育ちたいという自発的なエネルギーを引き出すことが人材育成の原点
「優秀な人材」とは、「学習することを楽しいと感じることができる人材」と定義することができます。
スタンフォード大学の心理学者であるキャロル・S・ドゥエックは、人間には、「固定的知能観」か「拡張的知能観」かの、いずれかの心の有り様があり、それによって、その人の能力は決まってしまうというと主張しています。
固定的知能観(fixed-mindset)の持ち主とは、自分の能力は固定的で、もう変わらないと信じている人です。彼等は、自分の能力はこの程度だから、努力しても無駄だとみなします。また、自分が他人からどう評価されるかが気になり、新しいことを学ぶことから逃げてしまう心の有り様の持ち主です。彼等が学ぶのは、それが自分にとって利益になる場合です。つまり、これを知らなければ仕事がこなせない、収入が減るなどの場合です。
一方、拡張的知能観 (Growth-mindset)の持ち主とは、自分の能力は拡張可能であると信じている人です。彼等は、人間の能力は努力次第で伸ばすことができると信じ、たとえ難しい課題であっても、学ぶことに挑戦することを楽しめる心の有り様の持ち主です。彼等は、好奇心旺盛に自らテーマを作り、学ぶこと自体を楽しむことができます。
このような、「自分の知能についての心の有り様」=「知能観(Mindset)」が、学習についての意欲を左右し、能力の獲得や育成に大きな影響を与えるという考え方です。
この知能観は、生まれながらの性質だという考え方もあります。しかし、必ずしもそうではないように思います。「誰かのために役に立ちたい」という志、「そのためには自分はもっと力をつけ成長しなければならない」という想いへとつながり、心の有り様、つまり知能観を拡張させてくれることもあるのではないでしょうか。
「啐琢同時」という禅のことばがあります。これは、雛が卵から生まれようとするとき、雛は殻の内側から卵の殻をつついて外に出ようとします。これを「啐」といいます。そのとき、親鳥もまた同時に外側から卵の殻を破るためにつつきはじめます。これを「琢」といいます。この親鳥と雛が、同時に殻をつつき合うことで、雛は生まれることができるという禅のたとえ話です。人材の育成とは、まさに「啐琢同時」でなくてはなりません。
「この技能が不足しているから、こういうことを学ばせよう。そのためにはどのような研修プログラムを組み立てればいいだろうか?」
人材育成を考えるとき、このような議論がよく行われますが、それでは不十分です。むしろ、自分は将来どうなっていたいのか。どんなことで世のため人のために貢献したいのか。どんな人生を生きたいのか徹底して考え、学ぶことへの価値を見出し、自発的な意欲を引き出してゆくことに向きあうべきだと思います。そんな「学習に対する心の有り様」をどのように育んでゆくが前提になくてはなりません。それがあって、はじめてツールである研修は、効果を発揮します。
「こうでなくてはならない」、「こういう知識を持っていなくてはならない」という型に押し込むのではなく、育ちたいという彼ら自身のエネルギーを引き出すといった人材育成の原点に真摯に向き合うことが大切なように思います。
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