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【図解】コレ1枚でわかるガソリン自動車と電気自動車

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自動車業界が、GoogleやApple、Microsoftそして新興の電気自動車メーカー米国のTeslaや中国のBYDといった企業に戦々恐々としています。その背景には、電気自動車の普及と自動車のソフトウエア化があります。

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電気自動車(EV)は、エンジン自動車に比べ圧倒的に部品点数か少なくなります。また、部品の種類も複雑な機構を組み合わせた機械部品から比較的構造が単純な電気・電子部品が中心となり、機械加工や組み立てノウハウの蓄積がない企業でも参入が容易になります。米Teslaや中国のBYD、日本のGMLなどのEVベンチャー企業が参入できるのもこのような背景があるからです。

また、車の機能や性能の多くがソフトウエアに依存するようになります。これは、エンジン自動車でも言えることですが、電気自動車になれば、その割合はさらに高まり、ソフトウエアの開発力が製品の競争力になると考えられます。

GoogleやApple、Microsoftは、このソフトウエアを様々な車で利用できるプラットフォーム=車載OSとして提供しようと動き始めています。例えば、GoogleのAndroid AutoやAppleのCar Play、MicrosoftのMicrosoft Autoは、いまでこそカーナビやテレマティクスの機能に限定されていますが、やがて自動運転機能を提供し、自動車の走行をも制御する車載OSへと進化してゆくでしょう。

もし車載OSで覇権を握られれば、Windowsがコンピューターで、Androidがスマートフォンでそうであったようにハードウェアはコモディティ化・汎用化し、既存の自動車メーカーが長年蓄積してきた独自の製品開発力、機械加工や組み立てなどの競争力の源泉を失ってしまうことになります。

半導体メーカーの米NVIDIAはこのような動きを背景に、自動運転をも視野に入れた車載のコンピューターやSoC(System On A Chip、1チップでコンピューターの機能をすべて統合しているチップのこと)を提供しはじめており、他の半導体メーカーや電子機器メーカーも同様に汎用部品提供の動きを展開しつつあります。

このようなソフトウエア企業や半導体メーカーの動きに対し、自動車メーカーや車載機器・半導体メーカーが主導する形でオープンな車載OSとしてAGL(Automotive Grade Linux:オートモーティブ・グレード・リナックス)を開発しようという取り組みも始まっています。これは、Linuxをベースとした車載OSで、高度安全支援や自動運転を視野に入れて開発が進められています。

これからの自動車はコネクテッド・カーとしてインターネットにつながり、車載OSとクラウド・サービスとの連携を実現し、車両単独ではできない機能やサービスを提供できるようになるでしょう。そうなれば、自動車のあり方や価値を大きく変えてゆくと考えられます。

この影響は、自動車メーカーばかりではなく、自動車部品メーカーやガソリン・スタンドを展開する石油会社にも大きな影響を与えることになります。特に自動車部品メーカーは大手自動車メーカーの系列として、自動車メーカーとの高度な「すり合わせ」の強みを活かして、事業の維持と拡大を図ってきました。しかし、電気自動車になれば、部品のモジュール化がすすみますから、その強みを発揮することも難しくなります。部品点数の減少と相まって変革を迫れることになります。

さらに、完全自動運転が普及すると、事故の責任は製造者である自動車メーカーになるとされており、運転者を対象とした自動車保険は不要となってしまいます。仮に車体に保険が必要であっても自動車メーカーにはそれを自分でまかなえるだけの経営力もあるでしょうし、自動運転により事故も減少することからその負担も大きなものにはならないと考えられています。保険会社にとっては、いま大きな収益源となっている自動車保険がなくなるわけで、経営危機を迎えることになるかもしれません。

2017年7月に英仏両政府が「2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する」と宣言しました。2018年から2019年にかけて、自動車の2大市場である米国や中国でEVなど次世代車の販売割合を義務付ける規制が導入されることになりました。これを受け大手自動車メーカーは、EVを市場に投入する計画を次々に発表しています。この動きはもはや後戻りできない状況へと動きつつあるようです。

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