ、伝えられないことへのもどかしさやいらだち、いや自分への怒りを感じられるかどうかだ。

もちろん、体験を重ね経験として昇華させる時間は必要だが、その筋道を示し、自分よりも早く「手際の良さ」を身につけてもらう手助けをすることができなくてはならない。そのためには、自らの手際の良さを言語化することだ。

言語化には3つの段階がある。先ず第1段階は、「教訓を語る」ことだ。自らの体験から何を感じ、どのような経験を得たのか。経験とは体験から学んだ普遍的な価値や法則だ。それを言葉として伝えることができるかどうかがまずは最初の段階となる。

第2段階は、「理論を語る」ことだ。自らの経験がどのような構造や体系になっているかを整理し、普遍的理論として説明できることだ。

第3段階は、「メソドロジーを語る」ことだ。理論に基づき「誰もが手際の良さを身につけられる」手順を整理する。それを身につけるためのプログラムを描くことだ。

体験があるから、自分はこんな経験をしたから、人に教えられるというものではない。それを言語化できてはじめて、人に伝えることができる。伝えることをお金にできるのは、第3段階である「メソドロジーを語る」ことができることかもしれない。

AIの時代になり、経験の蓄積やベテランであることの価値、すなわち「手際の良さ」を身につけた「仕事ができる」ことの旬の期間は短くなってゆく。むしろ、ビジネス環境がめまぐるしく変わる融通の利かない「手際の良さ」はむしろすぐに不良資産化するだろう。

しかし、言語化できて、それをAIに教えられる人はとても貴重であり、その能力は高く評価される。

「仕事ができる」それは「手際の良さ」である。そして、それを「言語化」できる段階へと自らを高めてゆくことが、いまの時代には求められているし、その価値は益々高まっているのではないか。

【募集開始】新入社員ための最新ITトレンド研修

freshman1day.png

IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。デジタル・トランスフォーメーションの到来は、これからのITビジネスの未来を大きく変えてしまうでしょう。

しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることはありません。

そんな彼らに「ITトレンドの最新の常識」と「ITビジネスに関わることの意義や楽しさ」についてわかりやすく伝え、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと「新入社員ための最新ITトレンド研修」を昨年よりスタートさせました。今年も7月17日(火)と8月20日(月)に開催することにしました。

参加費も1日研修で1万円に設定しました。この金額ならば、会社が費用を出してくれなくても、志さえあれば自腹で支払えるだろうと考えたからです。

社会人として、あるいはIT業界人として、厳しいことや頑張らなくちゃいけないことも伝えなくてはなりません。でも「ITは楽しい」と思えてこそ、困難を乗り越える力が生まれてくるのではないでしょうか。

  • ITって凄い
  • ITの仕事はこんなにも可能性があるんだ
  • この業界に入って本当に良かった

この研修を終えて、受講者にそう思ってもらえることが目標です。

よろしければ、御社の新入社員にもご参加いただければと願っております。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書

DXtext.png

デジタル・トランスフォーメーションとは何か、SI事業者やITベンダーはこの変化にどう向きあえばいいのかを1冊の書籍にまとめました。これが「SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書」です。PDF/A4版・109ページのデジタル出版です。紙の書籍にすると200ページくらいのボリュームにはなると思います。もちろん、前著同様に掲載したチャートは全てロイヤリティ・フリーでダウンロードできるようにしています。

いまと未来を冷静に見つめ、SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーションにどう向きあえばいいのかを考えるきっかけになればと願っています。

内容は以下の通りです。

  • デジタル・トランスフォーメーションとは何か
  • デジタル・トランスフォーメーションの定義
  • デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー
  • SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション
  • デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる人材

ITビジネスの未来は大いに開けています。ITは私たちの日常や社会活動にこれまでにも増して深く関わり、アンビエント(環境や周囲に溶け込む)になっていくでしょう。そこには新たなビジネスチャンスが待っています。しかし、そのチャンスを見つけるためには、視線を変えなければなりません。もはやこれまでのSIビジネスの視線の向こうには、新しいビジネスチャンスはないのです。

じゃあどうすれば良いのでしょうか。本書で、そのための戦略と施策を考えるきっかけを見つけていただければと願っています。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LiBRA 5月度版リリース====================

  • SI事業者/ITベンダーのための「デジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリース
  • 「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツ
  • その他、コンテンツを追加

====================================

【新規掲載】SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書

  • 教科書 全109ページ 
  • PDF版
  • プレゼンテーション 全38ページ ロイヤリティフリー

====================================
「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツを追加
メインテーマ

 ITトレンドの読み解き方とクラウドの本質
 ソフトウェア化するインフラと仮想化
 クラウド時代のモバイルデバイスとクライアント
 IoT(モノのインターネット)
 AI(人工知能)
 データベース
 ストレージ
 これからのアプリケーション開発と運用
 これからのビジネス戦略【新規】
知っておきたいトレンド
 ブロックチェーン
 量子コンピュータ

====================================
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】伝統的なやり方とIoTの違い p.19
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】人間にしかできないコト・機械にもできること p.100
インフラ&プラットフォーム編
【新規】仮想化とは何か p.68
【新規】仮想化の役割 p.70
【新規】サイバー・セキュリティ対策とは何か p.125
【新規】脆弱性対策 p.127
クラウド・コンピューティング編
【新規】コンピューターの構成と種類 p.6
【新規】「クラウド・コンピューティング」という名前の由来 p.17
【新規】クラウドがもたらすビジネス価値 p.26

Comment(0)